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【子ども】植物学④私たちはチューリップ

私からの話を受け入れるだけでなく、ああでもない、こうでもないという話し合いが、少しずつできてきたところで(これまでの経過はこちら→植物学)、いよいよ被子植物。


被子植物ってどんな植物?

被子植物は、先月の裸子植物と違って、胚珠が子房に包まれている。胚珠は種子のもとであり、仲間を増やすための大切なものだ。「大切なものをきちんと内側にしまっておく」ことができるなんて、先月の裸子植物よりずい分大人になった印象を受ける。

さらに、被子植物は単子葉類と双子葉類に分類できて、単子葉類は葉脈がすーっと真っすぐ平行に伸びているのに対し、双子葉類の葉脈は枝分かれして複雑。また、単子葉類の根っこがひょろっと柔らかくてひげのようなのに対して、双子葉類の根っこは真ん中にどーん!!と太い主根があって、その脇から側根が枝分かれしている。

もう一つ、形や数に注目すると、ある法則性が見えてくるのだけれど・・・

さて、子どもたちは、この単子葉類と双子葉類の違いをどんな風に受け取るだろう。


単子葉類ーチューリップは家と同額、しかも私たちと同い年

チューリップ

(↑ 木の右側に、チューリップの花壇を描き足した)

単子葉類の代表的な植物として、チューリップを取り上げることにした。

チューリップは、これまた身近な植物で、学校で育てたことがあったり、卒業式や入学式のときに飾っていたり、全員が「知ってる、見たことある」のが、今までの植物とは大きく違うところだ。

チューリップには逸話がたくさんあって、中でも子どもたちが食いついたのは「その昔、庭付き一戸建てとチューリップの値段が同じだった」という話。知ってると思っていた植物の「えー!知らなかった!!」という部分が見えて、一つの物事を多角的に捉えることになったと思う。

チューリップ_クレヨン画

これまでの経緯を振り返ると、
「チューリップは自分たちと同じくらいの年齢じゃないか」
と子どもたち。そうかもしれない。美しさというよりはどこか可愛らしさもあって、葉脈も花びらの筋も真っ直ぐで交わらず、素直に伸びていく印象。子どもたちから意見としては出なかったが、土の中にこっそり球根を蓄えているところが、おやつを期待し、お腹を空かせて待っている彼らと似ているような気もする。

この日のおやつは、ネギを焼いたもの。葉脈が同じだね、なんて言いながら口に入れ、「甘い!」とびっくり。これも、違う角度から出会ったことになるだろう。なんだか、おつまみみたいなおやつが続いているが、それもまた良し。


双子葉類ーバラへの憧れ、がくとしての自覚

双子葉類

(↑ 右の手前に、バラ園を追加)

最後は双子葉類。代表的なものとして、バラを用意した。凛とした美しさの中には強さがあって、トゲや葉脈の複雑さからは、チューリップの単純さとは違う印象を受け取った様子。

しばらく観察していると、5枚のがくの形が特徴的なのを見て、
「こいつは、がくとしての自覚が足りない」
という名言が飛び出した。確かに、花びらに近いところは赤くて花びらみたいだし、葉に近いところは葉と同じようにギザギザだ。自分を花か葉だと思っているようで、まさに、がくとしての自覚が足りない。ぴったりの表現だった。

さらに言えば、植物は環境に身を委ねて生きているので、「自覚」なんかできない。できるのは人間だけなのだ。

また一本取られたなぁと思いつつ、
「バラは高校生か大学生くらいかな」
と問いかける私に、首を縦に振る子どもたち。同じ印象を持っていたようで、こんな華やかで素敵な花をプレゼントするような恋愛って・・・という話に発展していく。ちょうどこの頃は2月。バレンタインにバラの花束を贈る話はぴったりだった。

双子葉類_クレヨン

バラに関してもいろんな角度のお話ができるけれど、子どもたちが一番目を輝かせたのは、「青いバラ」の話。青い花は作れないと言われていたが、品種改良を繰り返し、日本の会社が開発したのだ。これについては賛否両論あるだろうけれど、
・ないものを生み出す
・失敗しても成功を目指す
・夢は叶う
・今も続いている
といったところを強調して語ったのが、ちょうどヒットしたらしい。このとき、子どもたちは小学5・6年生。5年生のみが相手だったら、また違う話を選ぶかもしれない。

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この月のおやつは、リンゴを輪切りにしたもの。しかし、ちょうど、感染症予防にピリピリし始めた頃で、「食べない」という選択をした子もいた。もしも、安心して食べられる時期だったら、もっと感動的な出会いができただろう。また、小松菜かチンゲン菜を選んで、その場で切ってみるのも楽しそうだ。根元をバッサリ落としたときの切り口がバラに似て美しく、私は台所でその形に出会う度にうっとりしてしまうから。

やはり、植物に関してはやりたいことが尽きない。
オンラインへ切り替わったこともあり、もう少し、被子植物の形や数に注目するような活動を続けていくことにした。
この続きは、次回!

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えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。
小学校教員を経て、現在は放課後等デイサービスの指導員として働くかたわら、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。
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