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【子ども】あなたの最終目標は?|22年3月漫画家の藏丸竜彦さん

わりと双方向のコミュニケーションが取れて、ざっくばらんな雰囲気の全体の時間が済んだら、大人と子どもに分かれてそれぞれの学びを深める時間。

全体の時間の記事はこちら↓

中学生の書いたノート↓

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いつもと同じ流れで

お手玉で少しブレイクタイムを設けた後は、いつも通り質問を集める。中学生たちはもう慣れたもので、お手玉終わりの声をかけるとペンを持って待っている。

いつも同じ流れで進める、というのは低学年の頃からずっと意識していることの一つ。お互いに見通しが持てて安心感があるし、先生がリーダーシップを取ってぐいぐい引っ張る必要がないので、とても緩やかに穏やかに進行していく。中学生って身体も心も気だるく重くなりがちな時期だけど、ゆらゆら流れて進むのは大丈夫な様子。ジェットコースターやショーみたいなスピード感やスリルあふれる授業も素敵で楽しいけど、誰かに引っ張ってもらうタイプの授業は他の方にお任せしておきたい。この場での先生役は、交通整理が主な仕事。


あれもこれも聞いてみたい

さて、漫画家さんへの質問は、促さなくてもたくさん浮かんでくる様子。数学で好きな単元について、ストーリーの作り方や漫画を描くときのツールについて、子どもの頃の様子ややる気が出ないときどうする?といった相談みたいな質問も。

漫画って、身近で親しみやすくて、興味深いもんね。それに、藏丸先生は数学の先生だったからか、気軽に話しやすい雰囲気。考えてみれば、漫画家も教師も、中学生にとってすごく身近な職業なのかもしれない。

藏丸先生はというと、質問にはもちろん答えてくれるのだけど、それにプラスして
「じゃあ、あなたは?」
って返してくれる。とても自然な形で対話が生まれていくのは、少人数ならでは。この企画の強みとも言えるところ。「この人すごい!」って感じる人が、自分に興味を持ってくれているそのことが、ちょっと嬉しそうな中学生たち。前回のゆうせんせーのときにも感じたけれど、大人に認めてもらえる、大人と対等に話せるって、彼らがいつも求めていることの一つなんだろう。私はつい、可愛らしい小学生だったころの面影を引きずってしまうけれど、きっともうそんな年齢じゃない。

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最終目標は?

いろいろな質問が出たけれど、聞いているこちらがドキッとさせられたのが「最終目標は何ですか」。

世界中の人を救いたいから、薬の研究者。
世界平和を目指したいから、今の生き方。
透明な教科書に悩む子を救いたいから、発達支援。

確かに、これまでのゲストの方々を振り返ってみると、職業に就くことが目標なわけではなく、その先にあるもっと大きな何かを目指している方ばかり。こんな質問、この企画を始めたころには出なかっただろう。継続してきたことの意義や、中学生の内面の変化を感じられずにはいられなかった。

藏丸先生は、漫画家としての目標とその先の目標、両方を答えてくださった。海外進出、そして、他者に伝える力がレベルアップした状態で数学教師に戻ること。

ああ、そうか。伝えることを大切にされている方だから、今回はこんなにも双方向のコミュニケーションが生まれやすいのか。相手のことを知って、相手が受け取りやすい言葉を選んで、相手の思いを大切にする。うまく伝えるって、聞き手を尊重することから始まるのかも。中学生がしてくれた質問によって、大人が考えさせられ、自分の人生を考える。そんな大人を前にして、中学生も何かを感じ取ってくれる。これもまた双方向の学びであり、この場で大切にしたいことの一つだなと思う。


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えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。 小学校・放課後等デイサービスを経て、現在は児童発達支援事業所で障害児支援にあたりつつ、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。
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