「日本に実存するいろんな人間たちが絡んでの壮大な物語もついに大団円か!?~『RDG 6 レッドデータガール 星降る夜に願うこと』~」【YA㉙】
『RDG 6 レッドデータガール 星降る夜に願うこと』 荻原 規子 著 (角川文庫)
2013.01.16記録
大好きなこのシリーズ、とうとう完結してしまいました。
この巻が最終巻です。
世界遺産に認定される少女…なんて、ものすごく大胆で突飛な、でも斬新で興味津々なテーマですごく楽しめました。
そして巻を重ねるごとに、話はしだいに壮大なものとなっていきます。
古代から土着的に日本に根付いてきた宗教をモチーフにしてありますが、きわめて現代的でもあります。
そして、民俗風習を根として広がった陰陽道・山伏など、今では民衆には忘れ去られてしまったけど奥深く日本人の中に息づくものを、熱心に下調べをされて作品として生まれた物語は、中学から高校へと成長していく登場人物の心の動きもあわせて読ませてくれ、毎回ワクワクドキドキしながら読みました。
また個人的には好みの登場人物ばかり。
主人公の泉水子ちゃんは、誰も勝てない特殊能力の持ち主だというのに、本人の持って生まれた引っ込み思案な性格ゆえ、おどおどしていて消極的です。
でもそんなところは時にはもどかしくイラつかせますが、割と自分に近い部分もあり、共感できてしまうので逆に好きなキャラクターです。
でも次第に自分に自信がでてきて、その能力をきちんと発揮できるまでになるのですが、まだまだ未完成っていうところがまた好感持てます。
そしてイケメンがいっぱい出てくるところは、作者も好みなのでしょうか。
私も嫌いではありません。ふふふ。
かえって読んでいて想像が膨らんでくるので、夢心地で読んでしまいます。
深行くんは、和泉子ちゃんを守っていくと定められた運命の持ち主。
でもまだ幼かった頃はやはり反発心のほうが強かったけど、こちらも次第に置かれている状況が半端なく危うくなっていくという過程を経て、結局、泉水子とこの世界の平和に関わる人生なのだと悟っていくうちに大人になっていくのです。
それでもって、深行は頭もいいからこちらのほうが泉水子ちゃんより断然大人です。
頼れる男子!で頼もしい限り。
で、いろいろ事件が起こる高校生活では、泉水子ちゃんを常に守ってきた山伏の世界だけでなく、陰陽師・戸隠忍者・霊界・キリスト教会などから様々な人々が近寄ってきます。
この巻は、一大クライマックスが終わったところから始まるので、いったいどうやって終わらせるのかな?と思っていたら、いやあ…最後の最後まで読者を安心させないというか、飽きさせないというか、え?え?…どうなっちゃうの?とハラハラでした。
で、本当の最後に残されていたファンにとってのお楽しみが、たったの2~3行でさら~っとおさめられて、余韻を残したままにエンドとなりました.
でも、今後の泉水子ちゃんや深行、そしてお父さんの大成さん(あまり登場していません)とか、もっと活躍できそうなので、もう少ししたらまた別の新シリーズでお会いしたいです。(この密やかな願いはまだ叶っておりません)
う~ん…
とうとうアニメ化決定!(2013年当時)
泉水子ちゃん、イメージと違う~~!
深行くん、微妙…。
こうなることはもちろん想定内でしたが、やはり想像だけの世界にしてほしかったです…。(脱力)