curry menu archive 7 スパイスおでんカレー
7皿目はスパイスおでんカレーです。
これは変なメニューだと思って、他の店がやっていないかどうか調べてみると、『スパイスおでん』は居酒屋やおでん屋なんかではよく作られているようでした。
出汁がスパイシーとか、唐辛子がどさっとかかってる、という感じで、おでんを辛くするというアプローチのスパイスおでんが多かったです。
それに比べるとizonのスパイスおでんカレーはかなり異形です。
目に入ってから全容を理解するまでに少し時間がかかります。
何とも言えないポップさと哀愁を感じます。
『おでんはごはんのおかずなのか』という論争が昔からありますが、そんなことはなかったことになっています。
ごはんありきです。
ヨシフジの実家では、おでんとごはんは当たり前だったということで、躊躇はなかったようです。
そしてタネが大きい。
このあたりには実質を重視するヨシフジの感性が垣間見えます。
一見ふざけているとも捉えられかねない見た目ですが、かなり丁寧に仕込まれていて、その工程はおでん屋さながらのものでした。
味を吸うものと味が出るものに分けて仕込みをし、提供の直前に合わせるという、なんとも気の利いたことをやったそうです。
大根、こんにゃく、たまご、牛すじ、ちくわ、ごぼ天、厚揚げ、オクラ、春菊、から好きなタネを4つ選べるというスタイルでの提供でした。
オクラにはマヨネーズと胡椒、春菊にはとろろをかけるという謎のこだわりをみせ、スパイスジャガイモおでんはマッシュしてポテトサラダに、なめろう用に作ったことのあったスパイス柚子胡椒みそをスパイスおでんにぶつけたところ抜群の相性を見せたようです。
これも、従来の足し算的な思考からは生まれるはずのないカレーです。
「寒いからおでんでもやるか」
という単なる思いつきとしか思えません。
それをちゃんとスパイスカレーとして成立させているところは流石です。
あ、そういえば。
着想こそ単純ですが、このカレーに関しては、数日間かけて煮込むという工程をもってワンプレートが完成しています。
そこに即興性がない分、他のカレーにない真面目さがあって、粛々と仕込んだらこうなった、という完成度の高さが、得も言われぬ哀愁を生んでいるのかもしれません。
スパイスおでんカレーを食べた記憶のある方からのコメント、ご連絡をお待ちしております。
リアルな感想が発掘できれば随時追記予定です。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
つづく。