音楽が焼きついて記憶に残る韓国ドラマ10本
韓国の音楽というとやっぱりアイドルK-POPが強いように感じられますが、ドラマのサウンドトラックにも印象的な楽曲が多数あります。音楽が良い(または合っている)と、ドラマ自体の記憶も変わるもの。世界観においてはものすごく重要なピースだと思います。というわけで個人的にとりわけ音楽が気になった作品をいくつか選んでみました。
空から降る一億の星(ソ・イングク、チョン・ソミン)
このドラマが忘れられないのは、他でもないアン・ジヨンの「Lost」という曲の存在によるところが大きい気がします。切なさ、寂しさの中で必死に小さな愛の灯火を探すような、そんな風景の浮かぶ美しいメロディ。物語と同様に歌詞は悲しい予感を漂わせていますが、それでもどこかに希望があるように思える優しい曲です。主役ふたりに合っているというよりむしろ主役ふたりのイメージを繊細に作り上げる一曲で、延々と聴き続けてしまいます。
サイコだけど大丈夫(キム・スヒョン、ソ・イェジ)
クオリティの高いOSTでただでさえ完成された作品をより強固に仕上げています。いい曲が多いのですが、中でも個人的なお気に入りは「Wake Up」。イントロは少しコメディのような雰囲気すら感じるのですが、サビに入っていくと一気に気持ちの良い疾走感が出てきて、ドライブのシーンでこの曲がかかるともう最高です。心に難題を抱える登場人物ばかりだからこそ、この元気を出していこうと思わせる明るさが印象的に。
「サイコだけど大丈夫」 - 人は人なしで成長できないという事実
恋はチーズ・イン・ザ・トラップ(パク・へジン、キム・ゴウン)
全体に洋楽のような雰囲気のある洒落た音楽が揃ったOSTだと思いました。軽やかさ、ポップさもありつつ、一方で重要な場面をしっかりと彩るバラードは心にすっと染み込んでいくような優しさを感じさせるもの。声の力がある曲が多いと言うか、本音が見えづらいキャラクターの内心も音楽がよく表現してくれているような、そんなサウンドトラックです。曲を聴くとあちこちのシーンが鮮明に蘇ります。
「恋はチーズ・イン・ザ・トラップ」 - 相手を変えるのではなく、自分が変わる
ザ・キング: 永遠の君主(イ・ミンホ、キム・ゴウン)
OSTを強く意識するようになったきっかけはこのドラマだったかもしれません。とにかく出てくる音楽がどれも強い。そもそもが突き抜けている世界観を文句なしに補完していると思いました。壮大な曲から気軽な曲、回顧の切なさを感じるインストゥルメンタル、印象的に歌い上げるバラードまでとにかく多様でOSTだけ聴いていても飽きないです。
「ザ・キング: 永遠の君主」 - 圧倒的な世界観に散りばめられた極上のエピソード群
トッケビ(コン・ユ、キム・ゴウン)
キム・ゴウン作品が続きますが、ザ・キングからのキム・ウンスク脚本作の流れで、OSTと言えば欠かせないのが「トッケビ」。音楽でも話題性の大きかったドラマなのではないかと記憶しています。これまたファンタジー色の強いラブストーリーを音楽で隅々まで表現している作品。紅葉だったり雪景色だったり、海外の街並みだったり、映像美にも定評のあるドラマを、そういった風景と比べてもまったく遜色のない音楽で縁取っていました。
「トッケビ」 - 圧倒的パワーを感じさせる"最後まで作りきった"ドラマ
ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきた(ソ・イングク、パク・ボヨン)
直近でこのドラマの音楽がとても好きで、それもあって音楽が記憶に残っているドラマについて考えてみることにしました。この作品のOSTはラインナップも豪華な印象。EXOのベッキョンやTXTのバラード(普段出している楽曲とはまたひと味違うのもOST参加の面白さ)をはじめ、ソ・イングク自身が歌う曲もありますが、個人的にすごく気に入ったのはインストゥルメンタルの「Destiny to Love」という曲。イントロのアルペジオが、主人公たちの切ない中にも未来への強い意志があるラブストーリーに実によく似合っている気がします。
「ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきた」 - "死"が人を愛するとき
賢い医師生活2(チョ・ジョンソク、ユ・ヨンソク、チョン・ギョンホ、キム・デミョン、チョン・ミド)
OSTというよりは主人公たちが劇中にバンドで演奏する曲たちなのですが、とても印象に残ります。毎回いろいろな曲が登場する中でもこの「雨とあなた」は鉄板な名曲感がありました。実際にいろんなアーティストがカバーしている曲のようですが、韓国と日本と、国は違えど名曲の定義は通じるものがあるのかもしれない。そんな気がする一曲。必ずしもドラマのためのサウンドトラックでなくても、そういった楽曲が取り上げられて触れる機会が生まれるってとても素敵です。
「賢い医師生活 シーズン2」 - 何も起こらない場面に宿る、日常の無限の美しさ
赤い袖先(イ・ジュノ、イ・セヨン)
時代劇らしさを活かした音楽でありながら違和感なく染みてくる劇伴、第一声で涙が出そうになる歌、とにかくシーンの美しさを十二分に刻み付けるような音楽の詰め込まれた作品です。9話と16話のラストシーンは、どちらも音楽ごと忘れられません。「ああ、この気持ちを表現する曲だったのか」と思うような挿入のされ方。音のひとつひとつまで手を抜かず、心を込めて作り込まれたようなドラマでした。
「赤い袖先(袖先赤いクットン)」 - ジュノ×イ・セヨン、役を生きるふたりが織りなす世紀の大恋愛
二十五、二十一(キム・テリ、ナム・ジュヒョク)
何せもともと「二十五、二十一」という曲があり、それをなぞるように物語を紡いだドラマ。「二十五、二十一」は一度は手にし、その時は永遠だと思ったけれど今はもう取り戻すことができないものについて歌った曲です。この歌を聴くだけでも思い浮かぶ青春の眩しさと痛みは、きっと誰の胸にもあるものかもしれません。しかしそれをこのドラマがこれ以上ないほど完璧に表現していることで、ふたたび曲に戻ったときに響くものが違います。劇中で「二十五、二十一」が流れるシーンは目も耳も釘付けになりました。映像と音楽が補完しあう関係を教えられるような組合せだと思います。
「二十五、二十一」 - 眩しくて切ない、何のために青春が存在するかを知る傑作
ユミの細胞たち2(キム・ゴウン、ジニョン)
主人公であるユミ(キム・ゴウン)とバビ(ジニョン)のカップルが見せる、一番記憶に刻まれる美しいラブシーン。そこで流れるのがこのジニョンが歌う「Shining on Your Night (달이 될게)」です。キャスト自身の歌ってともすれば本人のイメージが出て邪魔になりかねない気がするのですが、この曲は声もメロディも全てが完璧で、嗚咽ものの名シーンを作り上げていました。聴くたびに思い出してまた涙ぐんでしまうほど。
「ユミの細胞たち2」 - 酸いも甘いも!分かりみが深すぎて沼な恋愛の春夏秋冬
やはりドラマを組み立てているのはキャストと脚本だけではなく、演出はもちろん、音楽の果たす仕事は大きいです。決して附属品ではないOSTですが、意識して耳を傾けるというよりは、こうやってドラマを観終わったあとで「あの曲は何というんだろう」と気になってドラマ自体も思い出してしまうものほど強いなぁと、そんな風に感じています。
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