第8話:サイゲームスとウマ娘
株式会社Cygames(サイゲームス)は「最高のコンテンツを作る会社」をビジョンとし、「ゲームの企画・開発・運営事業」を行っている企業である。また、多国籍企業や請負会社としての側面を持つ。サイゲ(通称)と言えば、スマホゲー。ゲームファンの間では定着している。一般の人でもテレビCMの観点からそのようなイメージを抱く人も多いことだろう。
2011年の創業以降、本企業はまさに「うなぎのぼり」で成長してきた。初期の頃は主に大手ゲーム会社の請負会社として、2010年代半ばからは自社作品を主軸に、近年はゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」の大ヒットにより、自社ブランドの確立に成功した。現在のサイゲの看板はゲーム「ウマ娘」であることは間違いない。
では、「UMAMUSUME PROJECT」(ウマ娘企画)が始まったのはいつからか。それは2016年のことであった。2016年3月26日(土)、東京ビッグサイトで開催された“AnimeJapan2016”のサイゲームスブースにて、サイゲームスの新プロジェクトの発表会が行われた(3月発表なので企画段階では遅くとも2015年には始動していたと思われる)。
この時期は企業としてはやや上昇傾向でアプリゲー初期は「アイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージ(アイマスシリーズ)」(デレステ)、「ドラゴンクエストモンスターズスーパーライト」(dqmsl、スパラ)などのもっぱら請負に依存(特化)していた。また、創業当初はMobage上に「アイドルマスターシンデレラガールズ」の請負(2023年3月に事業撤退予定)、自社の「進撃のバハムート」をMobage上で提供していた(Mobage=モバゲーは株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営する携帯電話向けのポータルサイトかつSNS。PC向けの「Yahoo!モバゲー」も存在する)。さらに、(すぐにキラーコンテンツとなった)自社の「グランブルーファンタジー」(グラブル、Mobage上で提供)もリリースされたばかりであった。
したがって、ここから爆発的に成長してきたのがこのサイゲームスという企業なのである。決して「ウマ娘」から成長し、発展してきたという訳ではない。創業以来続くヒット作の種をまいたのが、2014年から2015年頃だった。
ゲーム「ウマ娘」のリリースは2021年の2月24日であった。ここに辿り着くまでに紆余曲折を経た(後述)。一方で、「ウマ娘」のアニメ開始時期は第1期2018年4月2日から6月18日と順調に滑り出した(その後はスピンオフアニメや、楽曲提供も活発化)。もう既にその頃には、サイゲは急成長を遂げていた。2016年6月にはアプリゲーム、「シャドウバース」(シャドバ)も自社作品としてリリースされた。これは前述したようにサイゲームスが2011年9月からMobage上で提供していた「進撃のバハムート」の人気が根底にあった。
第1期のアニメ以前には「スパラ」(ブランド請負)、「グラブル」(自社)、「デレステ」(ブランド請負)、「シャドバ」(自社)がアプリゲームの代表作であった。
さて、「ウマ娘」のアプリゲー配信は遅々として進まなかったが、ついにアニメ第2期2021年1月5日から3月30日の最中にリリースされた。「やっと、みんな会えたね」この言葉の意味は非常に深い。
また、「プリンセスコネクト!Re:Dive」(プリコネ、これも自社作品として海外進出にも積極的になった)、「ドラガリアロスト」(ドラガリ、任天堂と共同で運営。2022年11月30日にサービスが終了した)、「ワールドフリッパー(WORLD FLIPPER)」、コンシューマーゲームの「グランブルーファンタジー ヴァーサス」等がこの期間ヒットし企業を支え続けていた。
ポイントは2015年から「UMAMUSUME PROJECT」は開始されていたということだ。また、アニメ第1期のヒット、それ以降の努力も相まって、真の意味でブレイクを果たしたのが2021年春の出来事であった。
追記:
いわゆる請負(の概念)はスパラはスクエニ、アイマスはバンダイナムコ。モバゲー上の展開は株式会社DeNAと連携したサイゲ自身によるものである。
初期は巨大ブランドにも依存していた。「進撃のバハムート」を根底に「ドラクエ」、「アイドルマスター」の根幹でサイゲは発展してきた。
ドラクエはスバラ→スパラ・星ドラ→ウォーク→ウォーク・タクト時代(他にどこパレやライバルズもあった)となっている。ドラクエブランドはサイゲの踏み台になった。
アイマスはラブライブ、バンドリ!など強力なライバルと切磋琢磨しながら戦ってきた(続けてきた)が、美少女育成ゲームとしてウマ娘ブームはこの層を取り込んだ形だ。
若年層(中高大生の男女)から中年男性(スマホゲーにおける強力なスポンサー)はこぞってウマ娘を支持した。
反対に競馬ゲームの老舗である「ダビスタ(ダービースタリオン)」やセガのメダルゲームとして有名な「スターホース」、コンシューマーゲーム(家庭用ゲーム機)の「ウイポ(ウイニングポスト)」、アプリゲーの老舗「ダービーインパクト」は相当なダメージを被った格好だ。依然として支持層は多様であるものの、(とりわけ)私たちの馬、競馬の観念までもが「ウマ娘」ブームにより変わってしまった効果(変革)は大きい。
企業として現在では着々と撤退事業も始まっているのが、実に興味深い。
なお、成長推移の画像は官報ブログのツイートから引用。「Cygamesの歩み。2011年の創業期はスタッフ5人だったゲーム企業が、約10年で売上2221億円/営業利益900億円の企業に。人員規模も現在は約3000人にまで増え、国内有数のゲームメーカーに成長。すごい」(2022年3月5日21時51分)
より詳細な情報については後ほど付記する次第である。
(2022.12.13)
若干編集中です。。
グラブルの壮大なCM、ファイナルファンタジー(FF)の音楽担当で知られる植松伸夫氏の抜擢は当時アプリゲーの新時代を予感させた。
参考資料:
株式会社Cygames(サイゲームス)公式サイト
ウマ娘 プリティーダービー 公式ポータルサイト(Cygames)
官報ブログ
ファミ通公式サイト
「サイゲームスの新プロジェクト『ウマ娘 プリティーダービー』が発表された【AnimeJapan 2016】」(2016年3月26日付)