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【子ども】動物学①いろんな人の助けを借りて

冒険を終えた達成感に浸る余裕もなく、もう新年度はスタート。高学年ともなると、子どもたちは習い事やスポーツにも精を出していて、それぞれのフィールドで活躍中。となると、ここでしか経験できないことに取り組みたい。ならば今年は、動物学に挑戦だ!


シュタイナーは何て言ってたかな?

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意気込んでみたものの、どうすればいいのだろうか。動物学の授業を体験したことは多々あったし、子どもの描いたノートも見たことがあって、なんとなくイメージはつかめていた。しかし、それは全日制の授業。同じようにしたのでは、時間が全然足りない。

とりあえず、シュタイナーの言葉を振り返ってみる。

●いつも頼るのがこの本 ↓

他の方の翻訳もたくさん出ていて、私にとってはそちらの方がわかりやすかったりする。でも、いわゆるシュタイナー用語の翻訳が違うと、先輩方に相談するときに混乱するので、結局高橋さんの本に戻ってきた。

動物学に特に関連すると感じるのは、第九講~第十二講あたり。人間だけが持つ「手」を自由に使えるようにすることが教育においていかに大切か、何度読んでも考えさせられるのだ。これまでずっと手仕事に取り組んできたので、動物学の最後には「手」の役割について子どもちと一緒に考える時間を持ちたい。

●もっと具体的なのがこの本 ↓

第七講には、イカとネズミ・ヒツジとウマの話が具体例として示されている。9~10歳ごろに!とはっきり書かれているが、残念ながら子どもたちはもう10~12歳。でも、本当に残念なのだろうか。体験講座で大人が学んでも「感動した~!」って言うのだから、たとえ遅れていたとしてもやらないより良いに決まってる!と開き直って準備を進める。「完璧にできないから挑戦しない」では学びは停滞してしまう。彼らの成長段階に合わせて話を工夫すれば大丈夫、そう信じたい!

●オキツさんから紹介してもらった本も!
「動物学」「動物と人間」という項目があって、具体的。



で、どうすればいいのかな?

ライオン_黒板画

さて、具体的にはどうすればよいのだろう。そういえば教員養成のときも、「何の動物を取り上げるか?」とか「どんな造形活動をするか?」とか、既に土曜クラスを受け持っている人たちで集まっては議論していた。私はその輪の中には入らず(休憩時間はだいたい昼寝)、せいぜい絵を見せてもらって「わぁ~すてき~」って言うだけだった。

あの時の不勉強が悔やまれるけれど、物事を理解し記憶するために睡眠は大切だし、講義中に居眠りしないで話を聞くことが当時の私にとっての第一義だったので、仕方がない。悔やんでいる暇もないので、当時の仲間や憧れの先輩に片っ端から尋ねてみる。三者三様(ちょっとした相談も含めれば、もっとたくさんの方にお世話になった。大感謝!!)のアドバイスをいただいた。私の言葉でまとめてみると、こんな感じ。

●子どもにとって身近な動物を取り上げる。
●本物のように描くことにこだわらず、本質をとらえて描く。例えば、気質を表す色で描く。ライオンなら赤、牛なら緑など。
●環境に従って生きるのが動物。環境から描く。
●動物学はアストラルの教育。
●自分に似たところを見つけ、動物に共感しながら学ぶ。
●あれこれ手を出すのではなく、取り上げる動物を少なくして、深く学ぶ。
■三分節でとらえ、それぞれの特徴が際立った動物を取りあげる。
外形や機能に注目して、
・神経感覚系
・リズム系
・代謝系
魂に注目して、
・思考系
・感情系
・意志系
■何の動物にするか迷ったときには、自分がワクワクしながら語れる動物を選ぶ。例えば、初めて学ぶ動物、身近な動物。
■図鑑もいいが、小説は情景描写の助けになる。動画も◎インターネットは、情報が正しいかどうか、検証が要る。
■最後には人間、自分自身にかえる。人間は動物ほどの特別な能力を持っていない。しかし、いろいろな特徴をバランスよく持っている。だからこそ、できることがある。
■行為することで世界を変えるということ。手の仕事の重要性が伝わるといい。意志系の動物とからめるとやりやすい。土曜クラスなら、子どもの発達段階に合わせて。

Q 「この動物は○○系、は主観?」
A 調べれば、○○系だと言い切れる客観的根拠が見つかるはず。
  外形や機能だけでなく、魂的な視点も持って。
  それでも迷うときには、語るときにどこに重点をおくか、が大切。
▼自分自身は、感覚器官の代表はイカとネズミ、代謝器官の代表はウシとシカ、リズム器官の代表はライオンを取り上げた。ネズミについては、代謝器官の動物としている先生もいる。ゾウは人間に近い動物として取り上げた。代謝器官の動物としている先生もいる。
▼最終的に責任を持つのは自分。「○○先生がやってた」でなく、自分が納得できる動物を選ぶのが一番いい。
▼絵も良いが、粘土も使える。手足が冷えている場合は、土粘土よりもミツロウ粘土を。


大人は自己教育、学びはすぐそばに

人間のはじまり

振り返ってみると、動物学のときほど、周りの人に頼ったことはないかもしれない。

保護者の皆さんも、大人クラスでシュタイナーの思想について学ばれている。それならば・・・と、オキツさんにおすすめ本を尋ねてみたら、この本ならこのあたり、その本なら何ページあたり、と具体的なお返事。こんなに頼りになる先輩が、こんなに身近にいるなんて!

「保護者がシュタイナー教育に詳しいと、教育とはこういうもの!って、信念が対立しない?」って仲間から尋ねられたことがあるけれど、全くそんなことはない。「大人は自己教育で成長するもの、外から変えられるものではない」という共通理解があるからだろうか。「動物園に行きたいな~」と声に出せばあっさりOK、大人クラスを動物園開催に変更して協力してくださる(そのときの大人クラスについてはこちら→ 大人のための動物園実習)。振り返ってみても、助けてもらった記憶はたくさんあるが、対立したことは皆無。これは、神戸シュタイナーハウスの大きな特徴だと思う(大人クラスの特徴についてはこちら→ はじめに~大人クラスについて~)。

当時、私の日常においては、「教えてもらってないからできません!」と怒る人がいて困っていた。しかし、動物学についていろんな人に教えを乞い、「できないことを正直に認めて助けてもらうって大事だなぁ」と思えるようになった頃、怒っていた人たちは自然と私から離れていった。私が自分自身の生活から学び、自分を成長させることができたので、もう一緒に学ぶ必要がなくなったのだろう。

よし、これで自信を持って子どもたちの前に立てる。次のステージへ進むときだ。
こうして、動物学はスタートした。

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えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。
小学校教員を経て、現在は放課後等デイサービスの指導員として働くかたわら、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。
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神戸シュタイナーハウス
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