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体を動かす以外の筋肉の役目‐ダイエットピルを使う時の注意点‐【DoctorTのスポーツエクササイズ医学】

こんにちはDoctorTです。北の大地では、秋はあっという間に過ぎ、寒くて外に出るのがつらい季節になってきました。みなさんいかがお過ごしでしょうか?

今回は筋肉の役割に焦点を当てたいと思います。巷で流行るダイエットピルに関連させて"Muscle matters"という、筋肉は大事な役割を果たしているんだよという話が出ていたので紹介します。

Lancetは国際的に信頼度の高い論文雑誌です。https://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587(24)00272-9/abstract

ここ数年、大人気で入手が難しくなるほどのダイエットピル。肥満の治療として医学的にも使用されます。そんな薬による減量治療ですが、知っておいたほうがよい注意点があります。

薬による減量は筋肉も減らす

医療機関で処方される薬を含め、薬による減量は脂肪だけが減るわけではなく、筋肉も減ってしまうのはご存知でしょうか?

加齢に伴い40−70歳では筋肉量が10年で8%ずつ減るというデータがあります。これに加え薬による減量で筋肉量の減少を加速させてしまいます。

薬での減量は、カロリー制限より筋肉量が減ってしまう

薬による減量での筋肉への影響で、
1)カロリー制限で減量した時より、減ってしまう筋肉量の割合が大きいということ
2)ダイエットしたあとのリバウンドは筋肉より脂肪がつきやすく、減量前より筋肉の少ない肥満になってしまうこと は覚えておいたほうがよいでしょう。

筋肉の「体を動かす」以外の重要な役目

この内分泌内科(糖尿病などを扱う分野)の記事では、薬剤での減量による筋量低下に注意喚起をしています。なぜ、今回、整形外科医やスポーツドクターではない、内分泌「内科」の医師たちが、この筋量低下を心配してるのでしょうか。それは、筋肉には体を動かす以外にも重要な役割があるからです。

多様な効果を発揮する物質マイオカイン

筋肉からはマイオカインと言われる物質(ペプチドや蛋白)が分泌されます。このマイオカインが様々な臓器や細胞に働きかけ、
①免疫を上げる
②血糖コントロール
③骨を硬くする
④脂肪細胞の分解や白色脂肪→褐色脂肪へ変化させカロリーの消費を増やす
⑤食欲を抑える 
という効果を発揮します。

筋肉が減ると・・・

上の機能の逆が進み、免疫が下がり風邪を引きやすくなる、骨がもろくなる、カロリーを消費しにくくなる可能性が上がると言えます。

肥満の治療は大切

肥満を改善するために、薬による治療が医学的に推奨される場合ももちろんあります。薬による減量が一概に悪いと言っているわけではありません。肥満の状態を継続することで起きてしまう問題も無視できないからです。

メリットとデメリットを知って最適な減量メニューを

体重が減ることによるメリットと、筋肉量が減ってしまうことによるデメリットも知った上で賢く薬を使おうというのが、今回伝えたいメッセージです。

減量方法は1種類を選ばないといけないわけではなく、食事や運動の改善も組み合わせたほうがよいのです。できるだけ薬による減量のデメリットを減らせるように他の健康的なダイエット法も並行してやりましょう。

まとめ

  • ダイエットピルによる減量は筋肉も減らす

  • リバウンドしたときは筋肉より脂肪が増える

  • 筋肉は免疫、血糖コントロール、骨の硬化、脂肪細胞の分解、食欲抑制など、体を動かす以外に大切な機能がある

  • ダイエットピルだけではなく他の健康的な減量方法も併用を

肥満未満の「昔より体重が増えた」程度であれば、少し多めに体を動かしたり、間食を減らしたりして減量するのをオススメします。それができないから薬に頼りたいんだよという声が聞こえてきそうですが、少しの減量は、今回お話したような薬を使うデメリットを上回るものではなく、薬を使っても、どのみち生活改善はしなければならないからです。

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