誰かの役に立つのではないかという気持ち半分弱、リストを作りたい欲半分強で新書・文庫で入門する教育社会学ブックリストなるものを作って公開しているのだけれど、意外と好評で日本教育社会学会の若手研究者交流会で紹介していただいたりもした。
そうなると第二弾を作ってみようかなという気持ちにもなってきてしまい、次のネタは何にしようかと考えていて、リストを作っているときに選書も入れようかとちょっと考えたことをおもい出した。「入門」という性格を考慮して結局入れなかったのだけれど、せっかくなので選書版も独立して作ってみることにした。選書という分け方のリストが何の役に立つかと聞かれるとあんまりわからないけど、教育社会学に関心がある人で、新書よりややマニアックなネタでおもしろそうな本を読みたい、という人には使えるかもしれない。
選書の広い定義としては学術書のシリーズなども入るのだろうけど、筑摩選書や新潮選書、中公選書といった「選書」を冠したレーベルの特徴としては、新書以上学術書未満の専門性の一般書、というイメージがある。あとソフトカバーで、みんなだいたい同じくらいの大きさ。こういう基準で考えると、選書を名乗ってはいないけれど、河出ブックスやNHKブックス、青弓社ライブラリーも同じグループだとおもう。ということでこの辺のレーベルを狭義の「選書」だとしておこう。
それほど数が多くないのと、新書・文庫と比べると分野がバラバラなので、分野ではなくレーベルで分けてみた。ただそれでもレーベルごとの違いがテーマの違いとわりとはっきり対応していておもしろい。あと歴史研究が多いのも特徴だとおもう。
〈講談社選書メチエ〉
柳治男(2005)『〈学級〉の歴史学』
有本真紀(2013)『卒業式の歴史学』
小針誠(2015)『〈お受験〉の歴史学』
山口誠(2001)『英語講座の誕生』
〈河出ブックス〉
橋本健二(2013)『「格差」の戦後史【増補新版】』
佐藤卓己(2017)『青年の主張』
〈筑摩選書〉
福間良明(2017)『「働く青年」と教養の戦後史』
竹内洋(2018)『教養派知識人の運命』
大澤聡(2018)『教養主義のリハビリテーション』
河野誠哉(2024)『個性幻想』
〈NHKブックス〉
大澤絢子(2022)『「修養」の日本近代』
〈青弓社ライブラリー〉
本田由紀・伊藤公雄(2017)『国家がなぜ家族に干渉するのか』
橋本健二(2010)『家族と格差の戦後史』
相澤真一・土屋敦・小山裕・開田奈穂美・元森絵里子(2016)『子どもと貧困の戦後史』
上田誠二(2018)『「混血児」の戦後史』
元森絵里子・高橋靖幸・土屋敦・貞包英之(2021)『多様な子どもの近代』
〈新潮選書〉
尾原宏之(2024)『「反・東大」の思想史』
渡辺裕(2024)『校歌斉唱!』
〈中公選書〉
ジェレミー・ブレーデン/ロジャー・グッドマン(2021)『日本の私立大学はなぜ生き残るのか』