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食欲のコントロール~ホルモン編~

今回は食欲のコントロール第二弾ということで、「食欲のコントロールに必要なホルモン」についてお伝えしていきます。

前回は満腹感と空腹感のメカニズムについてお伝えしました。

まだ読まれていない方は先に目を通していただけると今回の内容も理解しやすいです。⇩⇩⇩

それではさっそく本題に入っていきます。

●食欲をコントロールするホルモン

①インシュリン(インスリン)

インシュリンは血糖値を下げ、肝臓や筋肉に糖質を取り込むために働くホルモンとして知られています。

糖質制限ダイエットが流行り、インシュリンが悪者のような扱いを受けるようになりました。確かにインシュリンには余った糖質を脂肪細胞に取り込む働きであったり、脂肪合成作用もあります。しかし、血糖値の上昇によってインシュリンが分泌されることで脳の満腹中枢を刺激することができます。

一般的に血糖値は食事開始から15分ほど経過すると上昇し始めます。このことから、早食いをするとインシュリンが分泌されて満腹中枢を刺激する前に過剰に食べ過ぎてしまう可能性があるため、食べ過ぎを防ぐためにもゆっくりと食事をとることが大切になります。

②レプチン

レプチンは満腹ホルモンなんて呼ばれたりもするほど、満腹中枢を刺激するホルモンとして有名です。

レプチンの分泌はインシュリンの分泌と共に分泌されます。

このレプチンは脂肪細胞で合成されます。そのため、太っている人の方が必然的に脂肪細胞が多くなり、レプチンの分泌量が多くなります。
しかし、ここだけを切り取って解釈してしまうと脂肪細胞の多い人、つまり、太っている人の方が満腹感を感じやすいんじゃないかと思ってしまいますが、肥満の方はインシュリンの感受性が悪かったり、逆に食欲を促進するグレリンの分泌量が多かったりするので、レプチンの分泌量が多くとも満腹中枢を刺激しづらい状態にある方が多いです。

③セロトニン

「幸せホルモン」とも呼ばれ、副交感神経を働かせ、自律神経を整えるのに必須なホルモンです。

前回の記事で「食欲をコントロールするならメンタルをコントロールしろ」とお伝えしましたが、まさにその役割を担っているホルモンです。満腹中枢は求心性迷走神経を介して刺激されますが、迷走神経はまさに副交感神経を司る神経になります。

つまり、セロトニンを生合成、分泌させることは食欲をコントロールする上でも重要になります。また、セロトニンの働き自体にも精神の安定の他に、満腹感を感じさせる働きがあります。

④コレシストキニン・ペプチドYY・GLP-1

コレシストキニン・ペプチドYY・GLP-1は食べ物(糖質・タンパク質・脂質のエネルギー源に反応する)が消化管に入ると分泌され、食欲を抑制します。

そしてコレシストキニン・ペプチドYY・GLP-1は咀嚼回数が多いほど分泌量が多くなることが明らかになっています。

それぞれの働きについては本章の内容とは逸脱してしまうので簡単にご紹介します。

・コレシストキニン…膵液の分泌促進や胆のうの収縮、ドーパミンの抑制…etc.
・ペプチドYY…胃液・膵外分泌の抑制、胃運動抑制…etc.
・GLP-1...インシュリン・グルカゴンの分泌調整

⑤ヒスタミン

ヒスタミンは赤身魚に多く含まれ、ヒスタミン中毒としてその名前はよく知られていますが、脳内ヒスタミンは神経伝達物質として食欲の抑制性の調節をする働きがあります。

ヒスタミンもコレシストキニン・ペプチドYY・GLP-1と同様に咀嚼回数が多いと分泌が増加します。

●それぞれのホルモンの特徴を考慮してやるべきこととは?

❶ゆっくりと食事を摂る(少なくとも15分以上はかける)
❷できるだけ固形物を食べる
❸適度に糖質(炭水化物)を摂る

ゆっくりと食事を摂ることでインシュリン分泌によって満腹中枢を刺激する前に食べ過ぎてしまうことを防ぎ、咀嚼回数を増やすことに繋がります。その結果、満腹感・満足感を感じやすくなります。

また、プロテインやスムージーも吸収効率や手軽さなどの良い面もありますが、ダイエットをしている方で特に食欲のコントロールに苦労している方はできるだけ固形物で摂ることをお勧めします。

ダイエットとなるとどうしても糖質が敬遠されがちですが、適度な糖質の摂取は大切です。

特に運動をしながらダイエットを行って行く場合、インシュリンは筋損傷の回復や筋グリコーゲンの回復に欠かせません。さらには、満腹中枢を刺激するためにも必要なホルモンになるので、ある程度の量は食べるようにしましょう。

ちなみに肝グリコーゲンは全く運動をしていなくても3時間でおよそ50gの糖質を消費します。

そのため、運動をせずにダイエットを行う方であっても一食で50gの糖質摂取は許容範囲内と思っていただいて大丈夫です(運動なしの食事制限は個人的にはお勧めしません)。

●まとめ

小難しい説明をお伝えしましたが、結局のところ、子供の頃からよく言われてきた「よく噛んで、ゆっくりと食べる」これが食欲をコントロールする一番の方法です。

私自身、早食いの大食いなのでここ最近は気を付けるようにしています(笑)

皆さんはどうですか?

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