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【日立製作所戦略分析③】社会インフラ×DXのターゲット戦略


はじめに

こんにちは、戦略分析ラボです。
これまでのSWOT分析、3C分析を通じて、日立製作所の強みや競争環境、顧客ニーズを整理しました。特に、社会インフラとデジタル技術(DX)の融合を軸に、グローバル市場での競争力強化を進めている点が特徴的です。

本記事では、STP分析(Segmentation:市場の細分化、Targeting:ターゲットの選定、Positioning:市場での立ち位置)を用いて、日立のターゲット市場とポジショニングを詳しく分析します。


日立製作所のSTP分析

STP分析とは

Segmentation(市場の細分化)

日立は、社会インフラとDXを融合させたソリューションを提供するため、インフラ領域とデジタル領域の異なる顧客ニーズに対応しています。それぞれの市場を以下のように細分化できます。

① 社会インフラ市場の細分化

社会インフラ事業では、各産業ごとに異なるソリューションが求められています。

  • エネルギー分野:スマートグリッド、再生可能エネルギー管理、送配電ネットワーク最適化

  • 鉄道・モビリティ分野:自動運転システム、列車運行管理、信号制御

  • ヘルスケア分野:医療機器(MRI・CT)、病院向けITシステム、AI診断支援

  • 産業機器・建設分野:スマートファクトリー、ロボティクス、ビル管理システム

② デジタルソリューション市場の細分化

日立のデジタル事業「Lumada」は、産業や企業向けに特化したDXソリューションを展開しています。

  • 製造業向けDX:AI・IoTを活用した生産管理、設備の予知保全

  • 金融・公共分野:データ分析による業務効率化、電子政府・スマートシティの推進

  • 物流・小売業向けDX:在庫管理の最適化、サプライチェーンマネジメントの高度化


Targeting(ターゲットの選定)

日立は、社会インフラのDX化を進める企業や自治体、産業分野のデジタル変革を目指す企業を重点ターゲットとしています。

① 社会インフラ市場のターゲット

日立は、政府・自治体、インフラ運営企業、大手企業を主要ターゲットとし、長期的なパートナーシップを築く戦略を採用しています。

  • エネルギー事業では、電力会社や再生可能エネルギー事業者と提携し、電力供給の効率化を支援。

  • 鉄道事業では、国内外の鉄道事業者向けに、安全性・運行効率の向上を目的としたDXソリューションを提供。

  • ヘルスケア事業では、大規模病院や医療機関向けに、MRI・CTなどの画像診断機器や医療情報システムを展開。

② デジタルソリューション市場のターゲット

日立は、製造業、金融・公共、物流・小売業の企業をターゲットとし、DXソリューションを提供しています。

  • 製造業向け:「スマートファクトリー」戦略を推進し、IoT・AIを活用した生産最適化ソリューションを展開。

  • 金融・公共向け:大手金融機関や政府機関と連携し、データ分析やAI活用による業務効率化を支援。

  • 物流・小売業向け:在庫管理の最適化や需要予測AIを提供し、EC・小売業のDXを推進。


Positioning(市場での立ち位置)

ターゲット市場ごとに、日立がどのような立ち位置を取っているかを整理します。

① 社会インフラ市場:スマートインフラのリーディングカンパニー

日立は、社会インフラ事業において、DX技術を活用したスマートインフラの分野でリーダーシップを確立しています。

  • エネルギー分野では、スマートグリッドや蓄電システムを活用し、再生可能エネルギーとの連携を強化。

  • 鉄道分野では、自動運転技術を含む次世代鉄道システムを開発し、鉄道の運行最適化を推進。

  • ヘルスケア分野では、画像診断AIを活用した医療DXを展開し、医療機関のデジタル化を支援。

② デジタルソリューション市場:「Lumada」を活用したDXの先駆者

日立は、「Lumada」を活用し、産業向けDXの先駆者として市場にポジショニングしています。

  • 製造業向けでは、設備の予知保全やAIを活用した生産管理システムで、製造現場のデジタル化を推進。

  • 金融・公共分野向けでは、データ分析とAI技術を活用し、行政手続きの効率化や金融業務の自動化を実現。

  • 物流・小売業向けでは、IoT技術を活用し、サプライチェーンの最適化を支援。


まとめ

日立製作所は、社会インフラとデジタル技術(DX)を統合し、企業や自治体のスマート化を推進する戦略を採用 しています。特に、鉄道・エネルギー・ヘルスケア分野のDX化を推進することで、インフラ市場でのリーダーシップを確立しようとしています。また、製造業や金融・物流業向けに「Lumada」を活用したDXソリューションを提供することで、産業分野のデジタル変革を支援しています。

次回は、4P分析を用いて、日立製作所のマーケティング戦略を詳しく分析していきます。


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参考資料
有価証券報告書
統合報告書


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