動物の真の状態を知ることはとてもむずかしい
動物病院に来院する患者さんの症状は、たとえ名前が同じであってもその重症度はさまざまです。
たとえば、稟告が『嘔吐』だとします。
カルテには嘔吐としか書かれていませんが、様子を見ていい軽い症状のものから重度の疾患によるものまであります。
それを判断する方法は、
まずは飼い主さんとのお話です。
言葉を話せない動物たちにかわって、詳しくお話を聞いて状態を探っていきます。
しかし、飼い主さんのお話だけでは全体を把握できないこともあります。
そこで重要になってくるものが、
獣医師としての経験と勘です。
私はこれもとても重要だと考えています。
動物の様子をうかがい、今の状態が重症なのか?それとも様子を見たり、対症療法で良いものなのか?
過去の経験と自分の『第六感』というものを頼りに考えるのです。
それでも百発百中というわけにはいかないこともありますが、経験とともにその精度はあがっていくように感じます。
動物の疾患や治療法について日々勉強することは、もちろんとても必要ですし重要です。
しかし、『感性』をみがくということは、仕事や勉強ばかりでなく、日常の様々な経験も重要だと私は思います。
それと、かなり心配性な飼い主さんは、動物のわずかな変化でも動物病院に連れてくることがあります。
それは、何もなければそれはそれでいいと思いますし、何かあった時には早期発見になるのでいいと思います。
しかし、何度もそういうことが続くとこちらもそれに慣れてきてしまうことがあります。
それがとても危険な事でもあります。
何度も来院する中に、本当に病気があった場合に見逃さないようにしなければなりません。
それは本当に難しいことなのです。
どからそういった患者さんの場合でも油断せずに、『感性』も使って微細な変化を感じていつもとは違う状態だと見抜かなければなりません。
何年獣医師をやっていても、動物の真の状態を知ることはとてもむずかしいです。(笑)
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