【マリーアントワネットの日記】複数の異性に対する愛してるが腑に落ちた
1900年代に大ブレイクした漫画、「花より団子」。
金持ち学園を舞台に、超超超金持ちで先生さえも逆らえない4人組”F4”と貧乏少女”つくし”の恋物語。
皆さんはF4の中で誰が好きでしたか?
私は断然、F4のリーダーである道明寺でした。なんといっても、「愛した女を絶対に振り向かせてやる」という一途でまっすぐな思いが、切なく尊い!
愛とは努力でもなんでもなく、説明のつかな絶対的なものであると信じ、道明寺は私の''男性の理想像そのもの''として確立していきました。
ただ、何故か周りの友達はみんな類派。
そう、みんなは知っていたんです。愛だけではやっていけないと。恋愛やら付き合うやら結婚やらには、愛&優しさ&癒し…etc.
ただ、白黒つけないとモヤモヤしてしまう私。優しさも愛…なんて言葉はさっぱり理解できませんでした。「道明寺のつくしへの愛は、さまざまな''愛''うちの1つにすぎない」と気づくには、少々時間がかかりました。
時は流れ、私も27歳で結婚。愛という言葉はなんて抽象的なのかと思い知らされました。
生活習慣だけでなく価値観も違ういわば他人が一緒になり、日々愛してると''感じる''なんて漫画の世界です。
喜怒哀楽の中に愛がちょこちょこ顔を出すような生活です。愛があれば…なんて誰が言ったのでしょうか。いや、類派だった友人はみんな知っていたのでしょう。
ただ、このテレビのCMのようにちょこちょこ現れる''愛''がなんともちょうど良い。人生、愛だけで作られてはいません。
今では、そう思います。
ただ、愛って少し特殊なもの。抽象的がゆえにどんなパターンも''愛''に当てはまることも。道明寺が心の中に2人いる…なんて方に、私は最近出会ったのです。
そう、かの有名なマリーアントワネットです。
今回紹介するのは、
吉川トリコ著「マリーアントワネットの日記 bleu」
マリーアントワネットの日記Roseの続編になる本作は、国王万歳!の疑いようのない絶対権力が徐々に失われつつある時代から物語がスタートします。
表題通りマリーアントワネットの日記で全て物語が進んでいく書簡体小説です。時代設定はもちろんマリーアントワネットが生きた1700年代ですが、なんといっても彼女の口調が現代そのもの!
まじ!
うける!
超!
などなど。
マリーアントワネットといえば気が強いイメージを持っている方が多いと思いますが、そのイメージを裏切らない彼女の清々しいほどの言葉たちが日記に散りばめられています。
と、ここでマリーアントワネットの''愛''についても少しお話しさせていただきます。
皆さんご存知の通り、マリーアントワネットの夫はフランス国王ルイ16世。
ルイ16世は内気な性格で、マリーアントワネットとの間にはなかなか子供ができなかった(4人生まれましたが)…なんて話もよく耳にするでしょう。
そこで登場!そう、マリーアントワネットの浮気相手(?)スウェーデンの貴公子、ファルデンです。
本作ではルイ16世よりも出番が多いフェルデンですが、マリーアントワネットの日記とだけあって、彼女のフェルデンに対する愛が赤裸々に語られているのです。
一方で、ヴェルサイユ宮殿を離れ家族で逃げ惑う中で感じるルイ16世への''愛''も綴られている…
いや、完全なる浮気じゃん!と言いたくなるところですが、「もしやこういう愛の形なら2方向3方向にでも愛を捧ぐことができるのかも?」と思うほど、マリーアントワネットの愛が''いやらしくない''のです。
ルイ16世が処刑される数日前には「この人が夫でよかった…」「もっと時間があれば私が陛下をどれだけ愛しているのか教えてあげられるのに…」と心のうちを日記に打ち明けるマリーアントワネット。
あぁそうか…
マリーアントワネットにとって、相手を想うことで得られる安心という名の''愛''の対象がルイ16世なのだと。そして、相手を想うことで得られるエネルギーという名の''愛''の対象がフェルデンなのだと、気がつきました。
アウトプット、インプットのようなものです。愛も1つ以上必要なのです。片方だけでは疲れてしまいますし、または刺激が足りないと感じてしまいます。
ん?
フェルデンに対するマリーアントワネットの思いが他にも見つかりました。
「戦友のような、魂の双子のような、尊敬と共感を持って結びつけている…」
やはり愛は複雑なようです。
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