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どこまで続く? 「少女まんが道」

タイトルそのまま、「元・少女漫画家」の作者が「少女漫画家」の時代を振り返ったコミックエッセイ。主に『ぶ〜け』で少女漫画を発表していた作者の「今だから話せる」エピソードの数々が、大量に投入されている。

マンガ家であり続けるのに大切なことが随所にちりばめられていて、マンガ家を目指すなら本棚に入れておくべき、いわば「マストバイ」アイテムだ。共感と、ジワリと涙することもあるだろう。もちろん、1980年代〜1990年代半ばまでの少女マンガを愛している(た)ならば、「あの頃」の香りを存分に楽しんでいただきたい。

そして実は「少女マンガの読み方がわからない」という人にもおすすめだ。ストーリーのベースが基本的にエッセイなので、惜しみなく使われている少女マンガの技法も気にせず筋が追える。例えばモノローグとセリフの複数レイヤー構造なども体得できるはずだ。

勢いのあるページ運びでスラスラ読めるが、モチーフの詰まった画面と比例して、なかなか深い。いや、深すぎる。決定的に「あの時代だから」という場面はあるにせよ、いわゆるニート的な暮らしをしながらでも描き続ける女性として、先に橋を掛けた一人なのだ。ご本人は「必死だったけ」などと謙遜するかもしれないが、事実は揺るぎない。時代も事情も人それぞれだけれど、少し希望が持つことができる。作品でも出てきた、『モンテ・クリスト伯』のセリフ「待て しかして希望せよ」だ。

作品のタッチは、表紙でも使われている『純情クレイジージュース』的なコメディ調。しかし、見返しの扉絵は雑誌のカラー頁っぽい艶やかな用紙に「本領発揮!」と言わんばかりのプリンセススタイル。このギャップがまた「少女マンガ」的な配慮が行き届いている。デザインのセンスもよい。「ぶんか社」なのに少女マンガレーベルのいいとこ取り(マーガレットじゃないニアミスも良い)。そんなわけで、ぜひ紙の方を手にとっていただきたい。

《798文字》

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香野わたる
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