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心身の不調の原因について② 【外因】

先日の記事に引き続き、中医学で考える心身の不調の原因について書いていこうと思います。病因は「外因「内因「不内外因」3つに分かれる、というお話は前回書きましたので、まだ読んでいないよ、という方は、読んでみてくださいね。

では、今日は「外因」について説明していきます。長いです(笑)

病因とは、身体のバランスが崩れることで発生する、様々な疾病の原因のこと


「外因(がいいん)」について

体の外側から邪気が侵入したもの、これを「外因」と呼びます。
この外因は「外邪(がいじゃ)」と言ったりするのですが、この外邪と呼ばれるものが「六淫(りくいん)」です。

「六淫(りくいん・ろくいん)」について

六淫とは「風・寒・暑・湿・燥・火(熱)」という、6つの病邪の総称のこと。
この「風・寒・暑・湿・燥・火(熱)」は、本来自然界に存在する六気(ろっき)という正常な気候変化です。

しかし、この気候変化が
①過剰になったり、不足したり
②季節外れの気候だったり
③個人の体質によって

六淫(りくいん)という邪気へと変化します。

①六気の過剰や不足

今年の夏のように酷暑であったり(過剰)、冬なのに温かい暖冬だったりすると(不足)、六気は発病の原因となってしまいます。冬は冬でやはりそれなりに寒いことが大切です。

②季節外れの気候

季節が乾燥しているはずの秋なのに、今年のように湿度が高い、ということもまた病因となります。

③個人の体質

「正気(せいき)が不足している」「体内のバランスが崩れている人」は、正常な気候変化であっても影響を受けやすく、六気が六淫という邪気になってしまうということがあります。

正気(せいき)とは
わたし達の生理活動に必要不可欠な基本物質「血・精・陰・陽・気」のこと。
正気と邪気が戦って、負けてしまうと病気になるというわけです。
正気とっても大切!

季節と六気(ろっき)の関係

六気は各季節と関係しています。

風     =春
暑(火・熱)=夏
湿     =長夏(梅雨)
燥     =秋
寒     =冬

春は風が強く、夏は暑く、梅雨は湿度が高く、秋は空気が乾燥し、冬は寒い。
何も難しいことはなく、みなさん体感されたことがあるのではないでしょうか?

春は風邪(ふうじゃ)、夏は暑邪(しょじゃ)、長夏(梅雨)は湿邪(しつじゃ)、秋は燥邪(そうじゃ)というそれぞれの邪気が盛んになります。

長夏(ちょうか)は、梅雨もそうですし、各季節の境目の土用期間、夏の終わりの湿度の高い時期も長夏と考えられます。

六淫の特徴

六淫には4つの特徴があります。

①季節気候だけではなく、土地柄、住環境や働いている環境も影響する
②1つの邪気が単独で侵入したり、2つ以上の邪気が合体して侵入することがある
③疾病の進行過程で影響しあったり、変化したりする
④六淫は体表(皮膚や体毛など)・呼吸器から侵入する

①土地柄、住環境や働いている環境の影響

わたしたちの不調の原因は、季節や気候だけではありません。梅雨のない北海道と雪が降らない沖縄では全然環境も違います。住んでいる土地柄、受けやすい邪気というのも変わったりします。そして、土地柄だけではなく、その中の住環境によってもまた影響は違います。
わたしの場合ですが、川と海のすぐ近くに住んでいる上に田んぼが近いので、「湿邪」という湿気の邪気の影響を受けやすいです。この他、働いている環境というのも関係していて、毎日とても暑い環境で仕事をしていたりすると、「暑邪」の影響を受けやすいですし、寒い環境で仕事をしていれば「寒邪」の影響を受けやすくなります。

②邪気は単独ではなく、複合して侵入することもある

邪気というのは「湿邪」や「燥邪」という単独の邪気で体内に侵入することもありますし、邪気が合体して「風湿」となったり「風寒湿」となったりということもあります。「湿邪」という単独の状態であれば「湿邪」を取り除くためのお薬を使いますが、「風湿邪」となった時には「風邪」と「湿邪」の両方を取り除くためのお薬を使います。

そのため、漢方薬を使う時には、「どの症状がどの邪気の症状か?」ということをきちんと理解しておく必要があります。もちろん「どの生薬がどの邪気に対する効果があるか?」という理解も必要になってきます。

③邪気は疾病の進行過程で影響しあったり、変化したりする

例えば、かぜの引きはじめは「寒邪」という寒気だけだったのに、進行につれて「熱邪」という状態に変化し、発熱するといったことがあります。
この場合、かぜの引きはじめに初期の段階では「寒邪」を追い出す薬を使う必要があり、「熱邪」の状態に変化した場合には「熱邪」を追い出す薬に変更する必要があります。
「寒邪」は温めるのに対して、「熱邪」は熱を冷ます必要があるため、漢方薬の選択を間違えてしまうと、状況が悪化するということがあります。同じかぜでも症状によって使う漢方薬は違うということです。

④六淫は体表(皮膚や体毛など)・呼吸器から侵入する

外邪は外部より侵入してきます。外界と接している体表や口や鼻などの呼吸器などが侵入ルートとなります。中医学では【肺】と関連する部分です。

外邪の侵入に関して、寒邪は経絡や筋肉、体内に、暑邪は直接体内に侵入することも出来ます。

外感六淫(がいかんろくいん)

六淫は外部より感受する特徴があるため「外感六淫(がいかんろくいん)」と呼ばれますよ。

まとめ

今日は外因である六淫についての説明を書いてみました。思い切り、教科書的な説明になってしまいましたが、なんとなくわかったでしょうか?わたしたちも自然の一部ですから、常に自然界の影響を受けています。外界からの影響が体だけではなく、心にも影響しているんですね。嘘だ〜!と思うかもしれないですが、漢方薬はこの理論に基づいて作られて利用されています。

それぞれの邪気の特徴や性質については、長くなるため今回は省いていますが、近いうちにまた書けたらいいな、と思っています。

次回の中医学のお話は、「内因(ないいん)」についてです。

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お読みいただきありがとうございました。

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