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エンドロールのその先に

2021年5月22日

やはり晴れ男伝説のおかげだろうか、
久しぶりによく晴れた土曜日だった。

約3ヶ月ぶりとなるライブは「三度目の正直」とはならず、またしても緊急事態宣言真っ最中の開催となってしまった。

しかし過去二回のライブでも感染者は出ておらず、その感染予防対策の徹底ぶりをこの目で見てきていたので、今までより安心してライブに参加できた。

階段を昇った先で検温(相変わらずの低体温でエラーばかり出て時間かかってしまって申し訳なかった)と連絡先の記入。その紙を持って受付に進み、お金を払って入場する。この流れも随分と慣れた。入場してすぐに手を洗おうとトイレに行くと女子トイレ入口の扉はオープンになっていて(過去二回ともトイレを利用しなかったのでこれは知らなかった)、こんな細かい所にも配慮されていることに改めて驚いた。とにかくあらゆる所にアルコールが置いてあるし、本当にビックリするほど、そしてちょっと寂しくなるほど「非接触」だった。

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好きなドリンクを選んで席に着く。もちろん前後左右は誰もいない。流れる音楽に耳を傾け、それぞれが静かにその時を待っていた。換気のために開けられた扉から会場内を通り抜ける風が心地よかった。

音楽が小さくなり場内が暗転する。大きく深呼吸している間に二人が出てきた。やはり目の前にすると顔がほころぶ。いつものように直視出来ないまま、一曲目が始まった。

3ヶ月ぶりの生音。出だしのギター音と声にビックリしてしまった。それと同時に久しぶりのその感覚にワクワクした。伸び伸びとした声とギターの音の振動が細胞レベルで沁み渡っていくような感じがした。

三曲目が終わったあと突然、小学校の頃の夢の話をする二人。てっちゃんは「映画俳優」と言って、みんなに笑われたけど当時の先生だけが「哲郎ならなれるよ!」と言ってくれて、その一言のおかげで挫けずに今までやってこれたけど、数年前の同窓会で本人から「あれは先生という立場上、ああ言うしかなかった」と言われてしまったっていうオチ(笑)信ちゃんはもちろん「サッカー選手」で、、でもなんでかその話からダイエットの話になり、昨日も無性にドーナツが食べたくなってUberEATSでポン・デ・リング頼んだって話。私の頭にはポンデライオンが出てきてしまって一人でお腹がよじれるほど笑った。もう信ちゃんはミスドかUberEATSのCMに出て欲しい(笑)これだけ笑わせといて「そういえば」を真面目にしっとり唄う二人、本当に切り替え早すぎてすごい。私のポンデライオンはまだ消えてないというのに、、

換気休憩が終わったあと「ジェット機」から始まった後半戦。ここから一気に空気が変わった気がした。「ツワブキ」「プロペラ」と戦争をテーマにした曲が続く。重く悲しくなりがちなのに二人の曲はあたたかくて美しい。経験したことないはずなのにその一言一言が胸に響いて涙が溢れる。特に「プロペラ」はその歌い出しで完全に惹き込まれる。この曲を初めて聴いたのもこのROOMSだった。その時も泣いた。今日の「プロペラ」は優しくてやわらかくて、それがなんか切なくて苦しくて泣いた。この曲は、これからもずっと歌い続けてほしい。

昼の部はピアノとギターのアコースティックスタイルだった。そして「聴かせる」曲が多かったような気もする。ライブのクライマックスは盛り上がる2曲。身体を揺らしながら手拍子してる人もいた。早くみんなで歌いながらライブを楽しみたいなぁ、、とキラキラ光るミラーボールをぼんやりと眺めながら思った。「花火」のときはずっと配信の画面に(ツイキャスのアイテムの)花火が打ち上がってたらしく、遠く離れたみんなが一つになって一緒にライブを盛り上げるという新しい形も素敵だなと思った。

配信が終了した二人はそのまま残り、アンコールとなった。ピアノサポートのりゅうちゃんと一緒に一旦下がろうとしたてっちゃんを引き止め「だってアンコールって言えんけんね」とサラッと言った信ちゃんに少しだけキュンとしたことはここだけの秘密。

会場限定アンコールは「Message」だった。信ちゃんも「ライブ映えする曲」と言っていたとおり、この曲こそライブで生音で聴きたい聴いてほしい一曲だと思う。そんな曲を会場限定としてやってくれたことが嬉しかった。少なからず迷いもあったけど来てよかったと心から思った。ものすごく「ライブ」を実感した瞬間だった。

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約3時間空いて夜の部。
夜の部はおなじみのメンツでのバンド編成。
チェロの低音が会場内を包み込む。そこにピアノの繊細な音色が加わり、バイオリン、パーカッションと一つずつ重なり世界が広がっていく。バイオリンが加わった瞬間、一瞬にしてZeppを思い出した人も少なくないはず。私もあの日の光景がフラッシュバックして泣きそうになってしまった。信ちゃんのキラキラした赤いセミアコが鳴り響く。最後にゆっくりとてっちゃんが出てきて夜の部一曲目の「愛情ロケット」が始まった。

やはりバンドは力強い。
そして賑やかで楽しい。

個人的には「ネコと蝶」をバンドで聴けたことが何よりも嬉しかった。バンドでやったら絶対カッコイイだろうなと思っていたけど、予想通りそして期待以上にめちゃくちゃカッコよかった。言葉だけじゃ表せない完全なる世界観にドキドキが止まらなかった。

ドキドキといえば「愛の言葉」も最高によかった。この曲はライブを重ねるごとにどんどんカッコよくなってる気がする。捲し立てるようなギターとハープで会場のボルテージも最高潮となった。

あっという間に後半戦。夜の部の方が早く感じた。それだけ集中して一曲一曲の世界に浸ることができた。バンドで聴く「彼女」や「トロフィー」の世界が凄く好きだし、「陽炎」はその渾身の力を込めて歌い上げる姿に胸が熱くなった。

この胸のエンブレム 僕らの凱歌を
歌い続けるよ 命を燃やして
この胸のエンブレム 僕らのステージで
信じ続けよう 今あるこの姿で

ラストは「エンブレム」だった。あまり覚えてないけど、たぶんワンフレーズで目が潤んでサビだけで泣いてた。それはきっとZeppを思い出したからだけじゃない。今日のライブで、てっちゃんは「足掻いてます」と何度も言ってた。信ちゃんは「ライブは続けていくし、今やれることをやりながら頑張っていく」と言ってた。その二人の覚悟が、強い気持ちが、歌を通して伝わってきた。20年負け続けてきたと言ってた二人が20年目に作った凱歌を正々堂々と唄う姿が誇らしかった。

配信が終了したあと、緊張がほぐれた二人は饒舌だった(笑)鼻うがいの話やら、どちらが長生きする話やら、、架空の話で盛り上がって二人でゲラゲラ笑う姿が微笑ましかった。会場限定アンコールで歌った「カラス星」でいきなり「甲本ヒ〇トのモノマネで!」と振った信ちゃんも、それをしっかりやってのけたてっちゃんも本当に楽しそうだった。

そして、昼の部のアンコール中にやたらと自らの誕生日アピールをした信ちゃんのためにケーキが準備されていて、ハッピーバースデーを歌ってお祝いした(観客は拍手で参加)。ロウソクの火を消すために照明を全部消してとスタッフに指示する信ちゃんは、めちゃくちゃ嬉しそうでゴキゲンにロウソクの火を消してた。スタッフの皆さん、お疲れさまでした笑

生でライブを見て改めて直に触れることの価値を感じた。目には見えない何かを心に注いでくれる。不思議なほど素直に泣いて自然と笑顔になって久しぶりに思い切り笑った。夢の中にいるようなライブこそが本当の私なんじゃないかとさえ思った。

この一年で世界は随分と変わった。変わっていく日常と変わらない生活。その中で自分の大切なものの輪郭がより濃くなった気がする。唄人羽もライブも私にとっては必要不可欠で、それは今までもこれからも変わらない。そして二人が輝けるステージもまた私にとっては大切なものだ。そのステージを必死に守ろうとしているスタッフの方々の努力とサポートのおかげで今回もライブを無事に開催できたこと、本当に感謝しかない。

これからも日々は続いてゆく。いいことも嫌なことも悔しいことも落ち込むことも沢山あって心がすり減ってしまうと思う。そしたらまた二人にパワーをもらいに来たい。それまで私は私の日々をしっかりと乗り越えていきたいと思う。長い長いトンネルの途中でもその先でも、きっと二人は歌い続けてくれてると思うから。

また全国を回って、たくさんの人に二人の音楽を届けられる日が一日も早く来ますように。

まだまだ、これから。
また会う日まで。

「GO TO MUSIC 3」
2021.5.22 大名ROOMS

【昼の部】
雨上がりの空
アルコール
夕暮れ坂
そういえば
ポスト
真夜中のルーキー
《換気休憩》
ジェット機
スマイル
ツワブキ
プロペラ
三日月とピアス
花火
Message(会場限定アンコール)

【夜の部】
愛情ロケット
思い出シェーカー
ONE MORE SMILE
ネコと蝶
BORDER
愛の言葉
パレード
《換気休憩》
虹空
彼女
トロフィー
陽炎
エンブレム
カラス星(会場限定アンコール)
4人(会場限定アンコール)

公式YouTubeには今回のライブのダイジェスト映像も公開されています。そちらの方も是非、ご覧下さい。


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