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書籍『市民的抵抗:非暴力が社会を変える』

エリカ・チェノウェス (著), 小林 綾子 (翻訳)
出版社 白水社
発売日 2022/12/30
単行本 402ページ



目次

謝辞/まえがき

序章
 なぜ「市民的抵抗」と呼び、別の呼び名でないのか?
 市民的抵抗はどのように発展したのか?
 市民的抵抗の成功率はどれくらいか?
 市民的抵抗の典型例は何か?
 本書の構成
第一章 基本事項
 市民的抵抗はどのように変化を生み出すのか?
 非暴力をどう定義するか?
 代表的な非暴力行動とは何か?
 市民的抵抗と抗議の違いは何か?
 市民的抵抗において芸術や音楽にはどのような役割があるか?
 市民的抵抗におけるユーモアの役割とは何か?
 「並行機関」とは何か?
 暴動は市民的抵抗と考えられるか?
 所有物の破壊は市民的抵抗と考えられるか?
 ハンガーストライキ、焼身自殺や他の自傷行為を市民的抵抗と考えられるか?
 市民的抵抗と市民的不服従の違いは何か?
 デジタル・ハクティビスムは市民的抵抗と考えられるか?
 ほとんどの非暴力運動参加者は穏健主義者か?
 市民的抵抗と「礼儀正しさ」はどう関係しているか?
 市民的抵抗キャンペーンと社会運動の違いは何か?
 市民的抵抗運動にはどのような段階があるのか?
 市民的抵抗を用いることが正統であるのはいつか?
 非暴力抵抗は道徳に欠けたものになり得るか?
 抑圧された人びとが抑圧と戦うのは市民的抵抗という手段によってのみと考えて良いか?
第二章 いかに市民的抵抗はうまくいく?
 市民的抵抗キャンペーンを効果的にするのは何か?
 非暴力の市民的抵抗運動はどのようにして大勢の支持者を惹きつけるのか?
 成功を収める市民的抵抗運動はどうはじまるのか?
 民衆が動員の機会と動機を持つとき、なぜ武力抵抗ではなく非暴力を選ぶのか?
 効果的な市民的抵抗キャンペーンに定式はあるのか?
 だれが市民的抵抗運動に参加するのか?
 女性はどのように市民的抵抗に関わるのか?
 市民的抵抗運動はどのように政権支持者の離反を促すことができるのか?
 離反とクーデターの違いは何か?
 政権に攻撃を受けながら、いかに運動は支持者を惹きつけるのか?
 どの市民的抵抗戦術がもっとも効果的、あるいはもっとも非効果的か?
 ソーシャル・メディアやデジタル技術は非暴力運動にどう影響するか?
 三・五パーセント・ルールとは何か?
 運動が人口の三・五パーセントをデモに巻き込めさえすれば必ず成功するのか?
 三・五パーセント・ルールに例外はあるか?
 もっとも高い割合の人びとが参加したのはどの運動か?
 三・五パーセント・ルールは指導者の退陣や独立を達成するといった大きな変化を目的としない運動に
 適用可能か——たとえば、気候変動運動や、地方政府、企業や学校に対する運動はどうか?
 たった三・五パーセントという少数で政府を転覆できるということは民主主義にどういう意味を持つか?
 市民的抵抗運動が成功するためには、たったひとつの明快な運動理由が必要か?
 どのようなタイプの組織構造がもっとも有効か?
 カリスマ的指導者は必要か?
 非暴力的抵抗は民主主義体制、先進国、あるいはよりリベラルな文化でのみ有効なのか?
 非暴力キャンペーンが失敗することがあるのはなぜか?
 市民的抵抗が企業相手に成功したことはあるか?
 市民的抵抗が人種差別のような長きにわたる抑圧体制に対し成功したことはあるか?
 市民的抵抗は深く分裂した社会で機能し得るか?
 市民的抵抗はどのように広まるのか? 何がその広まりを促進あるいは阻害するのか?
 ある国の政府が他国の市民的抵抗運動を煽り立てたことはあるか?
 ある程度の国際的な支持がなくとも市民的抵抗はうまくいくか?
 なぜ多くの人びとがソ連崩壊に驚いたのか、そして二十年後に「アラブの春」でも驚いたのか?
 非暴力抵抗が不可能な状況——あるいは暴力抵抗がより有効な状況はあるか?
第三章 市民的抵抗と運動の中から生じる暴力
 何を暴力に含めるか?
 組織立った武装集団が非暴力運動と共に戦うことはどのくらい一般的か?
 純粋な非暴力運動はいまだかつてあったのか——つまり、道路上の殴り合いや暴動といった非武装暴
 力のない運動はあったのか?
 非武装暴力を含むキャンペーンにはどのような例があるか?
 暴力を暗にほのめかす非暴力キャンペーンばかりではないのではないか?
 周縁暴力の中には非暴力運動の成功を助ける暴力があるか?
 暴徒は非暴力キャンペーンを損なうか?
 暴力は長期的にはいつも市民的抵抗運動を害するか——あるいは状況によっては運動の助けになるのか?
 周縁暴力は、長期的にはどのように各国に影響を及ぼすか?
 煽動者は周縁暴力を煽ることにどれくらいの頻度で成功するのか?
 暴徒を参加させたり、受け入れたり、許容する非暴力運動があるのはなぜか?
 では、非暴力運動は周縁暴力をどのように予防あるいは制限できるか?
 暴力を使うかどうかで根本的に意見が一致しないとき、運動はいかに団結を維持できるか?
 暴力的にはじまった運動は市民的抵抗キャンペーンに移行できるのか——そして成功するのか?
 周縁暴力は不可避なのか?
第四章 市民的抵抗と運動に対する暴力
 抑圧とは何か?
 人びとは残虐な独裁者に対して非暴力市民的抵抗キャンペーンを試してみることはあるのか?
 非暴力キャンペーンに対する抑圧はどれくらい一般的なのか?
 抑圧は非暴力キャンペーンにどのような影響を及ぼすのか?
 市民的抵抗はどのような意味で危険なのか?
 政権が非暴力キャンペーンに大虐殺という手段で対応することはどれくらいよくあることなのか?
 市民的抵抗キャンペーンは抑圧にどう反応するのか?
 インドの塩の行進は、大英帝国ではなくヒトラーに対する闘いであったら、非暴力を維持できたか?
 武装抵抗は大量虐殺政権と戦うことが求められるのか?
 政府下の民兵、暗殺部隊、その他の非政府武装集団が暴力的に攻撃してくるとき、キャンペーンはどう対応してきたのか?
 非武装運動に対する抑圧が裏目に出るのはいつか?
 市民的抵抗キャンペーンは抑圧に弱い参加者や潜在的参加者が抱く恐怖をどう扱うのか?
 市民的抵抗運動は虐殺を予防あるいは減少させ得るのか?
 国際社会は非暴力運動に対する虐殺を予防できるのか?
 残虐な政府に対する制裁は非暴力闘争に立ち上がる市民を守る助けになるのか?
第五章 市民的抵抗の未来
 非暴力革命はなぜより一般的になってきているのか?
 市民的抵抗は時代を経るにつれて効果的になっているのか?
 市民的抵抗運動の効果はなぜ二〇一〇年以降低下しはじめたのか?
 スマートな抑圧とは何か、運動はどうこれに適応しているのか?
 権威主義的支配が進展しつつある昨今、権威主義政権に定着した力に挑戦する上で、市民的抵抗に未来はあるのか?
 非暴力キャンペーン終了後に何が起こるのか?
 市民的抵抗が勝利したあとに権威主義体制への揺り戻しが起こることがあるのはなぜか?
 市民的抵抗の活動家は政治的突破を成功させたあとの移行の準備をどうしてきたのか?
 市民的抵抗は真の意味で革命的目標を達成することに成功してきたのか?
 市民的抵抗は新型コロナウイルスのパンデミックにどう反応してきたか?
 市民的抵抗が多くの事例で有効であると証明されたのに、人びとが完全には市民的抵抗を受け入れていないのはなぜか?
 一般の人びとにとって難しくなく手の届きやすい市民的抵抗にするにはどうすればよいか?
 市民的抵抗についてみなが知るべき五つの点とは何か?
 
 訳者あとがき
 人名索引/註/文献/付録(おすすめ資料/キャンペーン一覧)

公式サイトより


内容紹介

3.5%が動けば社会は変わる! 暴力より非暴力の方が革命は成功する! 世界中で話題をさらったハーバード大教授による現代革命論

革命をもたらす3.5%の力

「ある国の人口の3・5%が非暴力で立ち上がれば、社会は変わる」。
この「3.5%ルール」で一躍有名になったのが本書の著者で、ハーバード大学ケネディ行政大学院教授のエリカ・チェノウェスだ。
本書は、この「3.5%ルール」をはじめ、市民的抵抗の歴史とその可能性を探る試みである。どこか弱々しく、悲壮なイメージがつきまとう非暴力抵抗だが、実証的にアプローチしてみると、その印象は一変する。
過去120年間に発生した627の革命運動の成功率を見てみよう。暴力革命と非暴力革命とではどちらが成功したのだろうか?
1900年から2019年の間、非暴力革命は50%以上が成功した一方で、暴力革命はわずか26%の成功にとどまる。
これは驚くべき数字である。なぜなら、暴力行為は強力で効果的であるのに対して、非暴力は弱々しく効果も乏しいという一般的な見方を覆す数字だからだ。
他方、この10年で非暴力抵抗の成功率は下落傾向にある。「スマートな独裁」とともに、運動がデモや抗議に過度に依存していることが背景にある。
社会を変革するための新たな方法論の本邦初訳。

公式サイトより


レビュー

 最高におすすめの一冊です。

 まず「目次」が公式サイトに全文記載してあるという心遣いに感動いたしました。
 加えて「内容紹介」もポイントをしっかりと押さえているため、「目次」と「内容紹介」に目を通していただけましたら、間違いなく本書の概要を把握していただけると思います。

 更には巻末の「付録(おすすめ資料/キャンペーン一覧)」「訳者あとがき」にも隙はなく、価値の高い情報へと芋ずる式に繋げてくれますゆえ、まさに至れり尽くせりです。
 また「人名索引」は便利な仕様となっており、例えばバラク・オバマは「あ」行にて「オバマ、バラク 320」と表記されていて、探し易かったです。例として320頁のオバマのくだりを一部引用すると

 (中略)
 結局のところ、アメリカは第二次大戦後、右翼権威主義者の登場を手助けしたという長い歴史を持つーイランのシャー・レザー・パフラヴィ―、コンゴのジョゼフ=デジレ・モブツ将軍、チリのアウグスト・ピノチェト将軍、その他、アメリカが背後についたクーデターで実権を握った者たちがいる
 第二に、民主主義の擁護者が巧みに独裁側の同盟を組む相手に圧力をかけ、国内政治危機において方針を変えさせられると過大に述べている。たとえば、「アラブの春」において、2011年のバーレーンでは、何十万もの人びとがハリーファ家の君主制に抗議をはじめ、民主主義を要求した。しかし、バラク・オバマ大統領の反応は消極的で、抗議者たちに平和的な運動を求め、バーレーン政権には人権を守るよう要請しただけだった。このような言葉の背景には、アメリカがバーレーン政府に対し真の意味で圧力をかけようとしていなかったという事情がある—バーレーンはこの地域で重要な軍事同盟国だからである。それよりも、アメリカが懸念したのは、バーレーンにある、戦略的に重要な海軍基地へのアクセスを維持することであった。アメリカは、バーレーンの君主との合意をつうじて基地を維持していた。政府の改革や退陣を要求すれば、君主を怒らせ、同盟が危機に陥る。
(以下略)

本書より(太字変換はSTARLET)

 とあり、アメリカの重要な「負の歴史」について指摘されています。
 ※ちなみにドナルド・トランプは(トランプ、ドナルド 48,71,72,78,96,126,127,162,178,223,224,275,315,326,327,330-332)と多めの登場

 「本当に非暴力で勝てるの?」という疑問がここ5年くらい頭から離れない状況が続いていたため、学びとなりました。
 ※最近著書を読み漁っていたジーン・シャープは(13,28,41,42,57,73,75,92,111,215,350,355)にお名前あり
 


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