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【採用担当者向け】採用戦略とは

本記事では、採用責任者を目指す方向けに基本的な考え方を解説します。

こんな方におすすめ
・「採用戦略」の定義を知りたい
・「採用戦略」を考えないと行けない理由を知りたい
・考え方、プロセス、全体像を知りたい


Spry(スプライ)はこれまで、コンサルタントの事業会社の実務経験をベースに、様々な企業様の採用支援をしてきました。
お客様の課題として多いのが、「施策を実行しているが、成果に繋がらない」「正しいのか判断できず、成り行きで進めてしまっている」「母集団形成ができず、面接ができない」という声です。

原因の多くは、施策実行前のプロセスで正しい戦略を立てられていないことにあります。

採用に繋がらない施策に時間やコストをかける前に、まずは全体像や考え方を理解し、状況にマッチした適切な戦略を立てましょう。

採用戦略を考えたいと考えている方は、ぜひご一読ください。

■監修・編集:渡場 一成

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1.採用戦略とは

採用戦略とは、自社の事業内容や状況とマッチする人材を獲得するために立てる戦略です。

そもそも戦略とは、競う相手がいる中で何らかの目的を達成するための基本方針とそれに基づく一連のアクションを指しております。

勝負事である限り戦略は必要で、また、その勝負毎において負ける可能性が高いプレイヤーほど計画ではなく、戦略が重要です。

採用戦略の場合、顧客となるのは転職活動をしている求職者。
求職者は、自身のキャリアを自分の人生プランと照らし合わせ、入社後を見据えながら、企業選びをし、選考を含む入社までの準備を進めます。

つまり、企業選びの選択肢に入り、内定が出てからご家族や両親、エージェントに相談し、条件や業務内容、働き方、会社の安定性のみならず、長く働き、成長できる環境であるかどうかも考慮しながら検討を重ねた結果、新たな職場として自社を選び、ご入社いただくまでが採用戦略の対象範囲となります。

※状況に応じて、入社後のご活躍までを見据え、採用戦略を検討する場合もありますが、一般的には採用領域ではなく、教育、育成の領域となります。

採用戦略を考えるにあたっては、求職者の選択肢にいかに入り、理想とする働くイメージを持ってもらえるかという視点が重要になります。

そんな中、東京商工リサーチの調べによると、日本の企業の約70%が人材不足と回答しており、少子高齢化による労働人口の減少などで採用市況が激化していることが見て取れます。

戦略のない誰もができる分かりやすい採用施策ではPDCAが回らず、継続的に採用活動を成功させるためには上段の戦略設計が非常に重要になっています。

中期経営計画や事業計画と連動した、将来を見据えた採用戦略を立てることで中長期的かつ経営に直結した採用成果をあげることができます。

鍵になるのは、採用戦略を立案した後の実行フェーズです。
求職者を理解した効果的なコミュニケーションを取ること。

「採用戦略をとにかく立てよう」は本質的ではありません。

2.新卒と中途では、期間、人数、目的が違う

新卒採用、中途採用の違いは複数ありますが、必ず理解しておく必要があるのが以下の3つです。

  • 企業とのタッチポイント

  • 入社する企業を選ぶまでの期間

  • 入社する企業を選ぶまでの相談する人数

新卒採用の場合のタッチポイントは、学校にコンタクトすることで直接コミュニケーションを取ることが可能ですが、中途採用の場合はチャネルの多様化が進行しております。

新卒採用、中途採用ともに入社企業を選ぶ決め手はいくつかありますが、1番の違いは人生のプランから逆算した際の相談する人数になります。
新卒の場合は、親御さん、友人に相談をしますが、中途採用の場合は特にご自身の家族の状態によって、企業を選ぶ基準も変わってきます。

どのチャネルを活用するにあたっても、

  • 自社をいかに知ってもらうか?

  • どのように認識してもらうか?

が自社に合った採用に繋がり、また、求職者さま側も入社後ギャップができるだけ起きず、安心して働くことができます。

3.採用戦略のステップ

採用戦略のステップは大きく分けると3つです

  1. 採用市況の調査・分析

  2. 戦略立案

  3. 戦略・施策実行

関連記事:

- ステップ1:採用市況の調査・分析

市況の調査で対象となるのが、自社、求職者、競合の3つです。

自社を理解する

創業者インタビューや中期経営計画、営業資料の確認等を通じて、事業の優位性を把握する必要があります。
意外に見落としがちなのが、既存の従業員が事業の方向性やカルチャー等のいくつかの要素で構成される自社の魅力をどこ感じているのかという点です。人事観点になりすぎないようにすることが重要です。
また、足元の応募数や選考通過率等の採用関連数値の分析も欠かすことはできません。

求職者を理解する

求職者へのインタビューやカジュアル面談等を通じて、市況がどんな傾向にあるのか等を把握する必要があります。どんな転職軸に変化しているか?普段の情報収集はどこでしているか?等を知ることで、適切な採用戦略を描くことができます。

競合を理解する

そもそも採用競合がどこにあたるかを把握できていない場合もあるかと思います。
いくつか方法はありますが、分かりやすいのが、選考辞退時におけるヒアリングです。
惜しくも様々なご理由によって、選考辞退になってしまうパターンがありますが、ご本人や転職支援エージェントにご辞退理由を無理のない範囲でヒアリングしてみることで、別の企業様で決定したのか、転職活動自体をストップしたのか等、入社企業名までは行かないにしてもる重要な情報を教えてもらえる場合もあり、そこがヒントになってきます。
ヒアリングで明確になった競合企業の求人票や採用サイト、ブログ等を分析することで、自社の優位性が徐々に明らかになってきます。

- ステップ2:戦略立案

「誰に、どんな環境を、どのような役割、業務を通じて提供するか。をどのように伝えていくか」を定義していきます。

誰に:

採用市場には様々な課題、ニーズを解決したい求職者がいます。
自社の注力すべき層はどこなのか?また、自社が注力をしたい層はどこなのか?を明らかにするために、ターゲット策定、ペルソナ作成を進めます。

どんな環境を:

自社で働くことによる魅力や得られる機会は何か、独自の優位性はどこにあるのか?を言語化していきます。
現状を把握した上で、バリュープロポジションを活用して、優位性、メッセージを明確にします。

どのような役割:

ターゲット別で、どのような業務内容、役割をお願いするか?を明確にします。
基本的には求人票に落とし込んでいく形となりますが、作成の過程で重要なのが、現場との言葉に対する認識合わせをしながら進めていくことになります。
求職者、現場の方の時間をいただいて、面接を実施することになりますが、認識のずれがないように進行することで、求職者を理解する時間になるだけでなく、自社の伝えきれていない部分を直接伝える時間にもでき、双方にとって良い時間にすることができます。

どのように伝えるか:

入社後の活躍までの道のりの可視化、各フェーズにおける求職者の行動をマッピング、タッチポイントやコミュニケーションの設計を求職者ジャーニーマップに落とし込みながら進行します。
転職は今すぐには考えていないけど、この会社の情報は追っておきたい。という求職者の方への情報発信は見落としがちになりますが、このステップを踏むことで、抜け漏れを防ぐことができます。

- ステップ3:戦略実行

戦略に応じて、施策の優先順位は変わりますが、基本的には内定承諾率と母集団形成の2軸になります。

内定承諾率は、内定数に対してどれだけご承諾いただけたか?の率になります。
このパーセンテージが低ければ、何が要因となって、他社承諾をしたのか?何がきっかけとなって、現職に留めることを決めたのかが詳らかになります。
この要因を把握し、適切な打ち手を打つことができていないと、いくら母集団形成ができていてもバケツの穴がが空いた状態となり、限られたリソースをムダに使ってしまうことになりかねません。

一方で、母集団の形成が十分にできていないと、この振り返りすらもすることができませんので、ターゲットに応じた適切な母集団形成施策を遂行しましょう。

4.市況と求職者理解は、戦略を立てるための鍵

戦略を立てる上で、重要なのは、求職者の理解と自社の理解です。
求職者、自社の理解ができていないと、施策を実行する上で、適切な採用体験を設計することができないためです。

  • 「採用メッセージが書けない」

  • 「タッチポイントの作り方がわからない」

  • 「採用サイトが自社が打ち出したい内容だけになっている」

5.わかりやすい施策に飛びつき、実行するリスク

採用戦略立案ステップをご紹介しましたが、現状の分析や戦略立案をせずに、分かりやすい施策に飛びつき、実行しているケースは多く見られます。

採用媒体によるダイレクトリクルーティングや採用広告、採用MAなど、さまざまなツールが登場し、手軽に施策を実行できる環境は整いつつあります。

施策を実行する際の選択肢が増え、採用体験が多様化するのは担当者としてはありがたいことですが、戦略や自社、求職者理解がない状態で施策を実行しても、大きな成果にはつながりません。

特に、求職者の選択基準の多様化により、チャネルも複雑化しているからこそ、一度立ち止まることが必要です。

6.成功する採用戦略のためのポイント

戦略を立てて終わりにならず、やると決めたことをいかにやりきれるか。

採用チームのみならず、経営、現場が一枚岩となって、小さな改善を積み重ねていきましょう。

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