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【子ども・大人】好きなものと共に働く|22年3月2回目|鉄道設計士さん

中学生のハローワーク4月2回めのゲストは、鉄道の設計士さん。どう見てもベテランの風格漂う外見に、「でんしゃはかせ」とひらがなで打ち込まれた名前のギャップといったら。「電車博士とお呼びしたら良いでしょうか?」と尋ねると「そうですねぇ〜」ってニコニコ。一気に和んだところで2021年度最後の中学生のハローワークが始まった。


鉄道どーれだ!?

でんしゃはかせのお話の始まりは、クイズから。モノレールや路面電車などの乗り物の写真を見て「鉄道はどれでしょう?」。

路面電車は「電車」って付くんだから電車なんじゃないの?トロリーバスは「バス」って言ってるし・・・。簡単なクイズにしてくれたのかな?と思ったら、答え合わせをしてみてびっくり。「○○電鉄」という名前で走っているからといって電車とは限らない。

大人も子どもも目をまるくしながら「へー!」と言っていると、「鉄道は、走行する場所が専用用地であることが必要なんですね」と教えてくれるでんしゃはかせ。お仕事のことにとどまらず、知的好奇心も満たしてくれる楽しい時間が続く。そして、誰よりも楽しそうなでんしゃはかせ。電車のことが大好きなのが一目瞭然。仕事中もこんな感じで幸せそうな表情をされているんだろうか。


すべては乗客のために

さて、ここからが本領発揮。鉄道車両について、詳しく教えてくださるでんしゃはかせ。普段何気なく乗っているから電車の骨組みなんか考えたこともなかったけれど、図を見せてもらうとめちゃくちゃ頑丈にできているのがわかる。設計するときに重要視するのは、やはり安全性。乗客が負傷する可能性を徹底的に排除することが求められるんだそう。

速度に合わせて運転士の視界を工夫すればより安全だから、窓の大きさや形はこうしよう。車両のバランスが保てるように機器はこう並べよう。ホームの設備と車両設備を合わせて使いやすくしよう・・・

こんなにも乗客のことを考えて作られているけれど、そんなこと全く意識しないで電車に乗ってきたなあと思う。でも、それは逆に、意識に上ってこないくらい「当たり前に安全が確保されており、快適に乗ることができる」ってことなんだろう。


鉄道設計への思い

話を聞く中で、外装一つとっても内装にしても、それぞれの鉄道会社(でんしゃはかせの言うところの“お客さん”)や設計士さんの思いがぎゅっと詰まっているのがとてもよくわかった。

「設計の仕事が入る=新しい車両を導入する=今まで愛してきた車両が引退する」の図式は、でんしゃはかせには、とても複雑な思いなのだそう。これだけ幸せそうに語っておられる姿を見ていると、その複雑な心境は想像に難くない。大好きなものと共に生きていくということは、大好きなものの生死に常に向き合わなければならないということでもあるのか。この時間、画面から溢れ出るでんしゃはかせの愛情が、「仕事」への視点を新しくしてくれるのを感じていた。


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えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。 小学校・放課後等デイサービスを経て、現在は児童発達支援事業所で障害児支援にあたりつつ、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。
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