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短編小説 「結婚できっかな」


朝日を浴びた時の清々しさは50メートルを全力で走ったあとに似ている。息があがって肺が苦しくなり、心臓がドクドク素早く動き、足がプルプルと震えるあの苦しい感覚。だけど、そこには清々しさがある。

ところで、結婚というのはどうやってするのだろうか。子供ができたら結婚?キスをしたら結婚?エッチをしたら結婚?好きになったら結婚?お金が貯まったら結婚?今年、27歳になるというのに結婚できる気配がない。まあ、恋人がいないのだから当然だ。

周りを見渡すと、ちらほら結婚している人がいる。結婚する気配のない奴からいきなり、「結婚しました」とLINEが来ると崖から突き落とされたような感覚を感じる。綺麗な景色を崖の上から見ていたのに急にフワッとして、なにかと思ったら地面が迫っていて、気がついたらもうどうしようもできなくなっているあの感覚。気がつけばお先真っ暗だ。

周りが結婚しだすと何故焦るのだろうか。何故、自分も結婚しなくてはと思うのだろうか。なんだろう、なにか寂しさを感じる。なにか孤独感を感じる。友達が減るわけでもないのに。なんというか、知らないところで友達同士が旅行の計画をしていて、誘われなかったあの感覚に似ている。

とはいえ、焦ったってすぐにどうこうできる問題ではない。結婚するには異性が恋人が必要だ。はて、異性と仲良くなるにはどうしたらいいんだ。恋人を作るにはどうしたらいいんだ。作り方を忘れた。最近、ふたりエッチしていない。ひとりエッチのみだ。やば。ふたりエッチもひとりエッチもしたあとはスッキリするけど、最近ひとりエッチは虚しさが込み上げてくる。なんかバカをやっているような感覚を感じるようになった。恋人というのはなんだ。

ところで、最近、出勤前に朝散歩を始めた。朝起きてカーテンを開けて朝日を浴びて歯を磨いて顔を洗ったら散歩に出かける。15分くらいで散歩を終えて、朝ごはんを食べる。朝日を浴びることによってセロトニンが活性化され、散歩の歩くリズムでも活性化され、食事の咀嚼によっても活性化される。そのおかげか、1日の気分がまあいい。結婚できる気配は皆無だが。

1日の気分が良くなる方法は知れたが、結婚の仕方がわからない。恋人の作り方を思い出したい。誰か告ってくれないかな。

ところで、結婚式のご祝儀を空で渡したらバレるのだろうか。受付がちょろまかしたと思ってくれるだろうか。



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テヘペロ。

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