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【ブランディングの入口】CEP(カテゴリーエントリーポイント)をわかりやすく解説

消費者があるブランドを思い浮かべる入口となる概念がCEP(Category Entry Point:カテゴリーエントリーポイント)です。消費者に選ばれるブランドを育むための、大切な考え方です。

わかるようでわかりにくいCEPについて、具体例も交えながら順を追って解説します。


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ブランド想起はカテゴリー需要ありき

CEPとは?

トレンさん
年齢不詳のマーケター。物知りでトレンドにも敏感。
どんなちゃん
トレンさんの後輩。マイペースだが好奇心は旺盛。

トレン:CEPは、Category Entry Point(カテゴリーエントリーポイント)の略で、『ブランディングの科学 [新市場開拓篇] 』で紹介された考え方です。

どんな:言葉としては「カテゴリーの入口」ってことみたいですけど、それってどういう意味なんでしょうか…?

トレン:一言にまとめてしまうとかえってわかりづらいので、順番に説明していきますね。どんなちゃんがさっき買ってきたカントリーマアムで考えてみましょう。

どんな:よ、よく見てますね…。

トレン:カントリーマアムのようなお菓子を買う場合、急に「よしカントリーマアムを買おう!」と思って出かけることは少ないでしょう。

どんな:そうですね。ちょっと小腹が空いて、なんとなくビスケットが欲しいなぁと思って、それからカントリーマアムを食べたいなと思いました。

トレン:そのように、日常的な買い物の多くは、特定のブランドが思い浮かぶ前に、そのブランドの属するカテゴリーの需要が発生しています。
カテゴリーの需要が生まれるきっかけを示すのがCEPです。今の場合だと、「小腹が空いた」ですね。

CEPの概念
カテゴリーの需要が生まれるきっかけを示すCEP

様々なCEPでブランドが思い浮かぶようにする

どんな:そうすると、あるブランドに対するCEPはいくつもあるってことですか?

トレン:はい。お菓子を買おうと思う状況は様々ですからね。また、カテゴリー内には多くのブランドがひしめいていますから、CEPと結びつくブランドも一つとは限りません。

ビスケットの場合だと、子を持つ親なら「子どものおやつに」というCEPもあって、ビスコというブランドが思い浮かぶかもしれません。

様々なCEPと結びつくブランド

トレン:そして、より多くのCEPで思い浮かべやすいブランドが、買われる確率が高くなるという理屈です。

どんな:でも、カントリーマアムが大好きで常備しているなら、「カントリーマアムがなくなりそうだからまた買って来なくちゃ」ってなりますよね?

トレン:もちろんそういったブランドのファンはいるでしょう。ですが、『ブランディングの科学』によると、ブランドの売上を支えているのはコアなファンではなくなんとなくで選んでいるライトユーザーの方なのです。そのため、CEPからブランドが思い浮かぶ機会を増やそうという考え方が大切だというわけです。

6W1HでCEPを考える

どんな:CEPってどうやって考えていったらいいんですか?

トレン:次の6W1Hで考えると、具体的に洗い出しやすくなります。

Why:目的

ビスケットの例でいうと、小腹を満たすためであったり、一息つくためだったり。

When:いつ

おやつの時間。デザートとして。

Where:どこで

自分の部屋。オフィス。外出時。

While:なにをしながら

TVを見ながら。談笑しながら。

with/for What:何と一緒に/何を代わりに使う

お茶と一緒に。甘いドリンクだけを飲む。

with/for Whom:誰が買う/誰が使う

親が買う。子どもが食べる。

How feeling:どんな気分

満たされた気持ち。リフレッシュ。

トレン:そして、消費者の生活の中にCEPをどうやって増やしていくか、CEPとブランドの結びつきをどうやって強めていくかを考えていくというわけです。

どんな:たくさんのCEPが出てくると、何からどうしたらいいものか悩みそうです…。

トレン:どれも中途半端になっては意味がないので、優先順位を決めないといけません。

ブランドの強みとCEPで求められる価値がつながっているか、競合よりも優位に立てるCEPはどこか、より多くの人が想起し、より多くの金額を使うCEPは何かといったところから、集中すべきCEPを決めましょう。

CEPから商品を開発する

トレン:CEPはマーケティングメッセージだけでなく商品開発の参考にもなります。

どんな:と言いますと?

トレン:朝食用のカントリーマアム、「モーニングマアム」が出たの知ってます?

どんな:ああ!なんか見かけました!

モーニングマアムビジュアル
公式サイトのビジュアルが強い(出典:モーニングマアム

トレン:「朝の忙しい時間や通勤、通学の合間、仕事前などさまざまな食シーンに合わせて食べられる」を特徴とした商品で、カントリーマアムのCEPを増やしていると言えるでしょう。

朝食にコーンフレークやカロリーメイトのように、ビスケットに近いものを食べるケースもあります。そのCEPにカントリーマアムが切り込んでいった形ですね。

どんな:新商品であるモーニングマアムで売上をつくるだけじゃなくて、朝食シーンというCEPからカントリーマアムを思い浮かべることが増えれば、親ブランドであるカントリーマアムの売上にも貢献するというわけですね!

トレン:そういうことです!さて、今日の授業料としてそのカントリーマアムを半分ください。

どんな:そんな~!

参考文献:
『ブランディングの科学 [新市場開拓篇]』(朝日新聞出版)
『戦略ごっこ―マーケティング以前の問題』(日経BP)

執筆:スプ論編集部


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