健康な子どもたちのための10のすすめ 【DoctorTのスポーツエクササイズ医学】
こんにちはDoctor Tです。連休が終わって曇りの日が増えてきました。みなさん、体を動かしていますか?
今回は、アジア太平洋地域の子供たちに対して、体を動かすことと健康についての推奨ガイドラインが出たのでご紹介します。この作成グループには太平洋アジア13カ国が参加しており、日本も入っています。Asia-Pacific Consensus Statement on integrated 24-hour activity guidelines for children and adolescents. BJSM 2021
子供は大人よりたくさん体を動かすほうがいい
子供は1日60分以上、息の上がる運動(歌が歌えないレベル)を毎日することが推奨され、多ければ多いほど健康によいと言われています(WHO)。同時にじっとしている時間は短ければ短いほうがいいのです。
アジア太平洋地域の子どもたちは他の地域に比べじっとしている時間が多い
アジアでは6%の子供しかWHOの推奨にマッチするほど運動しておらず、その5倍以上の33%が1日3時間以上じっと座っているのが実情です…
健康に影響する4要素
健康に影響する4要素とは、体を動かす時間、じっとしている時間、食事、そして睡眠です。これをどのように24時間に組み込むかを考えましょう!
推奨10項目
1.健康のために運動、不動、睡眠、食事をうまく24時間の中に取り入れる
それぞれの要素がお互いに影響しているので、これら4つすべてを取り入れることが肝。一つの項目で完璧を目指すより、程よく全ての項目を入れたほうがいいです。体だけでなく、精神的にも社会的にも健康になります。
2.平均1日60分以上の歌が歌えない程度より激しい活動
運動はゼロよりは少しでもしたほうがよく、多ければ多いほどよい。
場所も中身も様々がよい。学校、家、近所で、体を動かす中身も移動や家の手伝い、スポーツ活動など色々混ぜたほうが良い。
3.筋肉・骨を強くする運動を少なくとも週3回
ジャンプやスキップやケンケンなどがよいでしょう!筋トレは適切な指導者の下ではよいかもしれませんが、不適切に筋トレをすると成長を妨げるようなマイナスの効果もあるので要注意です。
4.1日を通してできるだけ少しでも体を動かす
立っているだけやゆっくり歩くような軽い活動でも健康への効果があります。以前は最低10分からと言われていましたが、今は全ての動きがカウントされるという考えです。
5.運動は適切な安全策を取り、体の異常を感じるときは医療機関に
運動をするにあたり「安全第一」です。ウォーミングアップやクールダウン、運動中の水分補給はよく知られているところです。靴やウエアも重要です。すり減った靴が原因で負傷することもあります!
そして子供のうちは一つの競技に集中しすぎるのは避けましょう(参考:noteスポーツスペシャライゼーション)
6.じっとしているスクリーンタイムは1日2時間以内
7.長い時間じっとするときは定期的に休憩して動く
6,7は関連が強いので一緒に説明します。コロナでオンラインの授業も増えていると思います。今はITを使った教育もあり、一概にスクリーン時間が悪いとは言えなくなりました。重要なのはバランスですし、できる範囲でよりよい方法を目指しましょう。
2時間以内が勧められていますが、どうしても長くなるときはその連続時間を短くしましょう!30−60分毎に立ち上がって動くことで不動の負の作用を軽減することができます。
8.5−13歳は9−11時間、14−18歳は8−10時間の睡眠を毎日取る。
アジアの子どもたちは寝るのが遅すぎて、睡眠不足が蓄積されているようです。
十分な睡眠は、学校の成績がよくなる、感情のコントロールが上手くできる、調子がいい(wellbeing)、メンタルヘルスも良好にするという益があります。
一方で睡眠不足は、事故やケガ、肥満、糖尿病、高血圧、抑うつ気分になるリスクを上げてしまいます。
9.成長や日常の活動をサポートできるようなバランスの取れた栄養のある食べ物や飲み物を勧められた量だけ摂り入れる。
お皿の半分は野菜やフルーツ、4分の1は米や麦、最後の4分の1はタンパク質が勧められています。ちなみに砂糖は1日ティースプーン6杯までがよいようです。
10.できるだけ体を動かす、じっとしている時間を短くする、十分な睡眠を取る、健康的な食習慣を持つの「すべて」が取り入れられるように心がける。
食べて体に入る栄養やカロリーと体を動かして消費するエネルギーの差で体重が増えたり減ったりしますね。睡眠は体と頭の働きを良くも悪くもするので、日中の活動に影響ありです。お互い切り離せない関係なのですね。
ガイドラインを見て、私のコメント
こういったガイドラインのようなものを見ると圧倒されてしまうのが現実かと思います。ほとんどの患者さんがこれをみた端からやる気をなくす、というのが容易に想像できます。しかし、これらを知っておくことが第1歩ですね。知らなければできない!
いきなり全ては達成できないので、できることから少しずつやっていきましょう。このガイドラインはその指標だと思ってみてはどうですか?何をしたらいいかわからなくなった時の覚え書きです。
子どもたちが今のうちから良い習慣を身に付け、大人になってからも健康的に過ごすことのできる明るい社会であることを願うばかりです。
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