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買ってきた本6

東雅夫の編著書は『ゴシック文学入門』(ちくま文庫)に出会って以来、見つけては集めているのですが、今回も行きつけの書店で二冊見つけたので手に入れることにしました。

一冊目、東雅夫(2012)『世界幻想文学大全 幻想文学入門』ちくま文庫

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三巻ものである「世界幻想文学大全」シリーズの一つで、本書は「ガイダンス篇」に当たるものなのだそうで、東雅夫編でさまざまな文筆家による幻想文学入門の文章を集めたアンソロジーであるとのことです。目次をちょっと見るだけでも澁澤龍彦、平井呈一、紀田順一郎、倉橋由美子など見たことのある名前が踊っています。まだ前書きを読み終えたばかりで、これから澁澤龍彦による論考を読み始めるところですが、いまから読むのが楽しみです。

二冊目、東雅夫(2019)『文豪たちの怪談ライブ』ちくま文庫

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ふだんから明治後半~昭和初期くらいの小説を読むことが多いのですが、ちょうどその時代に熱い怪談ブームなるものが起こっていたとのことで、「泉鏡花を筆頭に柳田國男、芥川龍之介、喜多村緑郎、鏑木清方ほか」文化人の怪談を、「鏡花の活動を鍵として」集成したものだそうです。こちらもまだまだ読み出したばかりですが、先を読むのが楽しみな本です。

高校~大学くらいに安部公房とかカフカ、カミュなど、理屈っぽいわりには理不尽と云うか不条理と云うか、そういう作品に魅せられてきましたが、学生時分の専攻である哲学の影に埋もれて、「怪異」とか「幻想」に彩られた作品を読むことは、若いころにはどうしても二次的な関心として、或いは娯楽に過ぎないものとして、抑圧されてきました。

しかしながら、いまでは田舎町でゆるく会社員をしながらも、空いた時間に自分の関心に忠実に読書をすることが最近ではできており、充実してきています。これからも、東雅夫の編著作を参照してガイド役としつつ、名作を渉猟し、そのうちに拙くとも自分のなかの<不条理>を表象する文章が書けたならば、そんなにうれしいことはなかろうと夢想しています。

夜な夜な文字の海に漕ぎ出すための船賃に活用させていただきます。そしてきっと船旅で得たものを、またここにご披露いたしましょう。