認定スクラムプロダクトオーナー研修を受講してきました
こんにちは。カスタマーサクセスチームの大野です。
『まさかのキャリアパスを開拓したコンサルタント』の記事で紹介していただいたように、私は現在「カスタマーサクセスチームのコンサルタント」と「プロダクト開発におけるプロダクトオーナー」を兼任しています。
先日、プロダクトオーナー向けのスキルアップ研修「認定スクラムプロダクトオーナー研修」を受講してきたので、研修内容についてレポートしてみたいと思います。
結論としてはすごく有意義な研修で、プロダクトオーナー(以下PO)としてのスキルアップの武器を手に入れたと感じました。POになったばかりの方、POとしてのスキルを高めたい方の参考になれば幸いです。
受講を決めた経緯
プロダクトオーナーとして声がかかったときは「え??私???」と正直戸惑ったのですが、スクラム関連書籍などを読むうちに「深いビジネス理解と深いプロダクト理解」が必要で重要な役割だということが徐々にわかってきました。
難易度は高いながらも取り組む意義が大きそう!と感じ、思い切って引き受けてみることにしました。
とはいえ、数冊の書籍を読んだくらいではなかなか理解できないことも多く、実際に業務に就いてからもプロダクトオーナーとしての力不足を感じることも。
そこで、開発メンバーに勧められた Scrum Inc.認定スクラムプロダクトオーナー研修(Licensed Scrum Product Owner Training)を受講して、POとしてのスキルアップを目指すことにしたのが受講に至った経緯です。
Scrum Inc.認定スクラムプロダクトオーナー研修(Licensed Scrum Product Owner Training)とは?
Scrum Inc.認定スクラムプロダクトオーナー研修(Licensed Scrum Product Owner Training)とは、スクラムの共同考案者であるジェフ・サザーランド博士によってつくられたスクラム研修で、日本ではScrum Inc. Japanが主催しています。
この「実践的な知識」というところがポイント。アプリ開発プロジェクトを疑似的に作るエクササイズを通して、さまざまなスクラムイベントやツールを実際に体験してみることができます。
研修の流れ
実際の研修は2日間。
まず、Zoomのアンケート機能を使った、参加者への「アジャイル・スクラムの経験年数」のアンケートから始まります。経験年数1年未満の参加者が大多数のようです。
研修は、全体で行う講義パートと、7つのスクラムチームでブレイクアウトルームに分かれてのエクササイズパートが交互に実施されます。
講義パートでは、スクラムの歴史や背景などベースとなる知識、スクラムの構造や具体的手法、実際の事例などを学んでいきます。続くエクササイズパートでは、講義パートで学んだ内容を実践する形で、疑似的なアプリ開発プロジェクトを各チームで進めていきます。
流れとしては、講義とエクササイズが順を追って進められるので、スクラム入門者でも理解しやすい組み立てになっています。ただし講義パートもエクササイズパートも内容が濃く、特にエクササイズパートではしっかり頭を使ってスクラムチームのメンバーと対話をしながら短時間でスクラムイベントをこなしていく必要があるため、かなりの集中力が求められました。
一つ印象に残ったのが、研修プログラムの進行管理にバーンダウンチャートを使ったり、各参加者の「この研修の目的」をスプリントゴールに設定したこと。研修そのものにスクラムの仕組みが採用されていたのがメタ的で面白いなと感じました。
研修1日目:「スパイスチーム」結成
各スクラムチームに分かれた最初のタイムボックスで、最初にスクラムマスター(SM)とプロダクトオーナー(PO)を決めるよう指示があります。同時に、「かっこいいチーム名を決める」という課題が出されました。
私が入ったチームでは、皆さんの自己紹介の内容から「料理が趣味」の人が多く「カレー作りをスパイスの配合からやる」メンバーもいたことから、「スパイスチーム」と命名されました。ピリっとした印象の素敵な名前です。
SMとPOは研修というシチュエーション上、持ち回りでやってみることに。
エクササイズは10分、20分といった時間制限(タイムボックス)を定めて行われますが、残り時間を意識しながら効率的に進めないとすぐに時間切れになってしまいます。ここはSMの手腕が問われるところ。
ただ、さすがにPO研修に参加するポジションで働いている方々だけあって、スパイスチームの皆さん「お仕事力」が高い方ばかりです。議論・対話と調整・許容のバランスがみごとで、ほぼ時間内に課題をまとめあげていきます。
エクササイズパートの後は、パーキングロットと呼ばれる自由時間をとります。この時間は休憩しても良いのですが、エクササイズについてのメンバー間の討論タイムや、スクラムコーチへの質問タイムになることが多かったです。
そうこうしているうちに、研修1日目があっという間に終了。終日にわたり脳みそをフル稼働させた感覚があり、疲労困憊です。
研修2日目:本格的なエクササイズ
研修2日目は、デイリースクラムとは?の短い講義パートのあと、早速チームに分かれてのデイリースクラムからスタート。スクラムボードを更新し、バックログアイテムの優先順位付けを行います。
2日目も引き続き講義パートでスクラムイベントの意味と方法を学び、それをエクササイズで実践していきます。疑似的なアプリ開発プロジェクトをより詳細に見積り、開発優先度を見極めます。
この過程において、メンバー間の意識合わせ、落としどころを探るためのツールも併せて使い方を学んでいきます。しかし、こういった手法やツール類はあくまで意見集約のための補助的なもの。スクラムで最も重視されるものはメンバー間の「対話」です。
途中の過程で見積りの数値がバラけたときや意見が集約できなかった場合も、多数決やツールでただ機械的に決めるのではなく、対話をもとに結論をまとめ上げるのが基本です。
SMやPOの役割分担も一巡し、2日目は、メンバーそれぞれの個性が垣間見えてきました。
大規模なスクラムについてはエクササイズで実践するのが難しいため、講義パートで学びます。エクササイズパートでは平行して、アプリ開発プロジェクトが佳境に。競合サービスに負けない、ビジネス価値の高いアプリをリリースするために開発すべき機能は何かをまとめ上げていきます。
そして、最終2日目の講義パート最後はチームごとの発表タイム。同じお題でエクササイズを進めていたのに、最終的に発表されたアプリは各チームのカラーが出た面白いプロダクトとなりました。最後のブレイクアウトルームでチームごとのレトロスペクティブを終え、解散です。
密度の高い2日間はこれで終了。
研修が終わった後にプロダクトオーナーの認定試験を受け、合格したら「Scrum Inc. 認定スクラムプロダクトオーナー(LSPO)」のライセンスを得ることができます。
感想:プロダクトオーナー研修を人に勧めるか?
結論としては「受講して得たものは大きいので、お勧めしたい」です。私が今回の研修で得たものとしては、以下の5つが挙げられます。
スクラムにおいて、対話が重要であることを知ることができた
優先順位付けの手法を実践的に学べた
ビジネス価値と労力の見積もり手法を実践的に学べた
意思決定のための定量化の手法が学べた
便利なツールを知ることができた
受講料がかかる研修なので、「受講料に見合うリターンがあったか」という観点からみると、私にとっては十分に見合うものであったといえる内容でした。
組織規模によって効果のレバレッジは異なりますし、PO研修を受けるタイミングも重要なので、それを考慮したうえで受講を検討されている方にはぜひお勧めしたいです。
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