イベントビジネスとは〈1〉~イベントビジネスを理解する前に~
現在デジタルエクスペリエンス株式会社は、イベントプラットフォーム「EXPOLINE」を通じて、イベント業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)に挑戦しています。販促、顧客とのリレーション構築、ブランディングなど、ビジネスにおける重要な役割を果たす「イベント」。今回の連載では「イベントビジネスとは」をテーマに、全4回にわたり、その内容を深掘りします。第1回は「イベントビジネスを理解する前に」。ぜひ最後までお楽しみください。
マーケティングにおけるイベントとは
顧客がサービスを認知してから購入に至るまでのプロセスは、「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」という段階があります。これを「マーケティングファネル」と言い、企業のマーケティング活動をこういったものを軸に戦略が立てられ、実行されています。
そして、実はこの全ての工程において、活用できるのが、「イベント」です。
ここからは、「イベント」がどのように企業のマーケティング活動の中で活用されるのか、売る側と買う側の頭の中身や、BtoBとBtoCの購買プロセスの違いなどを踏まえてお話ししていきます。
【まずはここから。BtoBとBtoCの購買の違いについて】
それではまず、マーケティング領域におけるBtoBとBtoCの購買の違いを見ていきましょう。
例えば、物を買うとき、「近所のドラッグストアで洗剤を買う」これはBtoCの購買です。
ではBtoBとはどんな場合のことか。「ある企業が弊社のサービスを買う」などがこれにあたります。いずれも「買う」ということには変わりはありません。しかし、動機や決定のプロセスなどで比べてみると、その違いが分かります。
■BtoBとBtoCの購買動機の違い
BtoCの購買においては「感情ベース」で買い物をすることが多いものです。「ドラッグストアで洗剤を買う」ときを思い浮かべてみましょう。この決め手となるのは「テレビCMの中で、俳優の〇〇さんがいい香りって言っていたよな」というような感情。BtoCの場合は、こういった「感情ベースでの購買」が多いのです。
ではBtoBの場合はどうでしょう。この場合に決め手となるのは「課題」です。企業が存在する上で、必要不可欠なのは売り上げを伸ばし、成長すること。そのためにはさまざまな課題が発生します。そこに対して必要なものを買う、「課題ベースの購買」がBtoBの購買です。
■BtoBとBtoCの購買決定プロセスの違い
先ほどあげた例でいうと「洗剤を買う」ときに他の人への相談はするでしょうか。ほとんどの人が相談せず、個人で決定するでしょう。しかしBtoBの場合は複数人の承認を経て、物を買うというプロセスがあります。
■BtoBとBtoCの購買にかかる時間の違い
BtoCは短時間でサクッと購入できるでしょう。しかしBtoBの場合は何日も何ヶ月も、例えば1年かかったり2年かかったりするものです。
このように、BtoBおいては「モノを買うのも一苦労」。課題解決に必要なものを複数人で判断し、比較しながら物を購入しているため、非常に時間がかかるというのが特徴的です。
では、そもそも複数人で判断、比較するとはどういうことなのでしょうか?
BtoBの購買モデルから、この点についてご説明します。
【BtoBにおける、企業の購買プロセスとマーケティング活動】
■企業における決裁権限と承認のシステムとは
会社には上司と部下の関係性があり、「決裁権」というものが存在します。何かを購入する際には、必ず上司の承認を得る必要があるのです。そして、その承認には範囲があり、購入予定金額の決裁権を持つ上司の承認が得られた場合のみ、モノの購入が行えるわけです。これはBtoCでは存在しない、BtoB特有のシステム。BtoCとBtoBの大きな違いと言えます。
■買う側と売る側のプロセス
ではここから、買う側と売る側の動きを見ていきましょう。
買う側は、解決すべき課題を把握すると、情報収集を始めます。そして、課題解決に適したモノ・サービスをもつ外部のパートナー企業に相談し、その内容に対する稟議を起案。先ほどお話した流れで承認が得られれば、契約・発注、納品、支払いへと進んでいきます。これが、「買う側のプロセス」です。
一方で、「売る側のプロセス」は、購買に向けていわゆる「マーケティング」の動きをします。最初は幅広いターゲットに啓蒙活動を行い、課題と解決方法の意識づけを実施。次に情報収集をしているターゲットに対して、情報提供し、提案、見積書提出などを経て、契約・受注、納品、支払請求へと進みます。
このように、BtoBの購買プロセスは、上の図にもあるように、買う側のプロセスに沿って、売る側のプロセスが動いているわけです。
【売るためのプロセス。営業、マーケティング担当はどう動く?】
■理想の営業活動とファネルモデル
では、売る側はどのようにして、啓蒙活動や情報提供などのマーケティング活動をおこなっているのでしょうか?
まずは、売る側の営業担当の頭の中を覗いてみましょう。
図のピラミッドはお客さまの全体像です。全く課題に気づいていない無関心層から、何度も利用している優良顧客まで、様々なお客さまのステージが存在します。
営業担当はいつもこんなことを考えています。「同時に・たくさんの・まだ見ぬ」潜在顧客を、「買ってくれそうな」見込み顧客に絞り込んで、「買ってくれる」顧客を獲得し、「たくさん買ってくれる」優良顧客へと高めていきたい。しかも、この階段を上るスピードをなるべく速めるために、誰かに協力してほしいと。
そこで、マーケティング担当が登場します。マーケティング担当は、見込み顧客をたくさん獲得し、営業にパスをする役割を担います。
マーケティング担当はお客さまを絞り込むにあたり、まず自社の商品や価値を認知してもらう活動(啓蒙)から実施していきます。そして、100人が認知したとすると、そのうち80人が興味を持ち、10人が比較検討して、最終的に5人が見積もりを依頼する、購入するという行動にお客さまを導いていきます。
冒頭にも出てきましたが、三角形が逆になっているこの図を「ファネルモデル」といいます。上から水を入れて下の方に濾していくようなイメージですね。企業のマーケティングはこういった考え、ファネルモデルなどを軸に計画されています。
例えばマーケティング担当は、認知を広げるためにテレビCMを放送したり、さらに興味を深めてもらうために、ウェブサイトでより詳しい情報を提供したりします。そして、比較検討に必要な資料を準備したり、見積もり依頼や購入してもらうためにサービスの体験機会を用意したりするのです。
そして、「もっと知りたい」「使ってみたい」「見積もりが欲しい」とお客さまを誘導していくのが、マーケティングの役割です。
【まとめ:BtoBにおける購買とマーケティング。そしてイベントの役割とは】
ここまでのお話しの中で、「購買」というプロセスにおいて、お客様がどう動くのか、そして、「お客様の購買を促す」ために営業とマーケティング担当がどう考え、どう動くかを見てきました。
「購買」において、売る側はお客様の「購買プロセス」に基づいて動き、「ファネルモデル」を軸にマーケティング活動をしていきます。お客様を「行動(購買)」に導くこのマーケティング活動において、「イベント」はとても重要な役割を果たす可能性を秘めています。
それはなぜか。冒頭にも説明したように、イベントは「ファネルモデル」の全ての過程で活用できるからです。
以上で第1回「イベントビジネスを理解する前に」はおしまいです。次回、「イベントの構造を理解する」では、いよいよ、イベントビジネスの中身に迫ります。マーケティング活動において、イベントはどう活用されているのか。そして、そこにどんな効果があるのかをお話しします。ぜひ、次回もご一読ください。