【学習者にも役立つ?】数学教材開発の基本思想をまとめた

このノートは、SSS Education が教材を開発する際に、どういったことを考えて設計をしているかを記載しています。本来は教材開発スタッフ向けの資料ですが、学習者にも役立つと考え、こちらに公開させていただくことにしました。(注:社内で扱っているドキュメントを AI を用いて平易にしています。)

振り返ってみれば、達成できてる部分や全然達成できてない部分など様々にあります。この基本思想を体験できるよう、教材開発に日々努めていく所存です。

①思考の網羅的・体系的な整理と言語での明確な表現

 先生と生徒の役割の根本的な違いを理解することは、教育の大前提です。これは、実際の作業ツールを操作する人と、そのツールを設計・製作する職人の間の差異に例えられます。生徒としての成績の優秀さが直接、良い教育者になるための資質とは限りませんが、知識やスキルがなければそれを他人に伝えることは不可能です。
 したがって、教育者には、自身の経験や知識を、他者が容易に理解できる形式で構造化し、言語化するスキルが必要です。このプロセスを通じて、自分自身の散在する思考や学習経験を、再現可能な形で「脱構築」し、体系化することが求められます。
 教材開発においては、このように整理された内容を、生徒が容易に理解し、実践できる形で伝えることが至上命令です。教育者は、自身の思考やアプローチを、完全には理解されていないかもしれない生徒に対して、明確かつ網羅的に伝えることを目指す必要があります。

②数学スキルの自動化とモジュール化

 数学の学習においては、基本的な数式処理や論理的推論を、意識的な努力なしに実行できるようにすることが、能力向上のための必須条件です。この能力を「内在化」と称し、学習者が無意識のうちに基本作業を行えるようになることを目指します。また、経験が増すにつれて、異なる基本作業を組み合わせて複雑な問題を解決する能力も自然と身につけます。このスキルの組み合わせを、特定の機能を持つ独立した単位、「モジュール」として定義し、教材に組み込むことで、学習者が効率的に学べるようにします。
 教材作成では、これらのモジュールが明確で、全ての生徒が理解しやすい形で提示されることが目標です。モジュールの概念を採用することで、学習者は、数学の問題を解決するためのさまざまなツールを、より効果的に組み合わせて使用できるようになります。

③生徒中心の学習体験の設計

 教材の理想は、学習者が自分の興味や好奇心に従って進めることで、自然と能力が向上するものです。故に、個々の学習者のニーズに合わせた教材の提供は、学習効果を最大化する上で不可欠です。生徒一人ひとりが持つ特定の課題や能力のレベルに合わせて最適化された教材を提供することで、学習者は自分に適した方法で学習を進めることができます。
 この個別化されたアプローチは、現在の技術や方法論では完全には実現できないかもしれませんが、将来的には、個々の学習者に最適化された学習体験を提供するためのシステムやツールの開発を目指しています。
 このようなシステムを通じて、学習者は自分のペースで学習を進め、より深く、効果的に知識を吸収することが可能になります。教育の目標は、学習者が自分自身の学習プロセスに積極的に参加し、自立して学び、成長することを支援することにあります。



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