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映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』視聴
プロミシング・ヤング・ウーマンという映画を見た。
ある人が、私が好きそうだと言って薦めてくれたその映画はなかなかハードでずっしりした内容だった。
まず題名に関して、大元は
「プロミシングヤングマン」
将来有望な青年という意味だ。
これでは男性のみを指す言葉に聞こえる。
ってことで、プロミシングヤングウーマン──将来有望な女の子としたようだ。
なんたって、この映画の内容は「将来有望な青年」に「将来有望な女の子」が殺されるのだから。
1.おおまか概要
軽くあらすじをいえば、医学部在学中にパーティに参加した女子生徒が男子生徒にレイプされる、そしてその模様を動画撮影されるという散々な目に遭う。
これを契機づけとし彼女は死を選択、そんな彼女と親友だった主人公・キャシーが、彼女を死へと追いやった男子生徒達に復讐するというものだ。
2.「持ち帰る」とは?
キャシーはこの復讐劇に出る前、夜な夜なクラブへ出入りし泥酔したフリをする。そこへ近付いてきた男の家へと着いていき制裁を加える、という行為を繰り返し行なっている描写がある。
ここで思うのは、「持ち帰る」事についてだ。
正直、私は、遊ぶも遊ばないも誰と性的関係を結ぶも自由な事だし、他人がああだこうだと口出しする箇所ではないと思う。
だからこそ、女性側が「持ち帰る」って事もあるはずだし、主導権を握っても良いと思う。
人間だし、誰でも平等に選択権があるのだ。
それなのに、男性側は「持ち帰る」という行為にかなりこだわるし、何なら持ち帰った事に対して胸を張っている節がある。
いつから男性が女性を選別して「持ち帰る」、そういう構図に?と感じるし、
自らが女性を選別する側だと潜在的に思ってるんだろうな、なんて考えてしまう。
兎にも角にも、キャシーはそういう
「自分は選別する側だ」と錯覚する男に対して
制裁を加えていた、のではなく
現実を見せていたんだと思う。
3.身近過ぎるレイプ
女性がレイプされること、これは正直良くあることだと思う。
私自身も飲みの会で執拗に飲酒を強要されたり、
完全にそういう空気にしたいんだなみたいな。
このような経験はしたことがある。
し、こんな話も聞いたことがある。
飲みの席で知り合った年上の男性に就職の事を相談した。
すると、すっごく親身に相談に乗ってくれたし、OGやOBを紹介するとまで話してくれた。
そんな年上男性にホテルへと誘われる。
(いやあ、さっきあんなに相談に乗ってもらったし…)
そう思って断れず、泣く泣く身体を許す。
そういう話も実際良く聞く。
劇中でも言われていた、
「こういう場に来るんだから、同意があった」
という風潮。
イマイチ想像つかない男性・女性に説明するとしたら、
あなたはふらっと服屋に入った。
その服屋で働く、超コワモテ、海外のラッパーもびっくりな風貌、おまけに身長2m超えの男性に、
「え?入店したんだから服買いに来たんだろ?」
そう言われて何万円分もの趣味でもなんでもない服を買わされている、そんな感じだ。
同意があるもなにも、有無を言わせずにそういう行為に及んでしまう無知さ。
そしてそんな愚かな過去を無かったものの様にしてのこのこと生活、幸せになろうとしている事。
「あの時は子供だったから」という魔法の言葉で自身の犯罪行為を乗り切れると思っている考えの浅はかさ。
全てに嫌悪感を覚えるし、明るみに出ていないレイプ事件の多さを考えると許せないなあと思う。
というか、レイプと呼称していないだけで
双方の同意がない性行為は蔓延っている。
それも、本来の定義で言えば
立派なレイプなのだ。
4.さいごに
この映画は、かなり衝撃のラストだと思う。
スッキリする反面モヤモヤした物も残るし、
女性のサクセスストーリー!みたいな、よくある
ジェンダー格差ゼロみたいなキラキラ映画じゃない。
ひたすらに、
ああ、この映画はフィクションなんかじゃないな
そう思わせてくれるリアリティのある演出が魅力だと思う。
性別だとか、そんなの関係なく沢山の人が見なければいけない映画が本映画だ。
そして冒頭でもちょこっと述べたが、
誰しも平等に選択権を与えられている事
これを徹底して学ぶべき時代こそ、現代なのだ。
男女どちらが選択をしてもいいが、
自分こそ選択する側だ!!!!
という変な錯覚だけはぜっったい辞めて欲しい。
そういう錯覚をしている人間が女性、或いは男性を傷付け、自身の価値をもマイナスにしているから。
そして、そんな自分の錯覚にも気付かず、人知れず嫌われていくのはあまりにも
ドンマイ…………可哀想な人間………………
としか言い様がないから。
自らの社会的立場は自分で守りましょうね。
決して時代から取り残されないようにね。
以上です。