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透明人間のように個展をした
一昨年から準備をしてきたものの、DMやSNSで告知をするタイミングになって緊急事態宣言が再発令され、知り合いには一切告知せずに敢行した個展。透明人間が誰にもその存在を知られることがないように、誰にも見られることなく、ひっそりやってひっそり終わろうと思っていた。
予想外の出来事
ところが、通りがかりの人がふらりと入ってきてくれたり、タウンニュースや神奈川新聞、読売新聞で取り上げてくださったこともあり、地元の方々が訪ねてきてくださったりしたことはとても嬉しい予想外の出来事だった。
もちろんドアは常時開けっぱなしで換気万全、室内にいる人数は私を含め3名までに限定、マスク必須、アルコール消毒は徹底、会話は小声と最新の注意を払った。
町は記憶装置
いらした方々から、「この海、亡くなった夫とよく行ったのよ」「私が子どもの頃は江ノ電の脇に牧場があって牛がいたの」「若宮大路に銭湯があったなぁ」「このお店は去年店をたたんだけど、ご主人は元気だよ」というお話を伺えたことも大いに刺激になった。これまで風景はシーンだと思ってきたが、単なるシーンではなく記憶のレイヤードなのだと認識を新たにした。鎌倉に触発されて絵を始めた私が、またも鎌倉に救われ、さらに記憶装置としての町の風景を描くという新しいテーマを見つけることができた。鎌倉という土地にも町の人にも多謝多謝だ。
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