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ハシビロコウの魅力は『動かない』だけじゃなかった

伊坂幸太郎さんの『クジラアタマの王様』という小説に
のめり込んでいた時期がある。

電車の中で読んでいると
降りるはずの駅を通り過ぎた。

ページをめくる手が止まらない。

そのくらい夢中になっていた。


超ザックリあらすじ。

主人公は夢と現実を行き来する。

現実の世界は結構いかれてる。

・主人公が勤務する製菓会社で異物混入が起こり
記者会見を開くが、上層部は対応を誤り大炎上。

・サーカスを見に行った帰り、天気が急変し落雷に襲われる。
その日は帰れず足止めをくらい、翌朝サーカスに出演していた
トラとツキノワグマに襲われそうになる。

・鳥インフルエンザがパンデミック状態。


夢の世界は、ハシビロコウという鳥が支配している。

司令塔のような役割をしていて、とにかくハシビロコウがめっちゃ怖い。

小説のタイトルに相応しく、
まさに「王様」のような風格を持ち、
不気味さや威圧感がハシビロコウのイメージ通り。

夢の世界でハシビロコウを倒すことで、
現実世界の状況が好転していくらしい……

じゃあ、ハシビロコウを倒してみようじゃないか。


ものすごくファンタジックで場面展開が多いので
好き嫌いが分かれる作品だと思う。

キーになるのがハシビロコウ。

「動かない鳥」と言われている。

私はハシビロコウ=動かないくらいの
知識しかなかったので、
ハシビロコウが支配しようとしてくる??
と、はてなマークでいっぱいだった。

さすがに気になってきて、
ハシビロコウについて調べてみた。

・1mを越えるなかなか大きい鳥
・ハイギョという肺呼吸の魚を主食にしていて、
  そのハイギョが水面から顔を出して呼吸する瞬間を
  狙うために動かずじっとしている
・日本に野生はいない

野生でいてもコワイけど!?と思いつつ
YouTubeで動いている姿も見た。

……これ動画だよね???
本当に動かないじゃん。


こっちが眠くなるくらいに動かない。

まばたきすると白目になるコワイ。

そして目の色がキレイ。

またいろいろ調べた。

・白目になるのではなく、膜があるらしい。
まぶたの他に、もう1枚膜を持っているとのこと。

・若いうちは目が黄色い。
年齢とともに水色に変化していく。


はーーーーん!!
おもしろいじゃんハシビロコウ!!!



また動画を見る。
・意外と表情があってかわいいかもしれない。
・カッカッカッとくちばしを鳴らす。
(クラッタリングと言うらしい)

そして何より驚いたのが、
魚を食べるのが下手!!!!!

鳥って、水面に向かって羽ばたいて
サッと魚をくわえるイメージありません???

ハシビロコウは正反対。

魚を食べやすいように柔らかくしてから
飲み込みたいらしい。

パクパク

ボドッ(地面に魚を落とす)

パクパク

ボドッ(また落とす)

パクパク

ゴックン(やっっっっと飲み込んだ)

こんな感じ。
そして、食事が終わると
そそくさと早足で水辺に向かい、
くちばしを洗い始める。

くちばしを洗いたいときは
めっちゃ動くじゃん!!!!


くちばしを洗うほどキレイ好きなのに、
地面に落とした魚は食べるんだ??!!??!?

そのキレイ好きなところ、
魚をキレイに食べることに活かした方が
よかったんじゃない????

ちなみに、鳥言葉は「不器用」らしい。

だよね、食べるのめっちゃ下手だもん。


風格のあるビジュアルとは裏腹に
不器用なところが愛らしく思うようになり
じわじわとハシビロコウに魅了されていった。

今ではグッズを集めるくらいに
取りつかれている。

お気に入りのエコバッグ



先日、博物館に行った。

特別展「鳥」という展示。

もちろんお目当てはハシビロコウ。

ついに本物とご対面!!!!

水辺の鳥の中でも、一際目立つ存在だった。

剥製ではあるものの迫力がある。

くちばしのシルエットが
キレイに映し出されるライティング。

展示を担当した学芸員さんの緻密さがうかがえる。

心の中で学芸員さんに盛大な拍手を送った。
いや、拍手じゃ足りない…スタンディングオベーション!!!

なんかよくわからないけど
不思議な魅力のあるハシビロコウ。

今年こそ、動物園にご存命の本物を見に行きたい。


それと、クジラアタマの王様について。

最後に明かされるのだが、この本のタイトルは
つまりハシビロコウだった。

ハシビロコウは地域によって
個性的な名前をつけられている。

🟠ラテン語→クジラアタマの王様
🟠英語→shoebill(靴べら)
🟠フランス語→Bec-en-sabot(木靴のくちばし)
🟠中国語→鲸头鹳(クジラの頭)

もしこの小説が映像化したら
ハシビロコウはCGになるのかとか、
クマとツキノワグマに襲われるシーンは
どうなっちゃうのとか考えることが多い。

自分の想像のままにしておきたいから、
映像化してほしくない一ファンのエゴも存在する。

『クジラアタマの王様』を読んだあとは
ぜひ一度ハシビロコウについて調べてみてほしい。

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