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短編小説 「恋恋エルフ」


ある日、森の小道を歩いていると、可愛らしい豚の女の子と出会った。ピンク色の肌にくるんと巻いた尻尾、大きな瞳が印象的だった。

 「こんにちは、エルフ様!」

彼女は僕を見つけると、嬉しそうに声をかけてきた。どうやらエルフを神様のように崇めているらしい。その純粋な笑顔に、胸がときめいた。

 「やあ、僕の名前はアルフォ。君は?」

 「私はポルカです!」

それから僕たちは森で何度も会うようになった。花畑で一緒に遊んだり、小川のせせらぎを聞きながらお話をしたり。ポルカと過ごす時間はとても楽しく、心が満たされていくのを感じた。しかし、心の奥底では別の感情が渦巻いていた。彼女をポークジンジャーにして食べたいという欲求だ。豚肉の香ばしい匂い、ジューシーな味わい。それを想像するだけで唾が溜まる。

 「ダメだ、そんなこと考えちゃいけない」

理性でその衝動を抑えようとする。でも、彼女の笑顔を見るたびに、その思いは強くなる。

ある夕暮れ、湖のほとりで一緒に座っていた。空はオレンジ色に染まり、水面に映る景色が美しかった。

 「アルフォ様、今日も素敵な一日でしたね」

 「本当に。君といると時間が経つのを忘れてしまうよ」

ポルカがこちらを見上げる。その瞳に映る自分が、少しだけ怖くなった。

 「アルフォ様?」

 「いや、なんでもないよ」

彼女の無邪気な笑顔に、胸が締め付けられる。このままではいけないと思った。

 「ポルカ、今日は僕の家に来ないか?」

 「はい!ぜひお邪魔したいです!」

家に着くと、暖かい灯りが二人を迎えた。テーブルにはハーブティーと焼きたてのパンを用意した。

 「わあ、美味しそう!」

ポルカは嬉しそうに席についた。僕も向かいに座り、しばらくおしゃべりを楽しんだ。しかし、心の中では葛藤が続いていた。彼女をこのまま食べてしまいたいという欲求と、彼女への純粋な想い。その狭間で揺れ動いていた。

 「アルフォ様、どうかしましたか?」

 「ポルカ、実は君に伝えたいことがあるんだ」

 「何でしょう?」

 「君のことが……好きだ」

ポルカは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに微笑んだ。

 「私もです、アルフォ様!」

その言葉に胸が高鳴った。同時に、最後の理性が崩れ落ちた気がした。

 「ポルカ、特別なお料理を作るから、少し待っていてくれる?」

 「はい、楽しみにしています!」

キッチンに向かい、包丁を手に取った。深呼吸をして、心を落ち着かせる。

 「これでいいんだ」

自分に言い聞かせ、彼女の元へ戻った。

 「ポルカ、目を閉じてくれる?」

 「ええ、こうですか?」

彼女が目を閉じた瞬間、僕は魔法を使って彼女を眠らせた。その後、彼女を丁寧に調理した。キッチンにはポークジンジャーの香りが広がり、食欲をそそる。完成した料理を前に、僕はしばらく立ち尽くしていた。

 「いただきます」

一口食べると、これまで味わったことのない美味しさが口の中に広がった。

 「ポルカ、君は最高だよ」

食事を終えた後、彼女の頭蓋骨を綺麗に洗い、大切に飾った。それを貯金箱にして、彼女との思い出をずっと忘れないように。

 「これで僕たちは永遠に一緒だ」

窓の外を見ると、満天の星空が広がっていた。彼女と眺めたあの日と同じ景色。

 「ありがとう、ポルカ」

僕は静かに目を閉じ、彼女との日々を思い出した。心の中で彼女は生き続けている。それが正しかったのか、今となってはわからない。ただ、彼女への想いは本物だった。

 「これからも一緒だよ」




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