【ノンネイティブの流儀3】【分詞表現へのいざない】
【写真】パリのメトロ「エドガーキネ駅」にて(撮影・飯竹恒一)
英検1級を取得して、TOEICも900点を超えたというレベルの上級学習者の方々でも、意外に苦慮しているのが「分詞表現」です。コロナ禍前にリアルなスクールで教えていた時代からこのことを痛感し、授業では意識して取り上げています。
「形容詞と動詞の両方の役割を果たす」というのが文法書でいう「分詞」の形容詞的用法の説明で、現在分詞と過去分詞があります。いわゆる分詞構文も含め、色々なパターンとそのバリエーションがありますが、総じて言えるのは「言葉足らずで、何でもあり」という点で、これが上級学習者でも戸惑うゆえんでしょう。
こうした分詞表現と並んで同じような働きをするのが、関係代名詞を使った表現です。先行詞とのつながりを節をイメージして明確に示す点が分かりやすいためでしょう。英文ライティングの授業で課題を出すと、関係代名詞を連発される受講生の方が多くいらっしゃいます。私は決まって、「理屈としては間違っていないけれど、関係代名詞しか使えないと、込み入った英文が書けませんよ」と指摘することにしています。
日本語でも言えることですが、隅々まで説明を尽くすとかえってくどいし、そもそも文が長くなってしまいます。文脈から読み取れることは省略してシンプルに仕立てる方が「洗練度が増す」と思いますし、色々な情報を詰め込めます。その最たるものが日本語では、短歌や俳句だと思います。文を紡ぐということは、短歌や俳句のように言葉のパズル解きをする一面があると思います。
その点、プロの英語のネイティブの書き手が仕立てたニュースの文章を注意深く見ていると、分詞で細かいところを処理しながら、決めのところで効果的に、言わば大胆に関係代名詞を使っているのが見受けられます。関係代名詞は省略できる場合もありますから、その点ではコンパクトな文の仕立てにつながることもあります。
大切なのは分詞と関係代名詞を使い分けるバランス感覚です。そんな視点で英文を読んでみると、これまでとは違った世界が開けると思います。
(主宰講師・飯竹恒一)
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