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【子ども・大人】チューバで食うのだ!|22年4月2回目|音楽家・チューバ奏者 ヒロ・シバタさん

2022年4月のゲストは「音楽家」「チューバ奏者」のヒロ・シバタさん。「チューバ奏者」と聞いて、ニコニコ笑顔ののんびりオジサンを想像していたら、茶髪ロン毛の浅黒ダンサー風の人が登場してビックリ! 大変失礼ながら「チューバ奏者って仕事になるのかな」なんてことも、ちょっとだけ気になりつつスタート!

出会いは偶然に訪れる

ヒロ・シバタさんとチューバとの出会いは、中学校に入学してまもなくの頃。「廊下を歩いていたら高3の先輩に肩を抱かれて吹奏楽部に連れて行かれ、そのまま勧誘されてチューバ担当になったんです」。そこで「コレおもろいやん」と目覚め「そのまま高校を出るまで6年間、ずっとチューバに熱中していた部活バカでした」。

ちなみに真剣に楽器を練習したのはそれが初めて。親が音楽家だったわけでもないし、子どもの頃からピアノを習っていたわけでもない。「音楽のプロになるなら早期教育」という定説をものともせず、部活でチューバを吹いているうちに「音楽で食いたいな」という思いが芽生えていた。音楽で食うなら王道は音大への進学だが「好きな音楽だけやりたいから」と別の道へ。

普通に大学を卒業して、さてどうしようかと考えていたところ、消防音楽隊の募集を発見。「うわ、音楽で食えるやん!!」と、めちゃくちゃ練習して見事に合格を勝ち取った。出初式や地域のお祭りはもちろん、GIのメインレースのファンファーレなんかを吹くお仕事。本番が年間200本もあるという忙しい日々を過ごし、5年間の契約を無事満了。契約の更新はしなかった。

一人立ちするのに必要なのは

とは言え、日本にはプロのオーケストラは33あり、その中でもチューバの席はあったりなかったりと不安定で、なかなか空席なんて望めない。待っていたら仕事にならない中で、さて、どうやって食べていこうか。それまでは給料をもらっていたけれど、音楽で食べていくためには、否応なくお金のことを考える必要に迫られた。

安定的な収入は、演奏とレッスン料。レッスンに関しては、1時間あたりの金額に加え、交通費・場所代など、きちんと明示してお願いし、納得してくれた人との間で仕事を続けた。演奏のギャラ設定では、演奏家連盟の示す金額をベースに、いろんなジャンルを演奏できるし、何なら他の楽器も持ち変えられるという自分の特性も考慮して交渉した。レコーディングで「“こういうフレーズが欲しい”と言われたら“こんな感じ?”と提案できるのも重宝されました」。あとは編曲を頼まれたり、文化庁の学校公演を自分でプロデュースしたり、不定期の収入も。

音楽家は演奏に集中するあまり、お金のことを気にしない人が多い。おもしろい音楽をやってるのに全然お金になってない人たちを見ると、人ごとながらもどかしい。関係の出来た人たちとは「もうちょっとちゃんとした方がいいんじゃない?」と、企業や行政など予算のついている案件を取って来たり、ライブのチャージ料を一緒に計算するなど、いろんなやり方を考えている。

時代を無視せず、でも飛びつかず

最近では、CDを買うよりyoutubeやサブスクで音楽を聞く人が増えてきた。調べればすぐわかる事だが、動画サイトなどでは10回再生されても2~3円、みたいな世界だそうで「それなら今はCDを売る方がいい」と自分のやり方が決まる。

音楽をやってる人に限らず、自分のやりたいことをしたい、なんて言う学生には「思いを形にするためには現実を見よう。特にお金の勉強はちゃんとしよう」と伝える。数字と向き合うことで、どうやったら好きなことを形にし続けられるのか、具体的に考えが進むから。

こぼれ話が濃くてビックリ!

そんな風にリアルな仕事の話が一段落した後、海外ツアーの話に。ドイツ・オーストリア・チェコを訪れ、5週間で50本も路上ライブをした事。警察に囲まれ、隙を見てトンズラしたやんちゃな話。単語を並べる程度の英語力でも初対面の外国人とガンガンおしゃべりする人なつこさ…。素顔もチラリと見せてもらいました。

中学生の身近にはあんまりいないタイプだったから、いい意味でのカルチャーショックになったかも。やりたい事を続けていくためには言われたことを真面目にやってるだけじゃ足りない、とか、緻密な計算もバイタリティも交渉力も、あれこれ身に付けていかなくちゃ! なんて事も聞かせてもらった。まだリアリティはないだろうけど、それぞれのペースでどう消化していくのか、10年後くらいが楽しみです。

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神戸シュタイナーハウス
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