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男性アイドルグループの変遷と「推し活」文化の台頭

擲果満車(てきかまんしゃ)
→ 非常に人気があることや美少年のこと。

擲果満車(てきかまんしゃ)とは、非常に人気があることや美少年のことを表す四字熟語だ。

この言葉の由来は、中国の古典「晋書」に遡る。

西晋の時代、潘岳という美男子がいた。

彼が街を歩くと、女性たちが競って果物を投げ入れたため、車が果物でいっぱいになったという。

「擲果」は果物を投げること、「満車」は車がいっぱいになることを意味する。

この逸話から、擲果満車は「非常に人気がある」ことの比喩として使われるようになった。

特に、容姿端麗な人物や、多くの人を魅了する存在を表す言葉として定着した。

日本では、平安時代の文学作品にも類似の表現が見られる。

「源氏物語」では、主人公・光源氏の美しさを讃える場面が多く登場する。

「車に乗る姿は花のようだ」といった描写は、擲果満車の概念に通じるものがある。

現代社会では、この言葉はアイドルやタレントの人気を表現する際に使われることがある。

特に、熱狂的なファンを多く持つ存在を指して、擲果満車の状態にあるという。

本稿では、擲果満車の概念を現代的に解釈し、男性アイドルグループの歴史と変遷を探る。

かつて一世を風靡したグループから、現代の人気グループまで。

そして、「推し活」という新しいファン文化の台頭まで、幅広く考察していく。

世界の伝説的男性アイドルグループ

世界の音楽シーンで、一時代を築いた男性アイドルグループは数多い。

その中でも特に影響力の大きかった代表的なグループを紹介する。

1. ビートルズ(イギリス、1960-1970)

ロックバンドの枠を超えて、アイドル的人気を誇った伝説的グループだ。

4人組のメンバーは、それぞれが個性的なキャラクターを持ち、世界中のファンを魅了した。

ビートルズの人気は、「ビートルズ・マニア」と呼ばれるほど熱狂的だった。

1964年2月7日、ニューヨークのケネディ空港に到着した際には、約4,000人のファンが出迎えた。

これは、アメリカにおけるビートルズ旋風の始まりとなった。

レコード売上は、世界で6億枚以上と言われている。

これは、現在も破られていない記録だ。

シングル「I Want to Hold Your Hand」は、アメリカで100万枚以上を売り上げた。

ビートルズの影響力は音楽界にとどまらない。

彼らのファッションやライフスタイルは、若者文化に大きな影響を与えた。

「ビートルズ・カット」と呼ばれる髪型は、世界中で流行した。

ビートルズの成功は、現代のアイドルビジネスの原型を作ったと言える。

音楽、ファッション、グッズ販売など、総合的なエンターテインメントビジネスの先駆けとなった。

2. ジャクソン5(アメリカ、1964-1989)

マイケル・ジャクソンを中心とする5人兄弟のグループだ。

若さと才能あふれるパフォーマンスで、世界中のファンを魅了した。

デビュー曲「I Want You Back」は、ビルボードのポップ・チャートで1位を獲得。

デビュー以来、4曲連続で1位を記録するという快挙を成し遂げた。

ジャクソン5の人気は、アフリカ系アメリカ人アーティストとして初めて、白人中心のポップ・ミュージック市場で大きな成功を収めた点でも画期的だった。

彼らの成功は、音楽界における人種の壁を打ち破る一助となった。

特に注目すべきは、若年層をターゲットにしたマーケティング戦略だ。

アニメシリーズや、キャラクターグッズの展開など、音楽以外の分野でも積極的にビジネスを展開した。

これは、現代のアイドルビジネスのモデルケースとなっている。

3. ボーイズII メン(アメリカ、1988-現在)

R&Bの王道を行く4人組グループだ。

美しいハーモニーと洗練されたパフォーマンスで、世界中のファンを魅了した。

1992年のアルバム「II」は、全米で1,400万枚以上を売り上げた。

シングル「End of the Road」は、ビルボード・ホット100で13週連続1位を記録。

当時の最長記録を更新した。

ボーイズII メンの成功は、90年代のR&Bブームの火付け役となった。

彼らの影響を受けた多くの男性ボーカルグループが登場し、音楽シーンに大きな変化をもたらした。

マーケティング面では、大人の女性をターゲットにした戦略が特徴的だ。

セクシーでロマンティックなイメージを前面に出し、新しいアイドル像を確立した。

これは、後のボーイズグループに大きな影響を与えている。

4. バックストリート・ボーイズ(アメリカ、1993-現在)

90年代後半から2000年代初頭にかけて、世界的な人気を誇った5人組グループだ。

ポップスとR&Bを融合させた音楽性と、ダンスパフォーマンスで多くのファンを魅了した。

1999年のアルバム「Millennium」は、初週で138万枚を売り上げ、当時の記録を更新した。

世界での総売上枚数は1億3,000万枚以上と言われている。

バックストリート・ボーイズの成功は、グローバルなアイドルマーケティングの先駆けとなった。

アメリカだけでなく、ヨーロッパやアジアでも大きな人気を獲得。

多言語でのプロモーションや、世界規模のツアーを展開した。

特に注目すべきは、ファンクラブを中心としたコミュニティ作りだ。

インターネットの普及とともに、オンラインでのファン交流を積極的に促進した。

これは、現代のSNSを活用したファンエンゲージメントの先駆けと言える。

これらの伝説的グループは、それぞれの時代において「擲果満車」の状態を体現していた。

単なる音楽アーティストを超えて、社会現象を引き起こすほどの影響力を持っていたのだ。

彼らの成功は、現代のアイドルビジネスの基礎を築いたと言っても過言ではない。

日本の伝説的男性アイドルグループ

日本の音楽シーンにおいても、時代を代表する男性アイドルグループが数多く存在する。

その中でも特に影響力の大きかったグループを紹介しよう。

1. 少年隊(1985-2019)

東山紀之、植草克秀、錦織一清の3人組グループだ。

ジャニーズ事務所所属で、80年代後半から90年代にかけて大きな人気を誇った。

デビュー曲「仮面舞踏会」は、オリコンチャートで1位を獲得。

その後も「PLAYZONE」「君だけに」などのヒット曲を連発した。

少年隊の特徴は、高度なダンスパフォーマンスにあった。

特にアクロバティックな振り付けは、当時の日本のアイドルシーンでは画期的だった。

彼らの人気は、単なるアイドルグループを超えていた。

舞台やドラマにも多数出演し、マルチタレントとしての活躍も目立った。

少年隊の成功は、日本のアイドル文化に大きな影響を与えた。

ダンスパフォーマンスの重要性や、グループアイドルの可能性を示したのだ。

2. SMAP(1988-2016)

中居正広、木村拓哉、稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の5人組グループだ。

ジャニーズ事務所所属で、90年代から2000年代にかけて日本のエンターテインメント界を牽引した。

1991年のシングル「Can't Stop!! -LOVING-」でブレイク。

その後、「世界に一つだけの花」「夜空ノムコウ」など、数々のヒット曲を生み出した。

SMAPの人気は、音楽活動にとどまらなかった。

メンバー全員がドラマや映画、バラエティ番組で活躍。

グループとしても、長寿番組「SMAP×SMAP」を持つなど、幅広い活動を展開した。

彼らの影響力は絶大で、「SMAP現象」と呼ばれるほどだった。

メンバーが出演する番組や、CMの商品は爆発的に売れた。

2016年の解散発表時には、社会現象となるほどの話題を呼んだ。

SMAPの成功は、アイドルグループの可能性を大きく広げた。

音楽だけでなく、幅広いエンターテインメント分野での活躍を示したのだ。

これは、現代のアイドルビジネスのモデルケースとなっている。

3. TOKIO(1994-現在)

城島茂、国分太一、松岡昌宏、長瀬智也の4人組グループだ。

ジャニーズ事務所所属で、90年代後半から現在まで活動を続けている。

1994年のデビュー曲「LOVE YOU ONLY」でオリコン1位を獲得。

その後も「宙船」「AMBITIOUS JAPAN!」などのヒット曲を生み出した。

TOKIOの特徴は、音楽活動と並行して、バラエティ番組での活躍が目立つ点だ。

特に、農業や料理など、実用的なスキルを披露する番組で人気を博した。

彼らの活動は、アイドルの新しい形を示した。

歌やダンスだけでなく、実生活に役立つスキルを身につけ、それを披露する。

この姿勢は、ファンに親近感を与え、長期的な支持につながった。

TOKIOの成功は、アイドルの長期的なキャリア構築の可能性を示した。

デビューから25年以上経った現在も、幅広い層から支持を得ている。

これは、アイドルビジネスの持続可能性を考える上で、重要な示唆を与えている。

これらの日本の伝説的グループも、それぞれの時代において「擲果満車」の状態を実現していた。

彼らの成功は、日本独自のアイドル文化の発展に大きく貢献している。

音楽、ダンス、バラエティ、ドラマと、多岐にわたる活動を展開する「総合エンターテイナー」としてのアイドル像を確立したのだ。

現代の人気男性アイドルグループ

現代においても、世界中で多くの男性アイドルグループが活躍している。

その中でも特に注目を集めているグループを紹介しよう。

1. BTS(韓国、2013-現在)

RM、ジン、シュガ、J-HOPE、ジミン、V、ジョングクの7人組グループだ。

韓国発のグループながら、世界的な人気を誇っている。

2020年のシングル「Dynamite」は、ビルボード・ホット100で1位を獲得。

韓国のアーティストとして初めての快挙だった。

BTSの特徴は、SNSを活用したファンコミュニケーションにある。

TwitterやVLIVEなどのプラットフォームを通じて、頻繁にファンと交流している。

これにより、強固なファンベースを構築している。

彼らの影響力は音楽界にとどまらない。

国連総会でのスピーチや、社会問題への発言など、幅広い活動を展開している。

BTSの成功は、グローバル市場におけるK-POPの可能性を示した。

言語や文化の壁を越えて、世界中のファンを獲得している点が画期的だ。

2. Arashi(嵐)(日本、1999-2020)

大野智、櫻井翔、相葉雅紀、二宮和也、松本潤の5人組グループだ。

ジャニーズ事務所所属で、2000年代から2020年まで、日本のエンターテインメント界を牽引した。

デビュー曲「A・RA・SHI」から、「Love so sweet」「Happiness」など、数々のヒット曲を生み出した。

音楽CD総売上は4000万枚を超え、日本の男性アーティスト歴代1位を記録している。

嵐の特徴は、グループとしての活動と、メンバー個々の活動のバランスの良さにある。

音楽活動はもちろん、ドラマ、映画、バラエティ番組と、幅広い分野で活躍した。

特に、2020年の活動休止まで11年連続で紅白歌合戦に出場するなど、国民的アイドルとしての地位を確立した。

彼らの影響力は絶大で、CM起用社数は年間40社以上に上った。

2019年には、グループとして初めて国民栄誉賞を受賞。

エンターテインメントを通じた社会貢献が評価された。

嵐の成功は、アイドルグループの長期的な成長モデルを示した。

20年以上にわたる活動を通じて、ファン層を拡大し、社会的な影響力を持つまでに至った点が注目される。

3. EXO(韓国、2012-現在)

スホ、シウミン、ベクヒョン、チェン、チャンヨル、ディオ、カイ、セフンの8人組グループだ。

韓国と中国でのデビューを経て、アジアを中心に高い人気を誇る。

2013年のアルバム「XOXO」は、韓国で100万枚以上を売り上げた。

これは、12年ぶりの快挙だった。

EXOの特徴は、高度なダンスパフォーマンスと、メンバーの個性的な魅力にある。

グループとしての一体感と、メンバー個々の才能の両立が、多くのファンを魅了している。

彼らの人気は、アジア圏を中心に非常に高い。

特に中国では、「EXO効果」と呼ばれるほどの経済効果をもたらしている。

EXOの成功は、アジア市場におけるK-POPの影響力を示している。

言語や文化の壁を越えて、幅広いファン層を獲得している点が注目される。

4. One Direction(イギリス、2010-2016)

ナイル・ホーラン、リアム・ペイン、ハリー・スタイルズ、ルイ・トムリンソン、ゼイン・マリクの5人組グループだ。

オーディション番組「The X Factor」から生まれ、世界的な人気を博した。

デビュー曲「What Makes You Beautiful」は、イギリスのシングルチャートで1位を獲得。

その後も、5枚のアルバムすべてがアメリカのビルボードチャートで1位を記録した。

One Directionの特徴は、SNSを活用したファンエンゲージメントにある。

Twitterのフォロワー数は、グループアカウントで3,000万人以上。

個々のメンバーも、数千万人のフォロワーを持っている。

彼らの人気は、「1D Mania」と呼ばれるほど熱狂的だった。

コンサートチケットは発売と同時に完売し、グッズ販売も大きな収益を上げた。

One Directionの成功は、SNS時代におけるグローバルなアイドルマーケティングの可能性を示した。

ファンとの直接的なコミュニケーションを通じて、強固なファンベースを構築した点が注目される。

これらの現代の人気グループも、それぞれの形で「擲果満車」の状態を実現している。

彼らの成功は、グローバル化やデジタル化が進む現代における、アイドルビジネスの新たな可能性を示している。

特に、SNSを活用したファンエンゲージメントや、国境を越えた人気の獲得など、新しいトレンドを生み出している。

「推し活」文化の台頭

近年、日本を中心に「推し活」という新しいファン文化が注目を集めている。

「推し」とは、応援する対象を指す言葉で、「活」は活動の略だ。

つまり、「推し活」とは、自分の好きなアイドルやタレントを熱心に応援する活動を指す。

この「推し活」文化が生まれた背景には、いくつかの要因がある。

1. SNSの普及

TwitterやInstagramなどのSNSの普及により、ファンがアイドルとより身近にコミュニケーションを取れるようになった。

これにより、アイドルへの親近感が高まり、より積極的な応援活動につながっている。

2. デジタルコンテンツの多様化

音楽だけでなく、動画配信やライブストリーミングなど、アイドルのコンテンツが多様化している。

これにより、ファンが「推し」に触れる機会が増え、より深い関与が可能になった。

3. 個人の価値観の多様化

「自分らしさ」を大切にする価値観が広まり、自分の好きなものを堂々と応援する文化が定着してきた。

「推し活」は、自己表現の一形態として捉えられている。

4. コミュニティ形成の場

「推し」を通じて、同じ趣味を持つ人々とのつながりを作ることができる。

これは、現代社会における新しいコミュニティ形成の形態と言える。

「推し活」の具体的な活動内容は多岐にわたる。

グッズの収集、コンサートへの参加、SNSでの情報拡散、ファンアートの制作など、様々な形で「推し」への愛を表現する。

特筆すべきは、「推し活」が単なる消費活動を超えた、創造的な活動になっている点だ。

ファンアートやコスプレ、二次創作など、ファン自身が新たな価値を生み出している。

これは、アイドルビジネスにとっても新たな可能性を示唆している。

また、「推し活」は経済効果も大きい。

日本のアイドル市場規模は、2019年時点で約2,830億円と推計されている(矢野経済研究所調べ)。

「推し活」文化の浸透により、グッズ販売やイベント参加など、ファンの消費活動が活発化している。

一方で、「推し活」には課題もある。

過度の熱中による日常生活への影響や、ファン同士のトラブルなどが指摘されている。

健全な「推し活」のあり方について、社会的な議論も必要だろう。

「推し活」文化の台頭は、現代のファン文化の変容を象徴している。

受動的な消費者から、能動的な参加者へ。

アイドルとファンの関係性が、より双方向的なものに変化しているのだ。

この変化は、アイドルビジネスのあり方にも大きな影響を与えている。

ファンとの関係性構築が、これまで以上に重要になってきているのだ。

まとめ

アイドルグループは様々な要素の相互作用によって形成されている。

1. 時代背景

社会情勢や技術の進歩が、アイドルグループのあり方に大きな影響を与える。

2. 音楽性

ポップス、R&B、ヒップホップなど、時代とともに変化する音楽トレンドがグループの個性を形作る。

3. パフォーマンス

歌唱力やダンスなど、ステージ上での表現力がグループの魅力を決定づける。

4. ファンとの関係性

SNSの普及により、より直接的で双方向的なコミュニケーションが可能になっている。

男性アイドルグループの本質は、時代とともに変化しつつも、「擲果満車」の状態を目指す点で一貫していると考える。

つまり、多くのファンを熱狂させ、社会現象を起こすほどの影響力を持つこと。

それが、アイドルグループの究極の目標なのだ。

ただし、その実現方法は時代とともに大きく変化している。

かつては、テレビやラジオなどのマスメディアが主な露出の場だった。

現在は、SNSやストリーミングサービスなど、より直接的なファンとの接点が重要になっている。

また、アイドルグループの活動範囲も拡大している。

音楽活動だけでなく、バラエティ番組、ドラマ、映画、さらには社会貢献活動まで。

「総合エンターテイナー」としての側面が強くなっているのだ。

「推し活」文化の台頭は、この変化をさらに加速させている。

ファンがより能動的に関わることで、アイドルとファンの関係性がより深く、複雑になっている。

これは、アイドルビジネスに新たな可能性をもたらすと同時に、新たな課題も提示している。

今後、AI技術やVR/AR技術の発展により、アイドルとファンの関係性はさらに変化していくだろう。

バーチャルアイドルの台頭や、より没入感のあるライブ体験など、新たな形のエンターテインメントが生まれる可能性がある。

しかし、どんなに技術が進歩しても、アイドルの本質は変わらないだろう。

それは、人々に夢や希望を与え、感動を届けること。

「擲果満車」の精神は、これからも脈々と受け継がれていくはずだ。

アイドルビジネスに携わる者には、この本質を忘れずに、常に新しい可能性を追求する姿勢が求められる。

技術の進歩や社会の変化に柔軟に対応しつつ、人々の心を動かすコンテンツを生み出し続けること。

それが、これからのアイドルビジネスの成功の鍵となるだろう。


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