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どげんとせんといかん!

「なぜ、孫の手トラベルのFoodCampを推すか?」シリーズ12回目。直販ルート確立を目指し佐賀の梨農家さんと共にした思い出深い日々。いよいよ、FoodCampが匂ってきます。原点ともいえる生産者プロデュースの話。

突然やってきた農家支援の話

 今でこそWEBで調べればインサイドセールスの説明や関連サービスがたくさん出てきますが、私がインサイドセールスに出会った1998年頃は、それをサービスとして提供する会社も、ましてやコンサルティングする会社は皆無でした。

 7名でスタートした小さな会社でしたが、TOPの営業力もありお客様にはとても恵まれたと思います。この会社に、私は2001年の4月から約18年お世話になりました。その中でも、忘れられないお客様がいます。

 佐賀・伊万里市の梨農家集団「大川三世代」です。

 出会いは、福岡。「ITと農業」というテーマで、ある知人の経営コンサルタントが講演する場に、会社のボスが呼ばれ、ほんの5分だけ話したことがきっかけでした。

 話が終わるとすぐに、日に焼けた男性2人が駆け寄ってきました。聞けば、100年続く梨農家だという。これまで先祖代々続く土地を守りながら梨農家を続けてきたが、誰が食べたかも、美味しいかも美味しくないかも分からず作りつづけている毎日に疑問を感じているとのこと。

 野菜でも果物でも、農家さんの多くは農協に協出し、市場から各スーパーなどに流通される仕組みです。ですから、当然その先の一般消費者の反応を知ることはありません。何のために梨作りをしているのか、ふと考えてしまうことが多くなってきたと。そんな状況で、子どもたちに梨農家を継いでくれと胸を張って言えない自分がいるという話でした。

 そして、リーダー的存在の田代さんは、続けてこう言いました。「今日の話を聞いて、どげんとせんといかんと思ったんです。お金もないですが、佐賀の大川に来てアドバイスしてくれませんか」と。

 突然の話でびっくりしましたし、農家さんの支援をしたことがなかったので、ボスも戸惑いはあったようですが、まずはその梨農園を見に行くことになりました。

20年経っても、若手と呼ばれて

 佐賀県伊万里市大川町は天領大川といって、昔、幕府の直轄地でした。約100年前から梨作りが盛んになり、今の世代が三代目で若手農家として頑張っていました。しかし、若手といっても田代さんが当時40代。「20年経っても若手と言われるんです」と苦笑いしていました。農家の大半は60~70代が主流で、後継者問題は大川でも他人事ではありませんでした。

 そこで一年発起した田代さんは、同士を集めて直販ルートの確立を考えていたのです。

 私が長らく仕事にしていたインサイドセールスは、顧客管理やCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)をベースにした手法で、いかに顧客との接点を作り、いい関係を長く築いて、売上を上げることを目的としたものでした。

 後でわかったことですが、我がボスと田代さんは同級生で、すっかり意気投合。田代さんの熱い想いに動かされたボスは、

「コンサル料は要りません。旅費だけ面倒見てもらえたら。一緒にやりましょう」

と約束して帰って来たのです。また当時、福岡のお客様が多かったので、近くで一緒に手伝ってくれそうな経営者に大川三世代の話をしました。すると、久留米の印刷会社さんが無料でホームページを作って下さり、さらには梱包資材のデザインや製造もかなり安価で制作してくれました。さらには、福岡市で居住者サービス向けのコミュニティサイトを運営しているディベロッパーさんが、そのサイトでプロモーションを実施してくれました。

 そして、私も大川に度々足を運ぶことになりました。

大川三世代はこうして生まれた

 実は、この「大川三世代」というブランドネームは、ボスが名付け親です。大川へ行き、田代さんの家族に会って、色々話を聞いた結果、ひらめいたとか。大川を100年支えてくれた先代への敬意と、向こう100年を託す子どもたちへの期待を込めて、これまでの100年、これからの100年大川の繁栄を願って大川三世代と名付けました。

 昼間、畑作業を終えた大川三世代のメンバーと一緒に、農園の近くにある建屋に集まり、プロモーションの企画や顧客データの整理など、夜遅くまで作業は続きました。

 遅めの夕食をとりに建屋を出ると、外は街灯もまばらで、真っ暗というより真っ黒。目が慣れてくるとぼんやり梨畑のシルエットが浮かび、夜空には星が輝いていました。

 カエルが合唱する中、あぜ道をそよぐ大川の風はとてもやさしかったこと、月明かりを頼りにみんなで歩いたこと、つい昨日のことのように覚えています。

(つづく)

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 クラウドファンディングのリターン、マルシェバッグが納品されました!大きすぎ、小さすぎず、使い勝手のいいサイズではないかなと思います。

 そして、そのクラウドファンディング、最終日まであと10日。なんとも達成したい!是非是非よろしくお願いします。

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