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「真実」なんて無い、のその先へ【映画から考える理想郷#2】

こんにちは、Studio Topitaです!
私たちは理想郷を本気で「想像」「創造」するサークルと称し、毎月テーマを決めて語り合い、議事録をアップロードしています。
ぱっと聞いただけでは「?」かもしれませんので、どうぞ是非、自己紹介をご一読いただきたいです。
(常連さんは、いつもありがとうございます!)

Studio Topia 2月
第1回 「『真実』なんて無い、のその先へ」

現代は、「人によって見える世界は変わり、決まりきった「真実」などない」、と言われて久しい時代。
みんなで共有できる「当たり前」がないことが当たり前で、それが良いこととして捉えられることも、時には悲しいことだと捉えられることもあります。
でも、そうして人と違うことを当たり前だと思うがあまり、他人と思いを共有したり、意見の違いを乗り越えようとしたりすることすら、諦めてしまうことが多くなっているのではないしょうか。
「価値観の違いだから」「あの人とは考え方が違うから」と、言うのは簡単ですが、他人を理解することや社会の真実を放っておくと、誰かの都合の良い答えが、いつの間にか自分達の答えになってしまうかもしれません。
あなたはどう思いますか。

こんにちは、Studio Topiaです。
今回は、【映画から考える理想郷シリーズ】第一回として、『新聞記者』を鑑賞しました。
東京新聞記者の望月衣塑子さんが執筆した同名小説をもとに、2019年に公開され、第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞を獲得した作品となっています。

あらすじ

東都新聞の記者・吉岡エリカのもとに、医療系大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届く。日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、強い思いを秘めて日本の新聞社で働く彼女は、真相を突き止めるべく調査に乗り出す。一方、内閣情報調査室の官僚・杉原は、現政権に不都合なニュースをコントロールする任務に葛藤していた。そんなある日、杉原は尊敬するかつての上司・神崎と久々に再会するが、神崎はその数日後に投身自殺をしてしまう。真実に迫ろうともがく吉岡と、政権の暗部に気づき選択を迫られる杉原。そんな2人の人生が交差し、ある事実が明らかになる。

映画.com(https://eiga.com/movie/90346/

今回は、いつもとは趣向を変え、アマゾンプライムのウォッチパーティー機能を使用して、全員で映画を見てから始めてみました。
「国家」「隠蔽」「自殺」などが取り上げられることもあり、終わりたては重い空気でした。少しづつ感想を共有し、現代社会に反映させながら、理想の社会を考えてみました。
現実社会の事柄を模したような内容ということもあり、自分達の生活とも反映させられるところが多いです。

以下、議事録です。

議事録

映画の感想
まずは映画の感想を共有してみました。
「内閣情報調査室の官僚がパソコンに向かって複数のツイッターアカウントを操作している様子が、本当かどうかは置いておいても、怖かった。トレンドが誰かによって作られてしまうとしたら怖い」という感想、「ここまでやって大丈夫なのか?真実を言い切ると批判がくることも多い。あくまでこれは一つの見方なのだと思わなくてはならないとも言える。という感想も出されました。さらには、作中の政治家やジャーナリストが繰り返し「国」「国民」ということに触れ、「その『国』『国民』とはどういう人のことを指しているのだろうか。自分が含まれているようには感じなかったし、政治家やジャーナリストにとって都合の良い『国民像』があるのではないか」という指摘もされました。

映画から学ぶこと
そして、映画から学ぶことについても話し合ってみました。
映画の中で取り上げられている問題を現実の日本の「森友学園」「加計学園」問題に重ね、それらの問題を忘れていっている社会、自分達を振り返りながら、今後どうあるべきかを考察しました。
「日本人は盛り上がったあとすぐに冷めてしまう」という意見をきっかけに、「一人一人が忘れてしまうのは仕方がないが、それを追求し、伝え続けるのがジャーナリストだとして、国民はそれに耳を傾けるべき」という意見が出されました。とはいえ、そもそもなぜ国民が耳を傾けなければならないのか、という疑問が残ります。その「国民が知らなくてはならないとはどういうことか」「ニュースは知らなくてはならないのか」という指摘に関しては、「ニュースを見ないと自分達に不利益が生じるから」「ジャーナリストが問題を追求しやすい社会的雰囲気にするために、社会が問題に注目している必要がある」「有権者であれば、政治家を選んだという責任が生じるため、国内ニュースは監視している必要がある」という意見が出されました。

真実は無いのか?
SNSに投稿されている言葉が本物かわからない、報道されていることが本当かわからない、そもそも一つのニュースにおいても複数の見方があって何が真実かわからない、ということは、この映画に限らず、昨今よく言われることでもあります。
一つの情報を鵜呑みにしないその姿勢は、メディアリテラシーとして重要視されます。一方で、「何が本当のことかわからない」となると、人は途端にその事件や問題に対する興味を薄れさせ、知ることをやめてしまうということもあるでしょう。すると、映画中に描かれた、誰かにとって都合の良い意見が社会の意見かのようになってしまう、という指摘がされました。
つまり、「正しい答えなどない」と思うことは、そのままだと答えを探すことを放棄してしまうということにつながってしまう、ということですね。答えを探すことを放棄すれば、誰かにとって都合のいい答えが正しい答えとしてまかり通りかねません。
確かに、人によって見える世界も違いますが、おそらく、それは始まりに過ぎません。誰かと意見や考え方が違うことに嘆いたり諦めたりするのではなく、そこから新しい答えを見つけようと模索したり、共に作り上げたりしていくことが重要なのです。

理想の社会のために
最後に、『新聞記者』を観て考えたことの中から、「何が問題なのか、理想の社会のためにどうするべきなのか」を考えて終わりました 。
出たのは、「聞こうとする姿勢が足りないことが問題」ということでした。
映画の中では、政治家もジャーナリストも、基本的に自分達のするべきことをするばかりで、相手や、対象となる「国民」の声を聞こうとはしていませんでした。簡単に言えば「思いやりを持とう」ということですが、まずは相手の話を聞こうとする姿勢をお互いに持つことで、たとえどんなに主義主張が違くとも、敵対しあっていていも、よりよい関係を築いていけるようになるのではないか、ということでした。対立する意見の人を前にすると、自分の正しさを伝えようとつい言葉多く語りがちですが、それをされてもお互いに聞きたいとは思わないはずです。相手もそう簡単にはこちらの話を聞いてはくれないかもしれませんが、いつかは聞いてくれるはずです。そのためにも、まずはこちら側が相手の話を聞くことから始める。その姿勢が大事だということでした。

来週に向けて
映画の中で「この国のために」「国を守るために」という趣旨の台詞が多くあったことを受け、「いい国とは何か」「どうやって作るのか」といった疑問が飛び出しました。
そこで、次回は、ひとりの理想をもとに国が作られ、多くの人を巻き込んで進んでいく物語…という視点から『20世紀少年』を取り上げ、語ってみることにしました!20世紀と21世紀の比較という点からも語れることが多そうです。

編集後記

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
今回は全員で映画を見てから話し合いをしたため、あまり深くは話せませんでした。
次回以降、もう少し深めたいテーマとなりました。

『新聞記者』をご覧になった方や、今回の記事で興味を持った方は、ぜひ映画の原著の作者であり、東京新聞の記者である望月衣塑子さんのドキュメンタリーである、森達也監督の『i 新聞記者ドキュメント』もご覧になってみてください。映画と合わせて、考えることがあると思います。(奈都)

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Studio Topia 2月テーマ「映画から考える理想郷」
第1回「『真実』なんて無い、のその先へ」
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