ドグラ・マグラ 読書感想文

夢野久作 ドグラ・マグラ 青空文庫 1935年

鮮烈。その一言。

漫画で小学館の週刊少年サンデーで連載中の「君は008」の敵役組織の名称がドグラ・マグラであったことに加えて、Kindleの青空文庫で無料で読めるとのことで、早速ダウンロードして読んだ。

冒頭の、隣室の女の叫び声の描写が、私にはずっとこびりついた。あまりに魅力的な叫び声だったのだ。なぜだろうと思うくらい、不気味で、惹きつけるカタカナの使い方。2回続けて出てくるその描写を、もう一度聴きたい(見たい)とページをめくるも現れない。そのドキドキ感を感じたいとページをくっているうちに、すっかり物語の虜になっていた。

カタカナの使い方がべらぼうにうまいのではないかと思わせられる本だった。途中の歌も、カタカナによるオノマトペチックな表現が鮮烈だし、最後まで不気味なまま終わっていく様は、異質なミステリー。

比較的長い本で、700ページほどあると思われるが、毎晩ページをめくって5日間ほどで読んだ。
君は008での話とは被らないと思うから、それが好きだからと言ってこの本を好きになるとは思わない。

推理小説が好きで、最近のものを結構読んでしまっていて、長編でもよくて、過去と現在のつながりがあると思える人には、刺激的で楽しいかもしれない。

青空文庫の方々の努力で労せず読めることに大感謝。

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