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【Oaxaca Incubation program開講】 伝統工芸職人が生成AIを活用してブランドをつくる

ついにオアハカでのインキュベーションプログラムがスタートしました!

今回は、来年の本プログラムに向けたテスト・パイロットプログラムとして、オアハカの主に民芸品の制作を行う2つの村Santa Ana del Valle と Santo Tomas Jaliezaを対象に約6ヶ月の講座を提供します。

本日は、インキュベーションプログラムの全体像や先日行った第一回の講座についてシェアできたらと思います!

インキュベーションプログラムで何を学ぶの?

それぞれの村が取り扱う民芸品は、
Santa Ana del Valle
Tapete(敷物)と言われる自然染色された糸を使った織物たち

Santa Ana del Valleの民芸品

Santo Tomas Jalieza
Dansantes(踊り手)や動物など伝統の模様を編み込んだ織物たち

Janto Tomas Jaliezaの民芸品

といった代々村で引き継がれている手工芸品です。

それぞれの村はこの手工芸品をより多くの人の手に届けたいという思いはありますが、「認知度が低く観光客に村へ足を運んでもらえない」「他の民芸品との差別化ができず買ってもらえない」など様々な課題を抱えています。

そこで、今回の講座では「各村が民芸品を魅力的にブランド化し、オンラインでの発信力を高め、より多くの人に民芸品を販売できるようにする」ことを目標にブランディングから生産管理、マーケティングまでの講座を提供し、最後には販売のためのイベントを企画してもらう予定です。

インキュベーションプログラムの4つのテーマ

また、今回のインキュベーションプログラムでは生成AIなど最新テクノロジーも取り入れ、参加者の知識やスキルが不足する部分を補うということにもチャレンジしていきます。

というのも、今回の対象とする村には先住民の文化が色濃く残っており、
・第一言語が先住民言語でスペイン語を正確に書くのが難しい人がいること
・外国人観光客へ販売を行う際に必要になる英語力が不足していること
・小中学校までしか就学していなく、ブランドコンセプトなどを考える際に必要となる思考力が不足していること
などの問題があります。

ここを生成AIを上手く用いることで突破できるのではないかと考えており、今回のパイロットプログラムを通して検証していきたいと思っています。

第一回講義・ブランドコンセプトをつくろう

第一回目の講義では、ブランドコンセプトをつくることに取り組みました。
まず初めに「ブランドって何?」という点をメキシコ人が大好きなコカコーラの事例を見ながら学んでもらいました。

コカコーラの事例を用いてブランドについて講義

身近な事例を取り上げたことで、参加者も興味を持って話を聞いてくれました。

ブランドについて学ぶ参加者

そして、ブランドについて理解をしてもらったところで、実際にブランドコンセプトを作るために、以下の4つの問いに取り組みました。

  1. あなたのお客さんは誰?

  2. あなたの商品の特徴は?

  3. あなたのストーリーは?

  4. あなたの志は?

ブランドコンセプトづくりを学ぶ参加者

1.あなたのお客さんは誰?、2.あなたの商品の特徴は?のワークでは、YoutubeやPintarestを使い、お客さんの生活を具体的に想像してもらったり、競合の商品を見たりすることに取り組みました。

真剣にワークに取り組む参加者たち

3.あなたのストーリーは?、4.あなたの志は?のワークでは、参加者同士で村や民芸品の歴史、商品に対する思いを共有してもらい、私たちも村や商品、そして参加者のことをより深く知ることができる機会となりました。

村の歴史について語る参加者たち

そして、4つのワークを通し自身の商品やビジネスをやる理由を振り返り整理してもらったあと、その情報を元にブランドコンセプトを考えてもらいました。

ブランドコンセプトの検討は、1〜4の内容を要約しながらブランドを表す言葉を1文で表現するというとても難しい作業です。
そこで、このパートでは生成AIを用いて、案をいくつか考えてもらい、それらを参考にしながらブランドコンセプトを作るということにチャレンジしてもらいました。

事前に我々で用意したプロンプトに、1〜4で検討した内容を参加者に記入してもらい出た結果がこちら。

生成AIを用いてブランドコンセプトを作成

いい感じのブランドコンセプトがいくつか出てきました!
参加者たちの反応もよく、生成AIの結果からブランドコンセプトを作成することができました。

第一回講義を終えて

第一回の講義では各村約10名の方に参加いただき、ブランドコンセプトの作成までを学んでもらいました。
オアハカの伝統工芸を担う職人の方々に実際に講座をして感じたことを最後にお話しできたらと思います。

どんなチームをつくるか

今回は2つの村で異なる年代のチームを作り講座を提供しました。
一方は伝統工芸のベテランが集まるチーム。

Santa Ana del Valleのベテランチーム

そして、もう一方は20代の若者が集まるチームです。

Santo Tomas Jaliezaの若者チーム

同じ講座を2つのチームに実施し、やはり学びの速度やアウトプットの深みに差が出たのが今回の1つの大きな学びです。

やはり若手チームは理解の速度も早く、テクノロジーを使うのにも慣れているので講座はかなりスムーズに進んでいきました。
しかし、ブランドコンセプトづくりで重要となる村のストーリー、工芸に対する理解はやはりベテランチームの方が深みがあり、よりその魅力を伝えることができることがわかりました。

当たり前ですが、それぞれの世代が異なるスキルを持っているため、来年度の講座では若者とベテランの方々が共に協力し合いブランドづくりをできるチームやスキームをつくることをしていきたいなと思っています。

最新テクノロジーの活用について

今回の一つのチャレンジである生成AIの活用についてですが、前述した通りかなり効果的に使えることがわかりました。

生成AIの使い方については、若者に関してはすでに学校のレポート作りに使用していたりと慣れており、使える場面や適切なプロンプトの書き方を教えるだけで、彼ら自身でどんどん活用していけると感じました。

生成AIを使いこなす若者

一方、ベテランの方々は生成AIを初めて使う方も多く、まだまだ手探りな様子ですが、皆さん実際に生成AIを試しに使ってもらうことで、新たな手段を知ってもらえたかなと思っています。彼らが生成AIを使いこなすのは、まだ難しそうですが、若い世代とコラボすることで、いろんなチャレンジができるのかなと考えています。

また、生成AIを使うことで"ブランドコンセプトを表す一文を考える"など多少経験が必要になることでも、未経験である程度のクオリティーで仕上げられることがわかったことも一つの大きな気づきです。

というのも、これは、私たちが利用シーンと適切なプロンプトを用意するだけで、誰もがより簡単にブランドづくりやビジネス成長に取り組めるようになる可能性を示しているからです。

次回も生成AIをロゴ作りやマーケティング施策の立案に使うワークを試してみる予定です。
今回のパイロットプログラムを通して、小規模事業者や職人たちのビジネスに対して、どのように最新テクノロジーを活用すると効果的かを明らかにしていけたらと思います!

以上、第一回講座をやってみての感想でした。
次回の講座を実施後、また学びを共有できたらと思います。


余談ですが…
今回、講座を実施した村、実はネット環境が良くありません・・
(各家庭ではネットが使えるようですが、街中は3Gの電波も弱弱)
なので、今回は我々の活動をサポートしてくれているオアハカ経済省SEDECOよりStarlinkを借り講座を実施しました!
どこでも電気があればネット環境を得られるStarlinkに感謝です。
イーロン・マスクさん、グラシアス!

犬とStarlink

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