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アンティーク家具店のしごと日記10


世田谷区で夫婦ふたりでアンティーク家具店をやっています。

主に1900〜1960年代ごろまでのアンティークやヴィンテージのインテリアを、気持ちよく使えるように、かつ当時以上にブラッシュアップした仕上がりになればと思いながら手をかけています。

ここ最近は椅子の張替えで戦っており少々投稿に間があいてしまいました。
古いモノはなかなか同じ作業の繰り返しとはいかず、全体で工程と仕上がりのビジョンを考えながらの様々な作業です。

今回はアルミのデスクチェアの修復記録。

c.1950s Desk chair-ART METAL CONSTRUCTION社

まずはビフォーから。


パンチングレザー風のビニールレザー張りで、かなりのヤレようです。
このデスクチェアには個人的にも憧れがあり、若干時間を度外視、、


生地はクリップ止め、当時のタグが残っていると嬉しいですよね。
経年変化の楽しみなオイルを含んだヌメ革で仕上げます。


まずは背もたれの生地を剥がし、、
ベースに残った接着剤をきれいにして、中身をリフレッシュして革を吊り込んでいきます。
ここでやばいのが、こちらの背もたれ背面には生地をとめるツメは一切ありません。もちろん金属なのでタッカー(ホチキスの芯みたいなやつ)でもとめられません。接着剤で止めてゆくのです。。。

ひたすら握力との戦い。シワがなるべく少なくなるように、、


そして座面。


革を広げてどこを使うか考えます。天然の素材ですので当然もともとのシワやキズがあり、無駄をなくそうとアレコレ考えると時間がかかります。時間も、ある意味お金ということを忘れてはいけません。


中身を用意して、、
いざ縫製開始です!

縫製に関してはミシンという選択肢も検討したのですが、余った生地で試してみてもどうにも手前両サイドの部分がきれいにならず、かつ座面の形状的に縫い終わってからかぶせるのが厳しかったので手縫いを選択しました(マチの背面に切れ込みを入れる手もあったのですが、そこは無しで格好良くしたかった笑!)。



事前に縫い穴をあけていきます。なるべく重なるところが対称になるように。

このチェアの格好良いところは座面がなだらかにお尻の形になっているところ。なのでどうしてもそこをパシッと収めたくて。後ろ、側面をすべて縫ってかぶせたあとに、センターの革をピシリと張ってから、手前両サイドは一つずつ穴をあけて縫っていきます。

(ここから大変すぎて写真がありません、、)

随分時間がかかりましたが、これで椅子の座面で手縫いで革の時のココロがすこしだけわかったような気がします。型紙起こしと、焦らず、諦めないこと。。

仕上がったのがこちら!

いかがでしょうか?
これを良い糧にして、また買付の旅で出会えたときはぜひ仕入れたいと思いました。


背もたれの高さ調整、座面の高さ調整、リクライニングの硬さが調整できます。格好良い上に実用的なデスクチェアです。キャスターは雰囲気の合う現行品に交換。アルミと機構部分は清掃後にばっちり磨きをかけています。↓

コチラで詳細ご覧いただけますので、ぜひに。


最近の店内


こんな感じで仕上がったものが店頭に並んでいます。もう一つのgoodformアーム付きアルミデスクチェアも◎です。


あとはぽってりとしたシルエットと釉薬が素敵なマグなど。。


次回は、いま作業中の珍しいアンティークスツールの修復ご依頼などを紹介したいと思います。
ではまた〜!

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よろしくお願いします。