【香】ママの東大チャレンジ
はじめまして。関根香です。
私は、小学生の娘を育てるシングルマザーです。
そして現在、東大病院リハビリテーション部鍼灸部門にて臨床研修をしております。
今日は私が鍼灸の道に足を踏み入れた経緯、そこから東京大学医学部附属病院リハビリテーション部臨床研修生にチャレンジするまでを記したいと思います。
鍼灸師になると決めた
24歳結婚、26歳出産、28才離婚。
普通に
幸せに
生きていました
そんな幸せで平凡な毎日を過ごしていた私がシングルマザーになったという事実は、私にとってものすごく衝撃的でした。
気持ちの整理をする間もなく女手ひとつ、娘を育てるんだから!!と、手に職を求めて鍼灸の道へ入ることに決めました。
ですから私が鍼灸師になったのは、
母になってから
いいえ
母になったから
でした
離婚して間もなく、世界が白黒に見えていた私は、東京で一番学費の安い専門学校を一つ見学し、入学を決めました。
学ぶことのできる喜びを感じるにはまだ時期が早すぎて「志高く。」というよりは、学ぶことが生きる手段になりました。
専門課程の3年間で身につけたのは
さて、シングルマザー香が鍼灸の資格を取るために入った専門学校では、国家試験に通るための勉強を教わりました。(あたりまえです)
もう一度言います。
国家試験に通るための勉強を教わったのです。
おかげさまで、合格率が6割を切ったあの年の国家試験をパスすることができました。
しかし言い換えると、鍼灸師として患者様に触れるための技術や知識はカリキュラムに組み込まれていませんでした。
このまま卒業して、国家試験を通っても私になにができるのか。
必須科目を黙々と勉強しながらも、不安しかありませんでした。
もっと東洋医学を
もっと臨床能力を
そう求めるのであれば、自ら情報を求めて外に出なければならないと考えました。
(3年間でしっかり身につく学校も存在しますが、やはり専門学校で重きを置くのは試験をパスできるかどうかです。それが目的なので学校を批判しているわけではありません。)
学ぶために(中医学)
東洋医学ってなに。
そう思った私は、東洋医学って元をたどれば中国だよね?(安易)
と、まず中医学から興味を持ちました。
基礎を学び、恩師の石塚僚司先生(牧田総合病院 東洋医学課 課長)をあれやこれや質問責めにし、中国鍼の練習に勤しみました。
効きます…
私のような外因からも内因からもすぐに不具合を起こす人間にはものすごく効きました。
さらに、手際の良さも中国鍼の良いところだと思っています。
石塚先生は、まず脈を診て、それから舌とお腹を診て、ズバッと私の不調を言い当てます。
というか不調の原因(根本)をこう、ズバッと!!
弁証も刺鍼も、潔さがあります。
初めて脈を診てもらった時、印象と脈にギャップがあったのでしょう。
へ~……とつぶやき
(もちろん先生は私のバックグラウンドもなにも知らない状態で)
ボソッと一言
『無理して笑わないこと。』
刺さりました。
涙が出ました。
いや、鍼も刺さりましたけど!!
これが東洋医学か、と。
心も身体もムリしていました。
それを見て見ぬふりをしてダッシュしていなければ二度と前に進めなくなるようなそんな思いで生活していました。
そんなんだから、もともと持っていたパニック障害が顕在化していた時期でもありました。
今でも臨床家としての尊敬と、一種の恐怖を感じています。笑
この衝撃から、私の
脈ってなに!?
東洋医学深めるとなにが見えるの???
に火が付きました。
↓↓↓↓↓ 石塚先生 ↓↓↓↓↓
学ぶために(経絡)
そして友人に誘われて参加した経絡治療夏期大学
経絡治療というものに、ここで初めて触れることになりますが…
なにこれ!!
講師がものすごく男前!!
山口先生の男前の概念はとても深く、内から外向きに先生ご本人がコントロールしてでてくるものです。
広島から東京へいらっしゃる三日間
スーツも靴も時計もメガネも三日間オールチェンジ
もちろん全てこだわりの逸品
身に付けるもので纏う空気が変わります
もう病的にキレイ。
でも荷物は少ない。
なにそれ、もう魔法かよ(笑)
そして講義内容は、洗練された東洋医学と言えばいいでしょうか。
素人同然の私にもスッと入る言葉で納得のいく病因・病機を語ります。
もっと聞きたい
もっと学びたい
そう思わせてくれる講師に出会いました。
↓↓↓↓↓ 山口誓己先生(志庵鍼灸院) ↓↓↓↓↓
こうして東洋医学を実際の治療に、生活に、落とし込んでいる恩師たちを目の当たりにした私は
鍼灸がめちゃくちゃ好きになりました。
東洋医学の素晴らしさをもっともっと知りたいと思いました。
ここ(←専門学校2年目)からはもう、好きなものを学ぶ喜びと勢いが止まりませんでした。
そんで卒業したらどーするの?
だれもが関根は東洋医学にどっぷりハマって伝統鍼灸を突き進むと思っていました。私もそう思っていました。
しかし、娘がいます。
弟子入りするわけにはいきません。
就職?
20時まで診療とかできませんし、やりたくありません。
そう私、ワガママなシングルマザーです!!
しかし、まだまだ学びたい!!
なんで鍼が効くのか知りたい!!
なんでそのツボなの!!
そこで出会ったのが、粕谷大智先生(東京大学医学部附属病院リハビリテーション部 鍼灸部門 主任)です
え!!
東大病院で鍼やってるんですか!?!?!?
瞳孔が開きました(笑)
↓↓↓↓↓ 粕谷大智先生 ↓↓↓
現代医学に基づいた科学的根拠のある鍼灸治療を求めて
絶対やりたい!!
絶対、ここ(東大病院)に私の知りたいことが詰まっている!!
絶対!!!!!
と、思って試験に挑みます。
こんなにも強く思い、
知り合いが一人もいない場所へ挑んだのは人生初の経験でした。
目の前に、あの粕谷大智先生
この時はまだ、普通の爽やか鍼灸師に見えていました。
実際は、
研究者としても
臨床家としても
教育者としても
(ギャグのセンスも)
本当、すっごい人なんだよなぁ……
面接は気合が入りすぎて肩に力が…
翌日は首が回らなくなりました。
試験を終えた週末、インフルエンザになりました。
国試の比にならない緊張感を味わい、やつれました(笑)
メンタルの弱さとフィジカルへの影響を、身をもって実感しました。
■ひざ痛は「お灸」で消える! 東大病院の鍼灸名医が「自宅灸」を初伝授
東大病院での学び
科学的根拠に基づいた鍼を学べば学ぶほどに、東洋医学が効く理由が飲み込めるようになってきました。
一つ例をあげますと、最近粕谷先生が研究された「メカノレセプター」
お灸の温熱刺激で、足底の固有感覚受容器を刺激します。
足底神経の血流を、局所的に改善します。
足底の感覚がよくなることで体幹のポジショニングが良くなります。
よってバランスが取りやすくなりふらつきが軽減。
脊柱管狭窄症やDMによる末梢神経障害のある患者様に著効しています。
そして、こっそり言います。
(あくまでも関根の私見であります!!)
取穴は少しずれています。
ぴったり経穴のソレではありません。
関根の解釈ですのでお許しください。
でも、
その鍼が
そのお灸が
そのツボが
何に効いているのか…
なんでそこに刺すのか…
学ぶごとに世界が広がります。
これはほんの一部、まだまだ面白いことがたくさんあります。
東京大学医学部附属病院リハビリテーション部にて30年、粕谷先生を筆頭に諸先生方の鍼灸への思いと努力の結晶がここには詰まっています。
病院内で鍼灸の立場が確立されていなかった時代から研修制度を作ってくださり、そこで惜しみなく知識・技術をご指導して下さる先生方に感謝しています。
学ぶ姿勢を崩さず、これからもママのチャレンジは続きます。
流派とかなんとか言ってる場合ではないんです。
手技手法は、なんだっていい。
それぞれの治療法で患者様の手助けができればいいと、心から想っています。
■東大病院リハビリ科の鍼灸博士が教える 最強のボディメンテナンス 体をゆるめてOFFモードにするセルフ灸&指圧
---------------------------------< 完 >---------------------------------
【書いたひと】
関根香(せきねかおり)
東京女子体育大学卒業後、草加市体育協会にて心と身体の健康を目的として体育指導を行う。
東京大学医学部附属病院リハビリテーション部での臨床研修で身につけた技術と知識で、患者様の困っている症状に寄り添います。自身のスポーツ障害の経験から鍼灸に興味を抱き、体育大を経て鍼灸師の道へ進む。
・東京大学医学部附属病院リハビリテーション部鍼灸部門 臨床研修生
・TESORO新体操クラブ Acupuncturist
https://www.instagram.com/23kaooo/