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謎の職能「経営企画」って何してるの?

「経営企画って何してるんですか?」

この質問を受けることが結構多いです。私は電機メーカーに勤務しているのですが、製品開発に携わっている商品企画、設計開発、製造、品質などの職能の人や、マーケティング・営業職能の人からすると、いつも社長や役員、事業部長などの側にいる経営企画の人たちが、日々一体どんなことをやっているのかよく分からないようです。経営企画と同じ経営者の側近としては人事と経理がいますが、彼らは普段から他の職能の人と接することも多く、やっていることも何と無く想像できるのですが、経営企画は何をやっているか謎なようです。私も実際にこの仕事をするまでは全くの謎でした。それは経営企画の仕事の成果物が一般の社員の目にあまり触れることが無いのが一つの要因だと思います。そこで経営企画の仕事について、私の場合を例に具体的に紹介してみたいと思います。

中期事業計画の作成

全社中期戦略に合わせて、事業部の3年から5年先を見据えた中期事業計画を作成します。中期事業計画では大体どこの会社でも大項目は下記のようになっていると思います。

・環境分析(内部環境/外部環境)

・目標数値

・基本戦略

・詳細戦略

環境分析では、経営学分野やコンサルティングファームなどが提唱しているような様々なツールを活用します。例えばPEST分析やSWOT分析、3C分析、PPMなどを使用して環境分析を行います。中期経営計画の場合は、10年先の将来予測をした上でそこからの逆算で計画を立案することもあるので、シンクタンクや経済関係の雑誌社が発行しているメガトレンドや未来年表なども活用します。特定の領域について深掘り調査が必要な場合は社外の調査会社やシンクタンクへ調査を委託することもあります。

目標とする経営数値は経理と共同で作成します。また人材戦略は人事と、各機能戦略は各部門と作成します。例えば商品戦略は商品企画、開発戦略は技術部門と作成します。この時、事業部の基本戦略と各機能戦略が整合することが重要です。

中期事業計画は3年もしくは5年ごとに策定するケースと毎年中期を立て直すケースがありますが、3カ年計画を3年ごとに策定するケースがメジャーだと思います。私の場合もそうです。

年次事業計画の作成

中期事業計画をもとに各年の事業計画を策定します。基本的には中期事業戦略に沿って翌年の詳細な実行計画に落とし込むのですが、大きな外部環境の変化があったり本社の全体戦略が方向転換した場合は事業部としても中期計画を見直して、それに基づいて年次計画を立てることになります。

また、大きな変化の場合は分かりやすくていいのですが、小さな変化が積み重なって環境認識にズレが生じる場合があります。環境認識を誤ると事業戦略も誤るので、他社に対する優位性を損なったり事業機会を逃したりしてしまいます。このため事業計画策定前には必ずSWOT分析などをやり直して、現在の戦略で問題ないか見直しをします。

中期事業計画にしても年次事業計画にしても、事業戦略と機能戦略との整合が一番難しいところです。なぜなら、戦略策定は必ずしも上流から下流へ一方通行で決まっていくわけではなく、いわゆるボトムアップで決まる部分があり、うまく整合が取れないということが起こるからです。商品企画、設計開発、マーケティング・営業、製造にはそれぞれの部門の思いがあるので、経営企画の立てた事業戦略には同意できない!となることも多々あります。ここの整合にはなかなか泥臭い事情があるのですが、それはまた後日まとめたいと思います。

事業部長の経営活動の補佐

事業部長はその事業部の経営責任者なので、「事業部内のトップ」という立場ではありますが、同時に社長から事業部の経営を任されている「社長の部下」という立場でもあります。事業部トップとしては、事業部内への情報発信や事業部経営会議での意思決定などを行い、社長の部下としては社長への報告や全社経営会議への参加などを行います。経営企画はこれら事業部長の活動を補佐します。具体的には事業部運営方針発表会の実施(発表資料、原稿の作成、発表会の運営など)、事業部経営会議の運営、社長報告の資料作成などです。また、事業部長特命活動の推進を任されることも多いです。例えば、本社決定事項の実行や構造改革の推進、災害対策などで対策チームを組織化して事務局業務を担当し、進捗を事業部長へ報告します。また、本社監査部による業務監査対応や他社の経営幹部・政府要人などの受け入れ対応、その他様々な突発案件や非定型業務を推進する際に経営企画が担当したり推進リーダーになることが多いです。つまり、経営企画は経営者の責任において対応するべき案件、解決するべき問題、達成するべき課題はなんでも補佐する立場にあります。

こういった業務は部門責任者と連携して進めることはあっても、現場の担当者と連携して進めることはあまり多くはありません。このため、責任者ではない現場の社員からすれば経営企画の人たちと接する機会が少なく、結果「あの人たちは一体何をやってるんだろう?」となってしまうのです。なので、経営企画の仕事をしたい!と言ってくれる人が少なく、いつも人材不足に悩まされるという辛い事情があるのです。


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