感情のスクショで今を形にする
日常の中で感じた一瞬の感情を、残しておきたい衝動がよくあります。
私はそれを「感情のスクショ」と呼んでいます。
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作家は作品を書き続けながら、その文脈から自分の変化を把握できるといいます。
過去の作品を客観的に見て、分析して、今の自分と過去の自分を比較する距離感を保てる。
そして、過去の自分の全力を、今の自分が文脈を通して肯定することができるのです。
これは、『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』を読んで感じたことです。
村上春樹氏と河合隼雄氏の言葉の行ったり来たりが、深くも軽やかな本でした。
「今の自分」を残していくことは、とても大切なことだと思います。
ふと、数年前に美容院で読んだ雑誌(たぶんVERY)から写した文章を思い出して、スマホを探ってみました。
あったあった、これだ。
保存していたことすら忘れていたこの文章を、どうして今、このタイミングで思い出したんだろう。
もう何年も前のことだから、当時の気持ちは思い出せないけれど(状況は覚えています)、きっと私は何かを感じて、それを忘れたくなくて残しておきたかったのだと思います。
これも私にとっての「感情のスクショ」です。
今回の『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』といい、美容院でスマホに保存したエッセイを思い出したことといい、どうやら私は、「今この瞬間をカタチにして残す」という行為に、何かしらの可能性や安心を見いだしているらしいのです。
自分が感じたことや思い出を、安心や祈りのように体に吸い込ませる。
そんなふうに、今を残しておきたいと思うのかもしれません。
ことば、画像、音、香り、映像、鼻歌。
感じる「今」を、いろいろな形で残しておこう。