映画『ドヴラートフ』をめぐって #3
▶「やさしい大男」の存在感
役者もみんな素晴らしかったが、特にドヴラートフ役のミラン・マリッチの「存在感」が凄かった。本人によく似ている体格のいいハンサムだが、もちろんそれだけではない。ドヴラートフを演じたというより、彼はドヴラートフとして生きていた。小説は字面に書いてあること以外にどれだけのものを伝えられるかが勝負だと思うが(チェーホフを読むとそう思う)、映画でも、スクリーン上に写っていること以外にどれだけのものを伝えられるかが重要かもしれない。その意味で、たった6日間でド