【子ども】動物学④動物園をサバンナに変えてライオンと出会い直す!?
タコの学びは大成功。勢いに乗って、次はライオンについて学ぶことにした。この時にヒツジを選んでおけば、後で牧場見学の予定を組めたのに。この時はそこまで考えが至らず・・・。
(これまでの経緯→動物学①、動物学②、動物学③)
ライオンは律動系の動物っていうけど
タコは頭足類というくらいなので、頭が特徴的な神経感覚系の動物。次は胸や胴体部分に特徴がある、律動系の動物を選びたい。これが私の頭を悩ませた。
呼吸器や循環器が特徴的な動物って何ーーー!?
長い間、呼吸を止められるとか?すごく肺活量があるとか?拍動がすごく速いとか?ビーバー?タコも心臓3つあるけど!?
アドバイスをくださった先輩方は全員、律動系の動物にライオンを選んでいた。時間もないし、ライオンの生態はおもしろいから私も先輩に倣おう~と軽い気持ちで調べ出したものの、なぜライオンなのか?どこか腑に落ちない。
腑に落ちないまま、ライオンの1回目の授業を終えた。当然、子どもたちの反応はイマイチだ。2回目は挽回して心躍る授業にしたい。
再び先輩に尋ねると、
「ほら、胸や前肢の筋肉が発達してるよね?声も大きいし」
となだめられたものの、
「いやいや、トラの方が発達してるよね。オオカミも声大きいよね」
としか思えない。納得できずに頭を抱える私に、先輩は
「思考・感情・意志の視点で考えてみたらどうかな」
とおっしゃり、『野生のエルザ』を薦めてくださった。
そうか、感情を意識して調べてみよう。やっと納得できそうな考え方の糸口をつかんだ。
ライオンは感情の動物か
早速、図書館で野生のエルザを借りて帰る途中、頭の中で、シンバのシルエットが走る。そういえば、子どもの頃にライオン・キングの映画を観た。
勇気、誇り、胸を熱くさせる戦い、冒険、責任感・・・
ライオンってそういう動物だった。いつの間にか、脳内BGMがSMAPのらいおんハートになったと思ったら、今度は『サーカスのライオン』のお話が頭の中を駆け巡る。公立小学校で、3年生と一緒に勉強したお話。じんざというライオンの勇気や友情について、子どもたちとたくさん話した。
ライオンたちの持つ物語を胸に秘めて、ライオンの生態について語る。そういう時間にしてみよう。
再び、動物園へGO
ライオンの2回目は動物園にて。朝はやっぱり身体を動かさなくっちゃ、ということで、短時間で動物園中を自由に見てくるよう指示。私はその間に、なるべく暑くて静かな場所を探した。前の月にライオンの話をしていたので、ライオンを見てくる子もいるかなと思っていたけれど、そうでもなくてがっくり。やっぱり、1回目は私の内面で「?」が浮かんでいたから、子どもたちにはライオンの魅力が伝わらなかったのだろう。
でも、動物園は他にも魅力的な動物がたくさんいるし、それらを見学するのも良いことだ!と前向きにとらえ、再集合してからライオンのお話をした。
プライドという群れを作って暮らすライオンの話。一家をたった一頭で守り抜く、オスライオンを中心にした。サバンナの気温が40度くらいという話を聞くと子どもたちは暑がっていて(実際には気持ちの良い風が吹く10月なのに、すごい想像力)、そんな屋外でも集中して聴いてくれる。よし、2回目で挽回したぞ!と思って猛獣舎へ行ってみると、年寄りライオンが気だるそうにゴロゴロと寝ている。
「これがあのライオン~?」
と子どもたちは面白くなさそうにライオンを見て、また違う動物を見に走っていった・・・。
既に知っていると思っていたライオンと、お話や絵を通して出会い直したのなら、そこで終わっておくべきだろう。出会い直しの出会い直しは、直後じゃない方が良い。心の中でしばらく響かせておく時間が必要だ。それに、動物園で観られる姿は、本来の姿とはちょっと違う。獲物を追いかけて颯爽とサバンナを駆け抜けるメスライオン、たった一頭で家族を守るオスライオンに、動物園で出会うのは難しいだろう。今となってはそう思う。
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えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。
小学校教員を経て、現在は放課後等デイサービスの指導員として働くかたわら、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。
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