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浅瀬の硝子

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ふと拾いあげる記憶のエッセイ
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2024年2月の記事一覧

エッセイ|浅瀬の硝子Ⅱ_沈丁花 別編

エッセイ|浅瀬の硝子Ⅱ_沈丁花 別編

昨日は友人のことを書いたが、沈丁花の花に呼び起こされる思い出がもう一つある。

高校生か大学生の初めの頃の夏のことだったと思う。母のお下がりの、胸元がざっくり開いた黒いワンピースを着ていた。(そういえばそのワンピースは、その日一度きりであとは着ていないような気がする。)
ボーイフレンドと会った帰りに恵比寿の駅前を歩きながら——もしかしたら、わざわざ足を止めていたかもしれない——花のついていない沈丁

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エッセイ|浅瀬の硝子Ⅰ_沈丁花

エッセイ|浅瀬の硝子Ⅰ_沈丁花

買い物に行く道で、沈丁花の花が一つだけ——蕾があつまった房の中の一輪だけ、咲いているのを見つけた。
もう桜でも咲きそうな暖かさの日には、あまりしっくりしない出会いだった。

沈丁花を見るたびに思う友人がいる。
それは彼女が沈丁花について書いた短歌を読んだことがあるからだが、それがどんな歌だったかは思い出せない。

彼女は中高の同級生だ。中学一年生のときに同じクラス・同じ図書委員・同じ文学部(文芸部

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