試合時の飲み物を考える【DoctorTのスポーツ・エクササイズ医学】
こんにちは、DoctorTです。すっかり寒くなり空気が乾燥してきましたね。皆さん、体動かしていますか?
強度の強いスポーツをしている患者さんや選手を見ていて、カロリーや水分の摂取不足を感じることがあります。部活を含め、高強度の運動をしているアスリートが「自分は高強度の運動をしている→積極的なカロリー摂取が必要だ」ということに気付いていないのでは…と心配になることがあります。
「日常的な飲み物」としてスポーツドリンクを飲みすぎると、糖尿病などの病気が心配になるため、飲む量を控えるのは正しいです。そのことが強調される世の中で、特に健康を気にしているアスリートの場合「甘いものを飲むことが悪い」と思い過ぎているかもしれません。
また、水分に関しても「水は絞り気味のほうがよい」という昔流の考えの名残があるように感じることがあります。
スポーツ医学ではアスリートのカロリーオーバーよりエネルギー不足が取り上げられていますし、自分の患者さんに関しても、どちらかと言えば、水でも糖でも摂り過ぎより絞ってしまう傾向が強いように感じます。アスリートの皆さん、どうでしょうか?
運動強度に合わせて補充を!
炭水化物*も水分もしっかり摂らなくてはいけない状況もあります。必要な時にはきちんと摂ることが、よりよいパフォーマンスのためにもケガ予防にも大切なことです。同じアスリートでも、シーズン中とシーズンオフで必要な栄養は変わるというのが難しいところですね。*論文でも教科書でも糖ではなく炭水化物という言葉が使われているのでここでも炭水化物とします。
今回は「強度の強い運動(試合)の前・中・後」の飲み物についてご紹介します。栄養と食事のアカデミー、カナダ栄養学会とアメリカスポーツ医学会の推奨を紹介します。併せて以下の教科書も参考にしています。
ただし、これらの基準は絶対ではないので個人的な調整をしてください。
強度の強い練習や試合での栄養
『試合の際の飲み物』 : ポイントは3つ!
「最大限のパフォーマンスのために、飲む」
「お腹の調子を悪くさせない」
「試合やイベントの期間の健康を維持させる」
基本的に「水分+ナトリウム」と「炭水化物」
試合の前・中・後にキーとなるのはこの2つです。短期間かつ選択肢が多くないのでシンプルに考えられそうです。
水分は熱中症予防だけではない
水分摂取の目的は汗で失われた水分の補給です。熱中症予防のための水分摂取というのは何度も耳にしたと思いますが、ここでの水分補給はもう一歩踏み込んで「パフォーマンスを良くするための」補水と考えてください。
運動中の水分減少量が増えるほど運動機能が低下する
スポーツ、ポジション、環境、個人の要素で発汗量は様々
アメリカスポーツ学会によるとスポーツごとの平均発汗量が男子バスケットボール(夏)練習で1.37L/時間、試合で1.6L/時間、男子サッカーだと夏場の練習は1.46L/時間、冬場で1.13L/時間とのことでした。水中スポーツでは比較的発汗量は少ないようです。
低ナトリウムに注意!塩分を忘れるな。
最近は運動中の飲水が強調されるようになっていますが、薄い水を多量に飲みすぎると、脱水の反対に位置する低ナトリウム血症になることがあります。以前「耐久系運動で倒れる理由」で紹介しました。素人のアスリートに多いので注意しましょう。
続いては炭水化物についてです。
炭水化物は筋肉と脳を動かす燃料である
炭水化物は体を動かすための「燃料」になります。また、運動は筋肉を伸縮させれば成り立つのではなく、頭を使って考え、脳から筋肉に司令が出てこそ適切なパフォーマンスができます。その筋肉と脳のエネルギー源になるのが炭水化物です。
炭水化物が足りなくなると
筋肉が疲労し、強度の強い運動を継続できなくなります。また、脳のエネルギーが枯渇するので頭を使うことができなくなります。ペース配分、疲労の認識やパフォーマンススキルが落ち、集中力が低下するということです。
まとめ
強度の強い練習や試合中の飲み物で水分とナトリウム、炭水化物補給を。
水分が不足すると運動能力が落ちる。
塩分を併せて摂り、水分吸収改善と低ナトリウムの予防を。
炭水化物は筋肉と脳のエネルギー源。
今回は水分、ナトリウム、炭水化物の役割を説明しました。次回は飲み物の具体的なおすすめについてお伝えしたいと思います。
私は栄養に関して、少し苦手意識がありましたが、調べてみたら面白いなと思いました。これからもシンプルに実践できる情報を共有していきたいと思います。
#DoctorT
#ドクターT
#スポーツ・エクササイズ医学
#スポーツ医学
#スポーツ栄養
#水分補給
#炭水化物
#部活
#スポーツドリンク
#ベストパフォーマンス
#疲労
#アスリート