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感想『映画 ゆるキャン△』

ゆるキャン△の映画を見てきました。友人のおたく君たちと。
上映前、友人その2が「到着がぎりぎりになるから券買っておいて!」というので券をあらかじめ購入し待っていたところ、彼が来たのは上映時刻の10分後でした。本編開始に間に合ってよかったね。
なお彼は帰りの電車賃もないと言い出し、僕でPaypayの残高を現金化して帰っていきました。マネーロンダリングですね(?)

以下本題

よかったところ

・(本筋とは関係のないところから始めますが)OPの松竹のロゴがそのまま舞台世界の富士山の画にシームレスに移り変わるの、良すぎ!!!!
僕はこの演出方法を初めて見て、めちゃくちゃいいな…と思いました。伝統的なロゴ(現実)からイラスト(非現実)への転換、しかもゆるキャンの中で象徴的なモチーフである富士山を媒介として!

・大人になる、なったことをこれでもかと打ち出してきていて、その変化にエモくなってました。
そもそも日常系アニメですから、「変化しない日常」が基本のテーマです。だからこそ劇場版という舞台で、アニメ版とは変化した日常を描くことで、思い出との対比がなされることでエモに浸れます…
リンが巡ったキャンプ場とか初詣とか、アニメ版の要素をオタクが喜びそうな形で回収していて、オタクなので喜びました。

・僕はごちうさが人生で一番好きな萌アニメ(原作派なので正しくは萌マンガ)なのですが、ごちうさのコンセプトも本作同様「変化しない日常と変化する日常」であると感じています。
日常系では基本的に、変化するものとして時間が、しないものとして彼女らの関係が示されることが多いです。(多くない?)
本作もそのフォーマットにのっとり「大人であること」と「変わらない友達」が二軸で展開していたように感じます。
山奥の秘湯での、なでしこの「もう社会人だよ~」的なセリフを聞いたときに「そうか…なでしこさんも社会人か…」と勝手にエモくなっていました。というかそれが狙いですよね?時の流れって無条件でエモいですからね(過言)

・やたら交通手段が充実していてウケました。斎藤恵那さんが普通車に乗ってるの、そうやろうなという気しかしません。ラスト原付が活躍するのもオタク喜びポイント

・定点カメラがダッシュ村みたいでウケました。そのあとなでしこさんが油圧ショベルに乗ってやってくるのはダッシュ島みたいでウケました。

・ゆるキャン△といえば飯テロ、みたいなところあるので料理の描写も楽しみにしていたのですが、めちゃくちゃ良かったです。19時からの上映だったので食事をとらずに行ったのですが、かなり後悔しました。
どれも本当においしそうでした…(これは嘘で、サーモンのクリームスープはおそらくあの材料ではかなり薄味になります。工夫すればもっとおいしくできるだろうと考えています)

・食事シーンに絡めて、僕は飲酒のシーンがあるのかをかなり気にしていました。というのも、飲酒は大人のイメージと結びつきますが、個人的には性のイメージとも容易に結びつきうるなと考えているからです。ただのエロ漫画の読みすぎかも知れません。
結局大垣だけが酒癖の悪さを披露する結果となりました(よかったね)

・志摩リンさんがアニメ版から本当に好きなキャラなのですが、(これを書いてるおたく君は志摩リンや久川凪などのクール系ボケキャラが本当に好き)大人になった志摩リンさんも非常に良かったです。キャラデザも最高です。

よくなかったところ

・キャンプ場の建設がボランティアってマジ!?!?!?!?!?
いや、実はしかるべきところから金が出ているとも考えられるんですが…
キャンプ場を作ろう!をストーリーの大筋にしたいのはわかるんですが、にしてもアイデアが形になるまでの流れが急過ぎて「そんなにうまく話まとまることある!?」って感じでした。大垣の強引さを示すエピソードだからとか実は話が詰めてあったとかを差し引いても、スルッと進むな!?って感じでした。皆さんハイペースで帰省しすぎててスゴい。

・全体的にリアルとフィクションの境目が曖昧なように感じました。
リアルなところは本当にとことんリアルで、実際の建物とほぼ一致するレベルで精緻に描かれています。キービジュアルが公開されたときに、なでしこの住む東京の物件が秒速で特定されたことはあまりにも有名です。
一方でストーリーなどの実体のないものに関しては、よく言えばアニメ的に、悪く言えばご都合主義的に進むなあと思いました

・これは出自であるところの「コンテンツ布教系マンガ」というものに特有の問題なのではと考えます。
布教対象のコンテンツ(ここではキャンプ)については正確な知識を提供し、自然やキャンプ地の雰囲気を正確に伝えることが目的であるので、作品を貫くストーリーというのは実は割とどうでもいい、というのがあるのではないでしょうか。実際、映画の公式サイトでも、現実感あふれるキャンプストーリーと作中で描かれる緩やかな雰囲気で~とか書いてあります。

・だからこそマンガでは、そして1話30分のアニメでは非常に良い作品ができたのだと感じます。日常系には因果関係がハッキリした強固なストーリーは必ずしも必要ではないからです。

・一方で、映画となると話は変わります。いくら美少女といえど、まさか2時間何の目的もなくプラプラキャンプをし続けるわけにもいきませんから、何らかの目的が必要になります。そこで緩やかな大目標としてキャンプ場作りが設定されるわけです。
けれどゆるやかな雰囲気は残したい。しかしお金の話は現実的すぎるのでNG。(いうてアニメ版では金ねぇ〜つってめちゃくちゃバイトしてましたが)だからボランティアとかいう耳障りの言い言葉が輸入されてくるわけですね。俺は本当にこの映画をよかったとおもっているのか…?

・コンテンツ布教系萌えマンガと成長というテーマは実はかなり折り合いが悪いのでは?と感じました。
アニメではまあまあの現実時間があるので、1話と12話の間での関係性の変化に良さを感じることが出来ます。しかし映画だと、変化するには時間が足りませんし、元々もう関係性は出来上がっています。だから成長という別軸の良さが必要になるけれど、それはコンテンツ布教とは相性が悪かった…
思いつきで書いていますが、アイデアとして悪くないのではと思っています。実際、成長しきってしまったら読者が学ぶところも無くなってしまいますし…

・犬山あおいさんの胸部がよくないところでした。あんなん小学校の先生にいたら性癖歪むって。

その他

・志摩リンさん、登山中は体力ないアピしていましたがおそらくこれは筋力のなさです。徹頭徹尾社畜として描かれていた志摩リンさんに体力がないわけないだろ。
多分、若い時特有の無理をしてもなんとかなる体力が人一倍あるのでしょう。だから片道4時間のストロングドライブも難なくこなせます。いわゆるMPが高いタイプ。ちなみに僕もこのタイプで、長距離運転が全く苦にならないですが、運動とかすると疲れすぎて翌日めちゃくちゃ寝てしまいよく後悔しています←なにこれ?

・普通あんなテンションで廃校を紹介されたら誰だって「ああ、キャンプ場はおじゃんになつだけどそこで得たノウハウを生かして小学校をキャンプ施設に改造するのかな」とか思うじゃん!!!!!!!!なんだよ爆速で発掘を終わらせてキャンプ場と併設って!!!!!!

・ここからは本当に夢のない話になりますが、まずキャンプ場と併設するだけで文化的な保存の要件を満たしているのか?またキャンプ場の対案として保存施設が上がっていたけれど、それは本当に町おこしになるのか?(保存が優先されますが)
と、イチャモンをつけたいだけの良くない合理主義が首をもたげます。

・実は入場特典の冊子で初めて原作マンガを読んだのですが、かなり雰囲気が違いますね。個人的には、自然の中をゆっくり歩くアニメ版の描写のほうが実感にあっていて好みです。僕が自然の中を1人で歩く時の体感に近いです。←なにこれ?

まとめ


以上、ゆるキャンの映画としてはかなりいい作品でしたが、ストーリーのある映画としてはツッコミどころも多い、といった感じでした。
成長した志摩リンさんらの関係性からオタク的想像の余地を広げるのが目的だったので、とてもいい映画でした。

満足したので終わります。

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