夜という名の街 (2011)
ランプ
夜という名の街に暮らすアニは読書が大好きで、いろいろな本を読んでは、収まらなくなった本棚のとなりにたくさんの本をつみ上げていて、ときにはその本を使って机やイスなどを作っていた。カラフルな装丁の本はどれもマニマニと呼ばれる大木の皮を使っていて、汚れや傷につよくてとても丈夫なものだ。
ある日、アニがいつものように本を読んでいると、突然部屋のランプの光が消えてしまった。夜という名の街はいつも真っ暗で、彫星師《ちょうせいし》と呼ばれる職人の手で空に刻み込まれた星々が、定点