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野生動物への餌やりがダメな理由

野生動物へ餌をあげることはダメなことだと知っていましたか?

知らない方や、知ってはいるけど何故なのかは分からない方は、ぜひ今回の記事を読んでほしいと考えています。

私は、縁があって世界自然遺産の知床がある町「斜里町」に住んでいたことがあります。

正直、そこに行くまでは「餌やり」について考えたこともありませんでしたし、恥ずかしながらダメなことであることすら知りませんでした。

斜里町は、世界自然遺産の知床を守るために、動物を始めとする「生態系」に対しての意識や教育が進んでいる町です。

今回は、そこで学んだ知識を基に「なぜ餌やりがダメなのか」をお伝えできればと思います。よろしくお願いします。


人と野生動物との距離が近くなる

人間から与える餌は、自然界ではなかなか手に入らない高カロリーで、魅力的な食べ物です。

一度それを口にしてしまうと、楽に餌を手に入れたい動物は、自分で餌を探すことをしなくなります。

「人に近づくと餌をもらえる」と思い込んでしまうのです。

クマなどの人間にとって危険な動物に一度餌を与えてしまうと、山から人間が住む街に下りてきてしまいます。

そうなると、クマが街にいてしまうと襲ってしまうこともあり危険なので、クマを殺すことになります。

これは明らかに悪いのは人間です。殺す必要のない命がなくなってしまうのですから。

斜里町は、このことを強く訴えています。

他の生物も同様です。北海道でよく見かけるシカやキツネ、ネコなどに与えてしまうと、餌をくれた場所によく出没するようになります。

車を停め、道路で餌やりをする人がいることで、野生生物が事故死してしまう事例も数多く存在します。

生活被害

また、野生生物が私たちが住むところへ簡単に寄り付くようになることで、農作物や人に被害を及ぼすこともあります。

鳴き声やフンなどによる被害も多発しています。

この場合もクマの時と同じように、駆除してしまうことが多いそうです。

「人間が餌をやり、野生動物が近づき、人間が駆除する」という循環はあってはならないものだと、多くの人に知ってほしいと思っています。

感染症の危険性

さらに、野生動物と人間との距離が近くなることで、「感染症の危険性」が高まります。

ご存知の通り、野生動物には、病気を持っている生物が多いです。

もちろん野鳥も含まれます。

エキノコックス、鳥インフルエンザなどの感染症が人の世界に入ってきているのは、「人と野生動物との距離感」が間違っている可能性があります。

十分に注意して下さい。

生態系の崩壊

人間の餌を食べることにより、栄養状態がよくなるため、一年に何度も繁殖し個体数が増加する場合があります。

対して、人間の食べ物は、野生動物たちの普段の食生活では得られない脂質などを多く含んでいるため、消化不良を起こし体調を崩してしまい、死に至る場合もあります。

病死や事故死などにより、個体数が減少してしまうこともあるのです。

生態系にとって、この個体数の増加・減少は、嬉しいものではありません。

食物連鎖をご存知ですか。

自然界には、食べる物・食べられる物が存在し、その個体数はバランスをとっているのです。

このバランスを人間が崩してしまっては、大問題です。

餌やりと直接的に関係しているかは微妙なところですが、人間が生態系を崩壊させた例を紹介します。

現在絶滅してしまった「ニホンオオカミ」です。

ニホンオオカミは、農作物を荒らすことが多かったみたいで、あらゆるところで駆除がされてきました。

間違いなく人間の手によって絶滅に追い込んだ生物です。

これにより、現在大幅に増加している生物がいます。「シカ」や「イノシシ」です。

当時、食物連鎖の頂点であったニホンオオカミは、「シカ」や「イノシシ」などを食べていました。

この生物がいなくなり、現在「シカ」や「イノシシ」が急増しています。

また、「シカ」や「イノシシ」が餌とする植物などが減ってしまいます。

食物連鎖のバランスが崩れてしまうのは、自然界にとって大問題なのです。

そして、「餌やり」は、個体数の増加・減少を促してしまう恐れがあるものです。

絶対にやめてください。

最後に

動物に対して「喜ばせたい」という気持ちがあることは悪いことではありません。

ただ、餌やりを行うことは、人間も野生動物も喜ぶ行為ではないと分かっていただきたいです。

どんなに可愛くても、小さくてもです。

カモであろうが、ハトであろうが、シマエナガであろうが、白鳥であろうが行わないでください。

「動物園やペット」と「自然」は全くの別物です。

野生動物とは、一定の距離感を取るようにしましょう。

どうか、これ以上野生動物の命を奪わないでください。

この記事を読んでくださった方が、周りの友人にこの事実を広めてくれますように。

今週もありがとうございました。


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