2024年10月の星の行方
ゴールデンカオス
「遠くの景色が見たい。できる限り、遠くまで」
ロス・パラジオは毎日、そう祈った。彼は目の前の風景が気に食わなかった。手元、足元、どこを見ても不満を感じる。毎朝、家の周りを散歩して、祖母が遺した花瓶に生ける花を探しても、どの花も彼に振り向きはしなかった。いっそのこと、そこらじゅうに落ちた枯れ枝を束にして、花瓶の口を塞いでしまうほうがいいようにさえ思えた。
港町に住むサンドラも、ロス・パラジオと同じ祈りを込めて、毎日を過ごしていた。潮の香りをまとう暮らしを