社労士の営業方法 関与先の業種
鹿児島で社労士をしています原田です。
前回は最初の1件目を作る様々な手法をご案内しました。
今回は少し視点を変えて、関与先の業種について考えていきましょう。
企業顧問のお話ですので、障害年金等の年金専門や講師専業等とは事情が全く違うことはご了承下さい。
○○業専門社労士の方がいいのか?
業種特化型社労士は最近増加ぎみです。業種を絞った方がノウハウが蓄積しやすいですし、顧客も自分の業種を熟知している安心感があります。
一方、業種を絞るということは、見込み客の範囲を狭めることになるので、顧客拡大には不利になります。単一業種よりもそれ以外の方が多いことは間違い無いので、多方面にアピールできる方が集客はしやすいでしょう。
自分のアピールできる要素が、業種特化した方が有利で、かつそれなりの市場性があると見込まれるなら、特化型で成長スタイルも妥当性があるでしょう。
市場性とは何を言うのか
「市場性があると見込まれる」と言うと、見込み件数が多いものを想定するかもしれませんが、社労士の市場性はそこで測れない部分があります。
1.従業員が0だと必要性を感じてもらえない
2.家族と学生アルバイトだけの業種も同様
3.助成金をドアノックにするなら、労働法遵守をする気があるかが重要
4.恒常的な赤字だと、報酬を払う気がなかったりする
それでも例外的に契約する場合はありますが、こういう層が多い業種に、多くの企業があっても、市場性があるとは言えません。
件数が多い業種でも社労士を必要としていないのであれば意味が無いですし、件数が少ない業種でも社労士の活躍の場が多い職種はあります。必要とされるとか活躍するということは、トラブルが多いか、制度が複雑ということになるのですが。
どちらにするか迷ったら
どちらにもメリット、デメリットがあります。
さあ、あなたならどちらを選択するでしょうか?
二択で聞いて、どちらもベストでないという回答はズルいと言われそうですが、理想的な回答は、「どちらもやる」です。ホームページも2種類作ればいいし、いっそのこと名刺も2種類作ってしまえばいいのです。
得意分野が複数あるなら、得意分野の数だけ作ってしまえばいいのです。もし両方が見つかって指摘をされても、「どちらも専門です」と断言しましょう。
相手も商売人なので、指摘されたら「自信がある複数の商品をアピールする手法として有効ですよ」と教えてあげましょう。
専門士業が集客するのに、やってはいけないのは嘘ぐらいなので、経験も学習もしていない分野を市場性に惹かれてアピールするのはご法度ですが。
得意分野が無い場合
実務も社会人経験も乏しいとか、経験があっても自信がある分野とは言えずに、「自分にはアピールするものが無い」と悩む場合もあります。
そもそも社労士合格時点で、労働社会保険の知識は一般の方に比べれば得意分野と言えると思いますが、自信が無い気持ちは理解できます。
何が得意なのかを、マインドマップやSWOTで自己分析して、自分自身や他人と協力して、自分の気付いていない得意分野を見つけ出すとかの手法もあります。マインドマップやSWOTが分からない時は、読み飛ばさないで調べましょう。
それでも見つからない時はどうするのか、答えは
「アピールするものが無いなら、作ってしまえばいい」
です。
社労士の業務分析を最初にしたのは、この目的もあります。
様々な業務の中から、一部だけスキルを磨いて得意分野にしてもいいのです。その分野のセミナーを受講したり、書籍を買って勉強してもいいです。
自分のやりたい部門や、興味ある業種が結果的に得意分野になるでしょう。
私は、助成金に興味があったのと、セミナーで偶然受けた就業規則の内容が面白かったのでその両方に注力しました。
そんな付け焼刃の知識で、本当に通用するのか?と疑問に思う方がいるでしょう。本当にその分野だけで長年磨いている人には敵わないかもしれませんが、その分野で分からなくて困っている企業よりも、はるかに知識があるはずです。得意分野に対して問い合わせがくるクライアントは、基本的に困っているはずですから。
また反対に、付け焼刃とは言わせないぐらいの熱意で業務を把握するように努力できないと、元々持っていない得意分野は自然に生まれてきません。社労士試験より理不尽で意味不明なことが頻出する分野など無いので、それに比べれば楽だと思います。合格後にもう勉強したくないと思っている方は、そもそも開業社労士に向いてません。
得意分野を決めたら「自分も意味不明で困ってます」の状態は脱皮しておきましょう。同業者と仲良くなっておくのも、ひとつの手法です。顧客と一緒に悩むのは仕事では無いので留意しておきましょう。
個人的には、得意業種は食品産業全般で、業務は助成金を学んでいましたが、現在は医療介護福祉と建設が主体で、業務は助成金・就業規則・給与計算・労務DDと変化していきました。労務は奥が深い上に制度が頻繁に変わるので、全てを知り尽くすのは至難の業です。社労士でも全てに精通している人など、ほとんどいません。だから一部で尖ることが必要です。